離婚の時に準備する書類とは?離婚協議書の作り方から専門家に依頼する場合の費用まで行政書士が徹底解説

はじめに

日本では、結婚と同様に離婚も毎年一定数発生しており、決して珍しい手続きではありません。厚生労働省の「人口動態統計(令和6年)」によると、日本では年間およそ48万件前後の婚姻が成立する一方、離婚件数は約18万件前後で推移しています。このことから、単純計算ではありますが、「結婚する夫婦の3組に1組が離婚する」とも言われているのです。このように、毎年多くの夫婦が離婚に至っている状況からも、離婚手続きは多くの人に起こり得るライフイベントの一つといえるでしょう。

「離婚」という状況に直面すると、つい感情的になりがちですが、制度や手続きについて冷静に理解しておくことが重要です。離婚は単に夫婦関係を解消するだけではなく、子どもがいる場合には親権や養育費、面会交流などについて整理する必要があります。また、夫婦で築いた財産の扱いや生活費に関する問題など、さまざまな事項について取り決めを行う場面も生じます。

しかし実際には、離婚に関して「どのような流れで手続きが進むのか」「どのような書類を準備する必要があるのか」といった点について不安や疑問を感じている方も少なくありません。特に初めて離婚を経験する場合、何から準備すればよいのか分からないという声も多く聞かれます。

そこで本記事では、離婚手続きの基本的な流れを確認したうえで、離婚の際に使用する書類や手続きのポイント、さらに費用の目安などについて、順を追って解説していきます。離婚について情報収集をしている方や、手続きの全体像を知りたい方にとって、理解を深めるきっかけになれば幸いです。

 

離婚手続きの流れ

離婚手続きにはいくつかの方法があり、当事者の状況や話し合いの進み具合によって進め方が変わります。日本の離婚制度は段階的な仕組みになっており、まず夫婦間の話し合いによる離婚を目指し、それが難しい場合には家庭裁判所の手続きを利用するという流れになります。

ここでは、それぞれの手続きの特徴や流れについて順番に見ていきましょう。

 

協議離婚

協議離婚とは、夫婦が話し合いによって離婚の条件を決め、市区町村役場に離婚届を提出することで成立する離婚です。日本ではこの方法が最も多く、厚生労働省の人口動態統計によると、全離婚件数の約9割(およそ88%前後)がこの方法によって成立しています。

協議離婚では、夫婦双方が離婚することに合意し、必要事項を記載した離婚届を市区町村役場へ提出することで手続きが完了します。離婚届には夫婦双方の署名が必要であり、さらに成人の証人2名の署名も必要になります。

ただし、離婚に伴って決めておくべき事項は多くあります。たとえば、子どもがいる場合には親権者を決める必要がありますし、養育費や面会交流、財産分与、慰謝料などについても話し合いを行うことが一般的です。これらの条件について当事者同士で合意できれば、協議離婚として手続きを進めることができます。

一方で、離婚条件について意見が対立し、話し合いだけでは解決できない場合もあります。そのような場合には、次の「調停離婚」の手続きを利用することになります。

 

調停離婚

夫婦間の話し合いで離婚条件がまとまらない場合には、家庭裁判所に「離婚調停」を申し立てることになります。

離婚調停は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所、または当事者が合意した家庭裁判所に申し立てるのが一般的です。申立ての際は、「申立書」や「事情説明書」などの必要書類を作成し、家庭裁判所に提出します。この時、収入印紙や郵便切手などの費用も必要になります。

調停は、簡単に言うと「家庭裁判所で行われる夫婦の話し合い」で、家庭裁判所の調停委員が話し合いに加わって、それぞれの意見を聞きながら合意を目指していきます。調停委員は通常、男女1名ずつの委員で構成され、裁判官が最終的な手続きの管理を行います。調停期日には原則として当事者本人が出席しますが、事情によっては弁護士が同席する場合もあります。もっとも、必ず弁護士を依頼しなければならないわけではなく、本人だけで手続きを進めることも可能です。

