目次
成年後見制度の概要
成年後見制度とは、認知症、知的障害、精神障害などにより、物事を判断する能力が十分ではない方を法律面から支援する制度です。預貯金や不動産などの財産管理、介護サービスや施設入所に関する契約、相続手続きなどを本人だけで進めることが難しい場合に、本人の権利や財産を守るための仕組みとして利用されます。
成年後見制度には、大きく分けて「法定後見制度」と「任意後見制度」があります。法定後見制度は、すでに本人の判断能力が不十分になっている場合に、家庭裁判所の審判によって支援者を選任する制度です。一方、任意後見制度は、本人に十分な判断能力があるうちに、将来支援してもらう人や内容を契約で決めておく制度です。どちらも本人を支える制度ですが、利用するタイミングや手続きの進め方は異なります。
成年後見制度が注目される背景には、高齢化や認知症の増加があります。認知症や軽度認知障害は、本人の日常生活だけでなく、銀行手続き、介護・医療に関する契約、住まいの管理、相続への対応などにも影響します。そのため、成年後見制度は、特別な人だけが利用する制度ではなく、家族の将来設計や老後の備えを考えるうえでも身近な制度になりつつあります。
実際の利用状況を見ても、成年後見制度の利用者は増加傾向にあります。令和7年中の成年後見関係事件の申立件数は合計4万3,159件で、前年より約3.2%増加しています。そのうち、補助開始の申立件数は3,302件で、前年から約9.1%増加しており、後見・保佐・補助の中でも比較的大きな伸びが見られます。 これは、本人の判断能力が完全に失われる前の段階で、必要な範囲に限って支援を受けたいというニーズが一定程度あることを示していると考えられます。
この記事では、成年後見制度の中でも法定後見制度における「補助」に焦点を当て、補助人の役割や申立ての流れをなどを解説していきます。
法定後見制度とは
法定後見制度では、家庭裁判所によって選ばれた成年後見人・保佐人・補助人が、本人の法律行為や財産管理などを支援します。たとえば、本人に代わって契約をしたり、本人が重要な契約をするときに同意をしたり、本人が不利益な契約をしてしまった場合に取り消したりすることで、本人の権利や財産を守ります。
もっとも、法定後見制度は、本人の財産を後見人等が自由に管理するための制度ではありません。後見人等は、本人のために必要な範囲で職務を行う立場であり、本人の意思や生活状況、財産状況を踏まえて行動する必要があります。
法定後見制度は、本人の判断能力の程度に応じて「後見」「保佐」「補助」の3つに分かれており、ここではそれぞれの特徴や違いについて解説します。
3類型の違いとそれぞれの特徴
法定後見制度の3類型における特徴や違いは次の表のように整理できます。
| 類型 | 対象となる本人の状態 | 支援を行う人 | 主な支援内容 | 特徴 |
| 後見 | 判断能力を欠くのが通常の状態 | 成年後見人 | 財産管理や契約などを広く支援 | 3類型の中で最も支援の範囲が広い |
| 保佐 | 判断能力が著しく不十分な状態 | 保佐人 | 重要な法律行為について同意・取消しなどで支援 | 本人の判断を尊重しつつ、重要な場面で保護する |
| 補助 | 判断能力が不十分な状態 | 補助人 | 必要な範囲に限って同意・代理などで支援 | 3類型の中で最も限定的で柔軟な支援 |
後見は、本人が法律行為の意味や結果を理解して判断することが難しく、判断能力を欠くのが通常の状態にある場合に利用されます。成年後見人には、本人の財産管理や契約手続きなどについて広い権限が与えられます。
保佐は、後見ほどではないものの、判断能力が著しく不十分な方を対象とする制度です。本人がすべての行為を単独でできなくなるわけではありませんが、不動産の売買、借入れ、保証、相続の承認・放棄、遺産分割など、本人に大きな影響を与える重要な法律行為については、保佐人の同意が必要になることがあります。
補助は、3類型の中では最も支援の範囲が限定的な制度です。本人の判断能力に不安はあるものの、後見や保佐ほど広い支援までは必要ない場合に利用されます。補助では、本人の同意を前提に、家庭裁判所が必要な範囲で補助人の同意権や代理権を定めます。
このように、後見・保佐・補助は、本人の判断能力の程度、本人に残される権限、支援者が関与する範囲が異なります。特に補助は、本人の判断能力がある程度残っていることを前提に、必要な部分だけを支える制度です。
