建設業許可の取得には、申請手数料や専門家への依頼料など、さまざまな費用が発生します。本記事では、具体的な費用の内訳を詳しく解説するとともに、手続きを効率化してコストを抑える方法をご紹介します。
建設業許可を取得するための基本的な申請費用と内訳
建設業を運営するためには、建設業許可が必要です。この許可取得には、法定費用や専門家への依頼料などがかかります。ここでは、建設業許可申請に必要な費用の内訳や具体例について詳しく解説します。
申請手数料と支払先の概要
建設業許可を申請する際に最も基本となる法定費用が「申請手数料」です。この手数料は、新規、更新、業種追加など申請の種類や方法によって異なり、以下の2つの項目に支払います。
- 行政機関への申請手数料:
- 許可申請には、都道府県の担当窓口または国土交通省に対する登録免許税や手数料の納付が必要です。
- 例えば、個人事業主が都道府県知事許可で新規申請を行う場合、申請手数料は約9万円が一般的です。
- 法定書類の取得費用:
- 許可申請には、登記簿謄本、住民票、納税証明書などの法定書類の取得が必要です。これらの交付手数料は数百円〜数千円程度で、役所や行政機関で支払います。
これらの手数料は、許可申請を進めるうえで必ず必要な費用となりますので、計画的な準備が重要です。
建設業許可申請の種類別の費用構成
建設業許可には、新規申請、更新申請、業種追加などの手続きがあり、それぞれ必要な費用が異なります。
- 新規許可申請:
- 個人事業主または法人の新規申請では、申請手数料のほかに決算報告書の作成費用や経営事項審査の登録費用が発生します。
- 都道府県知事許可は約9万円〜12万円、国土交通大臣許可では15万円以上が目安です。
- 許可の更新:
- 許可は5年ごとの更新が必要です。更新手数料は約5万円〜9万円で、更新時には事業実績報告書や財務状況報告書などを提出する必要があります。
- 業種の追加:
- 許可を取得済みの業者が新たな業種を追加する場合、追加申請手数料が発生します。こちらも7万円〜10万円程度が目安です。
これらの費用を事前に把握し、必要な手続きを計画的に進めることで、スムーズな許可取得が可能となります。
許可取得にかかる法定費用の詳細
建設業許可申請には法定費用が発生します。新規、更新、業種追加ごとに異なるため、事前に把握しておきましょう。
建設業許可申請に関するよくある質問(FAQ)
Q1: 建設業許可申請にはどのくらいの期間がかかりますか?
A1: 建設業許可申請の期間は、申請内容や都道府県によりますが、新規申請の場合、通常1〜2ヶ月程度かかります。不備がある場合はさらに時間がかかるため、事前準備が重要です。
Q2: 建設業許可の申請費用はどのくらいですか?
A2: 都道府県知事許可の新規申請では約9万円、国土交通大臣許可では15万円以上の法定費用が必要です。追加で、法定書類の取得費用や専門家への依頼料も考慮してください。
Q3: 法定費用以外にはどのような費用が発生しますか?
A3: 書類取得費(1,000〜3,000円)や行政書士報酬(10万円〜30万円)がかかります。自分で申請すればコストを抑えられますが、行政書士に依頼することで手続きがスムーズになる場合もあります
Q4: 許可取得後も費用は発生しますか?