また、離婚調停は1回で終わることは少なく、複数回にわたって開かれることが一般的です。個別の事情によって異なりますが、1〜2か月に1回程度のペースで期日が設定され、平均的に3~5回の調停を経て合意が形成されるケースが多いとされています。調停で離婚や離婚条件について合意が成立すると、その内容は調停調書という公的な記録として作成されます。この場合、成立日から10日以内に市区町村役場へ離婚届を提出することで、法律上の離婚が成立します。

しかし、調停でも合意に至らない場合には「調停不成立」となり、次の「裁判離婚」の手続きに進むことになります。

 

裁判離婚

調停でも解決しない場合には、家庭裁判所に離婚訴訟を提起することになります。なお、日本では「調停前置主義」が採用されていることから、いきなり離婚裁判を起こすことはできず、まず家庭裁判所で調停を行う必要があります。

離婚の裁判は、原則として夫または妻の住所地を管轄する家庭裁判所に訴えを提起します。裁判では、離婚を求める側が訴状を提出し、相手方がそれに対する主張や反論を行う形で手続きが進みます。

裁判では、法律上認められている離婚原因があるかどうかが重要になります。民法第770条では、「配偶者の不貞行為(いわゆる不倫などの不貞行為)」、「悪意の遺棄(正当な理由なく生活費を渡さない、同居義務を放棄するなど)」、「3年以上の生死不明」、「強度の精神病で回復の見込みがない場合」、「その他婚姻を継続し難い重大な事由」が離婚原因として定められています。

また、離婚裁判の手続きでは、弁護士に訴訟代理人として対応してもらうケースが多く見られます。ただし、法律上は必ず弁護士を依頼しなければならないわけではなく、本人が訴訟を行うことも可能です。

離婚裁判は、書面の提出や証拠の提出、当事者や証人の尋問などを経て審理が進みます。最終的には裁判所が判決を下し、その判決によって離婚の可否や慰謝料の額、財産分与、子の親権などが決まります。判決によって離婚が認められた場合には、その判決が確定した後、市区町村役場へ離婚の届出を行うことで戸籍上の離婚が反映されることになります。

 

離婚の際に使用する書類とは

離婚の手続きを行う際に、最も基本となるのは「離婚届」ですが、夫婦間で取り決めた内容を整理するための書面を作成しておくことも重要です。

ここでは、離婚の際に一般的に使用される主な書類について解説します。

 

離婚届

離婚届は、離婚を成立させるために市区町村へ提出する最も基本的な書類です。様式は全国共通で、各市区町村役場の戸籍課などの窓口で配布されている他、多くの自治体ではホームページから様式をダウンロードすることも可能です。離婚届は、夫婦の本籍地の役所だけでなく、夫または妻の所在地の市区町村役場でも提出することができます。提出の際には、夫婦双方の署名に加え、成人の証人2名の署名も必要になります。

なお、家庭裁判所の手続きを経て離婚が成立した場合には、離婚届に加えて裁判所で作成された書類を添付する必要があります。たとえば、調停で離婚が成立した場合には「調停調書」、裁判上の和解によって離婚が成立した場合には「和解調書」、判決によって離婚が認められた場合には「判決書(および確定証明書)」などが必要になります。

 

離婚協議書

離婚に際して夫婦間で決めた条件を明確にするための書面が、「離婚協議書」です。離婚協議書の作成は任意ですが、「言った、言わない」といった無用な争いを避けるためには作成しておくことが望ましいと言えるでしょう。

離婚協議書には、主に次のような内容を記載することが一般的です。

  • 養育費
  • 財産分与
  • 慰謝料
  • 子の親権、面会交流
  • 年金分割

なお、離婚協議書は特別な様式が決まっているわけではなく、パソコンや手書きで自由に作成することが可能です。通常は当事者それぞれが保管できるよう、同じ内容の書類を2通作成し、それぞれが署名・押印を行います。また、作成した日付を記載しておくことも重要です。ただし、後々の争いを避けるために離婚条件を法的に有効な表現で記載しておきたい場合、行政書士や司法書士、弁護士などの専門家に相談しながら作成することをおすすめします。

さらに、養育費や慰謝料などの金銭の支払いを伴う場合には、離婚協議書を公正証書として作成しておくことが強く推奨されます。なお、「公正証書」とは、公証役場で公証人が作成する公的な文書です。