法定後見制度における「補助」とは

ここからは、法定後見制度の3類型のうち、本記事のテーマである「補助」について解説します。
補助を検討する場面としては、たとえば、日常生活はおおむね自分で送れているものの、高額な契約や財産管理になると判断に不安がある場合が考えられます。具体的には、軽度の認知症や軽度認知障害、精神障害、知的障害などにより、普段の買い物や身の回りのことはできても、不動産の処分、借入れ、保証契約、施設入所契約、介護サービス契約、預貯金の管理などについては、内容を十分に理解して判断することが難しいケースです。
ただし、補助を利用できるかどうかは、病名や診断名だけで決まるものではありません。重要なのは、本人がどの程度、自分で契約や財産管理に関する判断をできるかという点です。同じ認知症の診断がある場合でも、本人の生活状況や理解力、必要な支援内容によって、補助が適していることもあれば、保佐や後見を検討すべきこともあります。
補助人の役割と権限
補助人の権限は、主に「同意権」「取消権」「代理権」に分けて考えると理解しやすくなります。
| 権限 | 内容 | 補助における特徴 |
| 同意権 | 本人が特定の法律行為をする際に、補助人の同意を必要とする権限 | 家庭裁判所が定めた特定の行為に限られる |
| 取消権 | 補助人の同意が必要な行為を、本人が同意なく行った場合に取り消せる権限 | 同意権が付与された行為と結びつく |
| 代理権 | 補助人が本人に代わって契約や手続きを行う権限 | 家庭裁判所が定めた特定の行為に限られる |
まず、同意権とは、本人が一定の重要な法律行為をする際に、補助人の同意を必要とする権限です。たとえば、本人が高額な借入れをしようとしている場合、保証人になろうとしている場合、不動産を売却しようとしている場合などに、補助人が内容を確認し、本人に不利益がないかを判断することが考えられます。
もっとも、補助人の同意権は、保佐人の同意権のように一定の重要行為について当然に認められるものではありません。補助では、家庭裁判所が「どの法律行為について補助人の同意を必要とするか」を個別に定めます。
次に、取消権とは、補助人の同意が必要とされた行為について、本人が補助人の同意を得ずに行ってしまった場合に、その行為を後から取り消すことができる権限です。たとえば、補助人の同意が必要とされた借入れについて、本人が同意を得ずに契約をしてしまった場合、本人または補助人がその契約を取り消せることがあります。
ただし、取消権があるからといって、本人が行ったすべての行為を取り消せるわけではありません。取消しの対象になるのは、家庭裁判所が補助人の同意を必要とすると定めた行為です。日用品の購入など、本人の日常生活に関する行為まで広く取り消せるものではありません。補助制度は、本人の自己決定をできるだけ尊重する制度であるため、必要以上に本人の行動を制限しない仕組みになっています。
代理権についても、補助人に当然に広い権限が与えられるわけではありません。代理権とは、補助人が本人に代わって契約や手続きを行う権限です。たとえば、本人に代わって介護サービス契約を結ぶ、施設入所契約を行う、預貯金の管理をする、不動産の管理に関する手続きを行うといった場面で利用されることがあります。
しかし、補助人が代理できるのは、家庭裁判所が代理権を付与した特定の行為に限られます。補助人に代理権を与えるには、代理権付与の申立てが必要であり、家庭裁判所が必要性を認めた範囲で代理権が定められます。
一方で、補助人ができないことも押さえておきましょう。補助人は、家庭裁判所から代理権を与えられていない事項について、本人に代わって契約をしたり、財産を処分したりすることはできません。また、本人の意思を無視して生活方針を決めたり、日常の買い物や交友関係まで細かく制限したりする立場でもありません。
さらに、医療行為への同意、身元保証、身の回りの世話、日常的な介護なども、補助人であれば当然にできるというものではありません。補助人の職務は、主に法律行為や財産管理に関する支援です。もちろん、本人の生活状況を把握し、必要に応じて福祉サービスや関係機関につなぐことは重要ですが、補助人自身が介護サービスを提供する人になるわけではありません。
「補助人」に選ばれるのはどんな人?