A4: 許可の維持には、経営事項審査費用(約15,000円〜50,000円/年)や決算報告書作成費用(10万円〜30万円/年)が必要です。また、許可は5年ごとに更新が必要で、更新手数料が発生します。
新規許可申請に必要な法定費用
新規申請の法定費用は、都道府県知事許可で90,000円程度、国土交通大臣許可では150,000円程度が目安です。申請には、履歴事項全部証明書(登記簿謄本)、住民票、納税証明書などが必要で、これらの取得には1,000〜3,000円程度の交付手数料が発生します。また、公共工事を目指す場合は経営事項審査(経審)の申請も必要で、費用は15,000円〜35,000円程度です。
更新申請や業種追加の費用内訳
建設業許可は5年ごとの更新が必要で、営業内容の変更や新しい業種の追加を希望する場合も費用が発生します。
- 許可の更新手数料: 50,000円〜90,000円程度(更新内容により異なる)
- 業種の追加手数料: 50,000円〜90,000円程度(都道府県知事許可)
- 決算報告と変更届出費用: 登録事項変更や決算報告書の作成には、専門家への依頼費用が必要で、年間10万円〜30万円程度が一般的です。
ポイント: 許可更新のタイミングで業種追加や変更届出を同時に行うと、手続き費用を削減できます。
許認可後の維持費用と年次コスト
建設業許可の維持には、以下の費用がかかります:
- 経営事項審査費用: 15,000円〜50,000円/年
- 労災・社会保険料や法人税等の税金
- 届出管理費用(専門家費用含む): 年間10万円〜30万円
コスト管理のポイント: 維持費用を適切に管理することで、無駄な追加コストを防ぎます。行政書士に依頼すれば、申請から維持管理までトータルサポートを受けることが可能です。
建設業許可申請の費用は事前の準備と効率的な計画で抑えることが可能です。FAQを活用し疑問を解決しながら、最適な手続きを進めましょう。
行政書士への依頼費用と相場
建設業許可申請は専門的な知識が求められるため、行政書士に依頼するケースが多くあります。行政書士に依頼する際の報酬額は、申請内容の複雑さや業務範囲によって異なりますが、以下のような価格帯が一般的です。
行政書士報酬の一般的な価格帯
- 新規許可申請(都道府県知事許可):
10万円〜30万円程度が相場です。大臣許可や規模の大きな事業の場合、50万円以上になることもあります。 - 許可の更新手続き:
5万円〜15万円程度が目安です。更新手続きは、基本的な情報の確認と書類作成が中心のため、新規申請より費用が抑えられることが一般的です。 - 業種の追加申請:
7万円〜20万円程度が相場です。新たな業種を追加する場合は、詳細な書類作成が必要となり、申請内容の複雑さに応じて費用が増加する場合があります。
業務内容ごとの費用目安
- 書類作成のみのサポート:
必要な申請書や添付書類の作成を依頼する場合は、5万円〜10万円程度が目安です。事業者自身が書類提出を行う場合、費用を抑えることができます。 - 申請代理手続き:
行政機関への申請代理も含めた場合、10万円〜30万円程度が一般的です。手続き全般を一括依頼することで、事業者の負担を大幅に軽減できます。 - 包括的なサポートプラン:
更新申請や変更届出の管理、経営事項審査対応を含むトータルサポートでは、年間契約で30万円〜50万円程度になる場合もあります。
行政書士に依頼するメリット
行政書士に依頼すれば、書類の不備を防ぎ、手続きの効率化と法令遵守が可能です。
依頼する行政書士事務所や地域によって報酬額は異なるため、事前に見積もりを比較し、必要なサポート内容を明確にしてから依頼することが重要です。無駄な費用を防ぐためには、相談段階で何をどこまで依頼するかをしっかり検討しましょう。
成功報酬型サービスの注意点
一部の行政書士事務所では、成功報酬型の料金体系を採用するケースもあります。許可が取得できた場合にのみ報酬が発生するため、リスクが少ないように思えますが、いくつかの注意点もあります。
- 着手金の有無:
成功報酬型の場合でも、初回に着手金が発生するケースがあります。着手金の有無や金額については、事前に必ず確認しましょう。 - 成功報酬の割合:
成功報酬額は、許可取得の難易度や手続きの複雑さに応じて、20%〜50%程度とされることがあります。報酬の上限額が設定されているかを確認するのが安心です。 - 許可未取得時の対応:
万が一、許可が取得できなかった場合の対応も重要です。再申請が必要な場合の追加費用が発生するかどうかを確認しましょう。
行政書士への依頼費用は、依頼する業務の範囲や事務所の規模によって大きく異なります。事前の見積もり依頼や料金体系の確認を行い、必要なサポート内容に応じた最適なプランを選びましょう。
許可取得費用を抑えるためのポイント
建設業許可の取得には、申請手数料や専門家への依頼費用が発生しますが、工夫次第でコストを抑える方法があります。正しい手続きを理解し、計画的に準備を進めることで、無駄な出費を防ぎ、効率的な申請が可能です。以下に具体的な方法を解説します。
早めの書類収集
建設業許可の申請では、登記簿謄本や住民票、納税証明書など多数の書類が必要です。申請直前の準備では取得が間に合わない場合もあるため、早めに必要な書類をリストアップし、計画的に取得を進めましょう。
役所の無料サービスを活用
一部の市区町村では、住民票や印鑑証明の発行手数料が無料になる場合があります。お住まいの地域で該当するサービスが提供されているか確認することで、手数料を削減できます。
電子申請の活用
オンラインで取得できる書類については、電子申請を活用することで、発行手数料の割引や交通費の節約が可能です。特に、電子納税証明書や法人登記情報の取得は効率的な方法です。
複数手続きをまとめて行う
許可更新と変更届出を同時に行うことで、手続きの重複を避け、費用と時間を節約できます。
これらの方法を取り入れることで、建設業許可の申請コストを抑えながらスムーズな手続きが可能になります。しっかりと準備を行い、費用削減を意識した計画を立てましょう。
許可更新と変更届出を同時に行う方法
建設業許可は5年ごとの更新が必要で、事業内容の変更が発生した場合には変更届出の提出も求められます。これらを別々に行うと二重の手間と費用が発生するため、同時手続きが重要です。
同時申請のメリット:
- 手数料の節約: 許可更新時に業種追加や役員変更の届出を同時に行うことで、二重の手続き費用を削減できます。
- 申請作業の効率化: 複数の手続きを一括で行うことで、書類作成の重複作業を減らし、専門家への依頼費用を抑えることが可能です。
- 法令遵守の確実化: 変更届出の遅れは許可の取消や罰則の対象になるため、定期的な見直しを行い、確実な申請を心がけましょう。
行政書士に相談する場合も、一度の依頼で複数の手続きを進めることで依頼費用を抑えることが可能です。
経営状況分析を効率的に進めるコツ
建設業許可の取得・更新には、経営状況分析(経審)が必要な場合があります。この手続きは、経審登録機関に依頼する際の審査手数料が発生しますが、適切な準備を行えばコストの最小化が可能です。
経審費用を抑える工夫:
- 過去の実績データの管理: 経営状況分析では、過去の工事実績や財務データの提出が必要です。日頃からのデータ整理で、申請書類の作成費用を削減できます。
- 決算内容の早期確認: 決算報告書の内容が適切かどうかを早めに確認し、不備を防ぐことで再申請の費用を回避しましょう。
- 専門家の相談を早めに: 自力で進めるのが難しい場合は、行政書士や税理士への早期相談がおすすめです。早めの相談で割引プランの適用が受けられる場合もあります。
これらの対策を取ることで、建設業許可申請にかかるコストを最小限に抑えつつ、スムーズな許可取得が可能になります。
まとめ
建設業許可申請に必要な費用は、新規申請、更新手続き、業種追加など、種類ごとに異なります。計画的に準備を進めることで申請費用を抑えることが可能です。専門的なサポートが必要な場合は、行政書士に相談し、建設業許可取得をスムーズに進めましょう。
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行政書士として、幅広い業界での法務支援やビジネスサポートに従事する一方で、執筆および監修者としても精力的に活動。企業法務や許認可手続きに関する専門知識をわかりやすく伝える記事作成を得意とし、実務に直結する情報提供を通じて、読者が安心してビジネスを進められるようサポートしています。行政書士登録以来、信頼性の高い情報を提供する「ツナガル行政書士」の執筆および監修を担当し、多くの読者に支持されています。(登録番号:03312913)