公正証書を作成する場合には、まず事前に夫婦で内容を整理し、公証役場と文案調整をしたうえで、当日に公証人の面前で内容確認と署名等をして作成します。ほとんどの公証役場は完全予約制となっているため、事前に電話等で予約を取り、必要書類や決めておくべき事項についても確認しておきましょう。

特に養育費や慰謝料などの支払いがある場合には、強制執行認諾文言付き公正証書として作成しておくことで、万が一支払いが滞った場合に裁判を経ることなく強制執行(給与の差し押さえなど)を行うことが可能になります。これは、相手からの支払いを確保するための強力な法的根拠となるため、離婚協議書ではしばしば利用されます。

 

離婚にかかる費用

離婚の手続きでは、状況によってさまざまな費用が発生します。夫婦間の話し合いだけで離婚が成立する場合は大きな費用がかからないこともありますが、公証役場で公正証書を作成したり、家庭裁判所で調停や裁判を行ったりする場合には一定の費用が必要になります。また、専門家に相談や依頼をする場合には、その報酬も考慮する必要があります。

ここでは、離婚手続きに関して発生する主な費用について、「法定費用」と「専門家に依頼する場合の費用」に分けて解説します。

 

法定費用など

まず、市区町村役場に提出する離婚届については、提出そのものに手数料はかかりません。そのため、協議離婚の場合、手数料等の負担なく離婚を成立させることが可能です。

ただし、離婚協議書を公正証書で作成する場合には、公証役場で公証人手数料が必要になります。公証人手数料は、公証人手数料令に基づき、記載する金額や内容によって決まります。養育費や慰謝料などの金額によって異なりますが、一般的には数千円から数万円程度になるケースが多いとされています。

また、家庭裁判所で離婚調停を申し立てる場合には、申立手数料として1,200円分の収入印紙に加え、裁判所からの郵送連絡などに使用する郵便切手代として、数千円程度の費用が求められることが一般的です。

さらに、調停がまとまらず離婚訴訟に進む場合には、訴訟提起の際に収入印紙(訴額に応じた額)や郵便切手代などの費用が必要になります。

このように、法定費用だけを見ると無料で済む場合も多く、離婚の手続きそのものに高額な費用がかかるわけではありません。ただし、公正証書の作成や裁判手続きなどを利用する場合には、一定の費用が発生する点に注意が必要です。

 

専門家に依頼する場合の費用

離婚に関する書類作成や交渉・訴訟の代理を専門家に依頼する場合には、別途報酬の支払いが発生します。

行政書士に依頼する場合には、主に離婚協議書の作成や公正証書原案の作成などを依頼することになります。費用の目安としては、離婚協議書の作成で3~6万円程度公正証書作成のサポートを含む場合には5~15万円程度になるケースが多く見られます。

弁護士に依頼する場合には、離婚交渉や調停・訴訟の代理などを依頼することになります。費用は事案の内容によって大きく異なりますが、相談料として30分5,000円程度離婚交渉や調停の代理では30~50万円程度、訴訟の場合にはさらに費用がかかることもあります。

また、配偶者の不貞行為に関する証拠収集のために探偵事務所へ調査を依頼する場合には、調査内容や期間によって費用が大きく異なりますが、数十万円程度になるケースも少なくありません。

 

国際カップルの離婚とは

国際結婚をしている夫婦が離婚を考える場合、日本人同士の離婚とは異なり、どの国で手続きを行えるのか、どの国の制度に従うのか、日本で成立した離婚が相手国でも有効に扱われるのかといった点を確認する必要があります。

また、日本で離婚が成立したとしても、それだけで相手国の戸籍や身分登録に自動的に反映されるとは限りません。逆に、海外で離婚が成立した場合も、日本側で必要な届出をしなければ、日本の戸籍上は婚姻中のまま残ることがあります。国際カップルの離婚では、「どこで離婚するか」だけでなく、「離婚成立後にそれぞれの国でどう反映させるか」まで見通して進めることが大切です。

 

手続きの流れ

国際カップルの離婚でも、まずは当事者間の話し合いで離婚条件を整理できるかを確認し、それが難しい場合には家庭裁判所での調停、さらに必要に応じて裁判へ進むという流れ自体は基本的に同じです。ただし、日本の家庭裁判所で調停や裁判を行えるかどうかは、夫婦の国籍や日本国内での住所の有無などによって変わります。