補助人は、補助開始の審判とあわせて家庭裁判所が選任します。申立ての際に「この人を補助人候補者にしたい」と希望することはできますが、候補者として記載した人が必ず選ばれるわけではありません。家庭裁判所は、本人の判断能力、財産の内容、生活状況、必要となる支援の内容などを踏まえて、本人にとってふさわしい人を補助人に選びます。
補助人に選ばれる人としては、本人の配偶者、子、兄弟姉妹などの親族が候補になることがあります。本人の性格や生活状況、財産の内容をよく知っている親族であれば、本人の意思を尊重しながら支援しやすい面があります。特に補助は、本人の判断能力がある程度残っていることを前提とする制度ですので、本人と信頼関係があり、必要な場面で話し合いながら支援できる人が望ましいといえます。
もっとも、親族であれば当然に補助人に選ばれるわけではありません。たとえば、親族間で意見の対立がある場合、本人の財産管理に不安がある場合、本人との関係が良好ではない場合などには、家庭裁判所が親族以外の人を補助人に選任することがあります。また、本人の財産に不動産や事業用資産が含まれている場合、相続や遺産分割が関係している場合、法律的・福祉的な判断が必要な場合などには、専門職が選ばれることもあります。専門職としては、弁護士、司法書士、社会福祉士などが選任されるのが一般的です。
また、補助人は1人に限られるわけではありません。事案によっては、複数の補助人が選任されることもあります。たとえば、親族が本人の生活状況を見守り、専門職が財産管理や契約手続きに関する部分を担当するなど、本人に必要な支援の内容に応じて役割を分けることも考えられます。
一方で、誰でも補助人になれるわけではありません。未成年者、破産者、本人に対して訴訟をしている人やその配偶者・直系血族、行方の知れない人などは、補助人に選ばれることができない欠格事由に該当します。
「補助監督人」の役割とは
補助開始の審判では、本人を支援する人として補助人が選任されます。さらに、家庭裁判所が必要と認める場合には、補助人とは別に「補助監督人」が選任されることがあります。補助監督人は、すべての補助のケースで必ず選ばれる人ではなく、本人の財産や権利をより慎重に守る必要がある場合に、補助人の職務を確認する立場として関与します。
補助監督人の主な役割は、補助人が本人のために適切に職務を行っているかをチェックすることです。たとえば、補助人が家庭裁判所から与えられた権限の範囲内で事務を行っているか、本人の財産が不適切に使われていないか、本人に不利益な契約や支出がないかなどを確認します。
また、補助監督人は、本人と補助人との利益が対立する場面でも重要な役割を担うことがあります。たとえば、補助人自身と本人との間で契約をする場合や、補助人の親族と本人との間で利害が衝突する場合には、補助人が本人の利益だけを考えて判断することが難しくなる可能性があります。このような場面では、補助監督人が本人を代表したり、本人の行為に同意したりする役割を果たすことがあります。
補助監督人が選任されやすいケースとしては、本人の財産が多い場合、不動産の売却や管理など重要な財産処分が予定されている場合、親族間で意見の対立がある場合、補助人候補者による財産管理に不安がある場合などが考えられます。
補助開始の申立ての流れ

補助人を選任してもらうためには、本人の住所地を管轄する家庭裁判所に、補助開始の申立てを行います。また、補助開始の審判をするには、同意権の付与または代理権の付与の審判を同時に行う必要があります。つまり、「補助人を選んでほしい」という申立てだけでなく、「どの法律行為について補助人の同意を必要とするのか」「どの手続きを補助人に代理してもらいたいのか」をあわせて整理しておくことが大切です。
申立てができる人
補助開始の申立てができる人は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、検察官などです。任意後見契約が登記されている場合には、任意後見受任者、任意後見人、任意後見監督人も申立てができます。
ここでいう四親等内の親族には、親、子、兄弟姉妹、祖父母、孫、おじ・おば、甥・姪、いとこなどが含まれます。実際には、本人の配偶者や子など、本人の生活状況や財産状況を把握しやすい親族が申立人になるケースが多いでしょう。また、身寄りがない場合や、親族による申立てが難しい場合には、市町村長等が申立てを行うこともあります。
補助開始の申立てで特に重要なのは、本人の同意です。補助は、本人の判断能力がある程度残っていることを前提に、必要な範囲だけを支援する制度です。そのため、本人以外の人が補助開始を請求する場合には、本人の同意が必要とされています。
代理権付与や同意権付与についても、本人の意思確認が重要です。補助人にどのような権限を持たせるかは、本人の生活や財産管理に直接関わります。申立てを検討する段階では、本人がどの手続きに不安を感じているのか、どの部分を支援してほしいと考えているのかを、できる限り丁寧に確認しておきましょう。
手続きの流れと必要書類
手続きの大まかな流れは、次のとおりです。
- 本人の状態や必要な支援内容を整理する
- 同意権・代理権を付与してほしい行為を検討する
- 医師に診断書の作成を依頼する
- 戸籍、住民票、財産資料、収支資料などを集める
- 申立書、申立事情説明書、財産目録、収支予定表などを作成する
- 必要に応じて、代理行為目録や同意行為目録を作成する
- 家庭裁判所へ申立てを行う
- 家庭裁判所による書面確認、面談、調査などが行われる
- 必要に応じて鑑定が行われる
- 家庭裁判所が補助開始の審判をし、補助人を選任する
- 審判が確定し、補助人としての職務が始まる
主な必要書類を整理すると、次のようになります。なお、必要書類や書式は、家庭裁判所ごとに取扱いが異なることがあります。また、審理のために必要な場合には、追加書類の提出を求められることもあります。
- 補助開始申立書
- 申立事情説明書
- 親族関係図
- 本人の戸籍謄本
- 本人の戸籍附票
- 補助人候補者の住民票
- 本人の診断書
- 本人情報シート
- 登記されていないことの証明書
- 財産目録
- 収支予定表
- 預貯金通帳、不動産資料、保険証券、有価証券資料などの財産関係資料
- 年金額通知書、給与明細、施設利用料、医療費、介護費などの収支関係資料
- 代理権付与を求める場合の代理行為目録
- 同意権付与を求める場合の同意行為目録
特に、補助開始では、同意権または代理権の範囲を具体的に定める必要があります。たとえば、「預貯金の管理を代理してほしい」「施設入所契約を代理してほしい」「借入れや保証契約には補助人の同意を必要としたい」など、本人に必要な支援を具体的に整理しておくことが重要です。
法定後見制度の利用にかかる費用
補助開始の申立てを行う場合には、家庭裁判所へ納める手数料、郵便切手、診断書などの書類取得費用がかかります。また、補助人や補助監督人が選任された後は、家庭裁判所の判断により、本人の財産から報酬が支払われることもあります。
ここでは、制度の利用にかかる主な費用を紹介します。
手数料など
補助開始の申立てにかかる実費としては、収入印紙、郵便切手、診断書の作成費用、各種証明書の取得費用などがあります。
補助開始の審判をするには、同意権付与または代理権付与の審判を同時に行う必要があります。そのため、同意権付与または代理権付与のいずれか一方を求める場合には、補助開始の申立手数料800円に加えて、さらに収入印紙800円分が必要です。両方を求める場合には、補助開始の申立手数料800円に加えて、収入印紙1,600円分が必要になります。
主な実費を整理すると、次のとおりです。
- 補助開始の申立手数料:収入印紙800円分
- 同意権付与の申立て:収入印紙800円分
- 代理権付与の申立て:収入印紙800円分
- 登記手数料:収入印紙2,600円分
- 連絡用の郵便切手:家庭裁判所ごとに異なる
- 診断書の作成費用:医療機関によって異なる
- 鑑定費用:鑑定が必要な場合に発生
- 戸籍謄本、住民票、登記されていないことの証明書などの取得費用:実費
補助開始では、本人の判断能力を確認するために医師の診断書を提出します。また、診断書だけでは判断が難しい場合には、鑑定が行われることもあります。鑑定料は個々の事案によって異なるものの、10万円以下となるのが一般的です。
補助人・監督人に支払う報酬