夫婦の一方が日本国籍で、かつ日本国内に住所がある場合には、日本の家庭裁判所で離婚調停や離婚訴訟を行える可能性があります。たとえば、日本人の夫または妻が日本に住んでおり、相手方が海外に居住しているような場合でも、日本の裁判所に国際裁判管轄が認められることがあります。

一方で、夫婦の双方が外国籍であっても、双方またはいずれかが日本国内に住所を有している場合には、日本で調停や裁判を進められる場合があります。反対に、夫婦の双方が日本に住所を有しておらず、日本との結び付きも弱い場合には、日本の家庭裁判所で手続きができず、相手国や現在の居住国で離婚手続きを行う必要が生じます。

もっとも、国際離婚では「日本で手続きできるかどうか」の判断が個別事情に左右されやすく、相手方の住所地、最後の共通住所、国籍、送達の可否なども問題になります。そのため、話し合いがまとまらず調停や裁判を検討している場合には、早い段階で管轄や必要書類を、家庭裁判所の窓口や市区町村役場の戸籍課、相手国の大使館・領事館などで確認しておくことが重要です。

日本で離婚が成立した場合、これを相手国で反映させるためには、離婚届受理証明書、戸籍謄本、判決書、調停調書などの提出が必要になることがあります。これらの書類には翻訳文を付けなければならないほか、提出先国の制度に応じて、アポスティーユや領事認証を求められる場合もあります。どの書類が必要か、翻訳を誰が行えるか、認証が必要かどうかは国ごとに異なるため、提出先国の大使館・領事館や関係機関への確認が欠かせません。

また、日本で協議離婚ができたとしても、相手国では裁判所や公的機関が関与した離婚でなければ有効と扱われないことがあります。そのため、相手国での効力まで見据える必要がある場合には、最初から調停離婚や裁判離婚を視野に入れて検討した方がよいケースもあります。

一方、先に相手国で離婚が成立した場合でも、日本側で届出をしなければ、日本の戸籍上は婚姻中のままとなってしまいます。そのため、外国で発行された離婚証明書に相当する書類に日本語訳文を付けて、日本の市区町村役場や在外公館に届け出を行う必要があります。

このように、国際カップルの離婚では、単に離婚を成立させるだけでなく、その離婚を双方の国でどのように反映させるかまで考える必要があります。相手国で日本の協議離婚が認められない場合には、再婚や相続などに支障が生じるおそれもあるため、日本で離婚が成立した段階で安心せず、相手国での取扱いまで確認しながら進めることが大切です。

 

専門家に依頼する場合の費用

国際カップルの離婚では、日本国内だけで完結する離婚に比べて、確認すべき事項や必要書類が増えやすく、専門家へ依頼する費用も高くなる傾向があります。

たとえば、行政書士に依頼する場合には、日本で提出する離婚届や受理証明書の取得手続、公正証書の原案作成、外国語書類の整理、相手国提出用書類の準備補助などについて相談する場面があります。費用は依頼内容や言語、必要書類の数によって異なりますが、国内案件よりも高くなることがあります。

弁護士に依頼する場合には、日本の家庭裁判所での調停や訴訟への対応に加え、国際裁判管轄、外国送達、準拠法、海外在住の相手方との交渉など、検討事項が増えるため、一般的な離婚事件より費用が上がることがあります。特に、相手方が海外にいる場合には、訴状や証拠書類の翻訳、送達に関する対応などが必要になることもあります。

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まとめ

離婚の手続きでは、さまざまな書類や制度を正しく理解して進めることが重要になります。特に日本では、話し合いによる離婚が多く行われていますが、離婚後のトラブルを防ぐためには、取り決め内容を文書として整理しておくことが大切です。

さらに、離婚に伴う問題は状況によって複雑になることもあります。離婚協議書の作成を依頼したい場合には行政書士、不動産の名義変更が必要な場合には司法書士、相手との交渉や裁判対応を依頼したい場合には弁護士、また不貞行為などの証拠収集が必要な場合には探偵など、それぞれの専門家の役割を理解したうえで必要に応じて相談することが有効です。

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