補助人に支払う報酬は、本人や親族が自由に決めるものではありません。補助人が家庭裁判所に報酬付与の申立てを行い、家庭裁判所が本人の財産状況や補助事務の内容などを踏まえて決定します。
親族が補助人に選任された場合には、報酬を請求しないケースもあります。一方で、弁護士、司法書士、社会福祉士などの専門職が補助人に選任された場合には、通常、報酬付与の申立てが行われることが多いでしょう。
補助人の報酬額は、本人の財産額、補助人に与えられた権限の範囲、実際に行った事務の内容などによって変わります。たとえば、預貯金の管理や施設入所契約の代理など、比較的限定された事務だけを行う場合と、不動産の管理、相続、保険金請求などが関係する場合とでは、必要な対応が異なります。
家庭裁判所が公表している報酬額のめやすでは、通常の後見等の事務を行った場合、補助人を含む成年後見人等の報酬は月額2万円程度を基本とし、管理財産額が大きい場合には月額3~6万円程度となる例も示されています。
また、不動産の売却、遺産分割、保険金請求、訴訟対応など、通常の補助事務を超える特別な対応を行った場合には、基本報酬とは別に付加報酬が認められることがあります。補助制度は支援範囲が限定的であるとはいえ、実際に行う事務が複雑であれば、報酬額に影響する可能性があります。
補助監督人が選任された場合には、補助監督人への報酬も発生することがあります。補助監督人の報酬も、補助人の報酬と同じく家庭裁判所が判断し、本人の財産から支払われます。報酬額のめやすでは、監督人の基本報酬について、管理財産額が5,000万円以下の場合は月額1~2万円、5,000万円を超える場合は月額2.5~3万円程度となります。
専門家に依頼する場合の費用
補助開始の申立ては、本人や親族が自分で行うこともできます。ただし、申立書、申立事情説明書、財産目録、収支予定表、代理行為目録、同意行為目録など、家庭裁判所へ提出する書類は多くあります。また、補助開始では、同意権または代理権の範囲を具体的に整理する必要があるため、どの手続きについて支援が必要なのかを明確にしておくことも重要です。
ここで注意したいのが、行政書士の業務範囲です。行政書士は、官公署に提出する書類や権利義務・事実証明に関する書類を作成できる専門職ですが、他の法律によって業務が制限されているものについては取り扱うことができません。
補助開始の申立ては、家庭裁判所に対する手続きです。申立書、申立事情説明書、財産目録、収支予定表、代理行為目録、同意行為目録などは、家庭裁判所へ提出する書類に当たります。そのため、行政書士が報酬を得てこれらの書類を作成したり、申立手続きを代理したりすることはできません。つまり、行政書士は、基本的に補助開始を含む法定後見関連の申立手続そのものを請け負うことはできないと考える必要があります。
一方、司法書士は、裁判所に提出する書類の作成を業務として行うことができます。補助開始の申立書類の作成を専門家に依頼したい場合には、司法書士への依頼が選択肢になります。ただし、司法書士は、原則として家庭裁判所で申立人の代理人として手続きを進める立場ではなく、主な業務は裁判所提出書類の作成です。
弁護士は、申立書類の作成に加えて、申立人の代理人として家庭裁判所での手続きに対応できます。本人の同意をめぐって親族間で意見の対立がある場合、補助人候補者をめぐって争いがある場合、本人の財産関係が複雑な場合などは、弁護士への相談が適していることがあります。
専門家に依頼する場合の費用は、依頼先や事案の内容によって異なります。一般的には、司法書士に申立書類の作成を依頼する場合は10万円程度から、弁護士に申立代理を依頼する場合は20万円程度からが一つの目安として紹介されることがあります。ただし、本人の財産内容が複雑な場合、親族間に対立がある場合、追加の書類作成や調整が必要な場合には、さらに費用がかかることもあります。
まとめ
成年後見制度の「補助」は、法定後見制度の3類型の中でも、本人の判断能力が比較的残されている場合に利用される制度です。後見や保佐と比べると支援の範囲は限定的で、本人ができることは本人が行い、不安のある手続きについて補助人が支えるという点に特徴があります。
なお、補助開始を含む法定後見関連の申立ては、家庭裁判所に対する手続きです。そのため、行政書士が報酬を得て申立書類を作成したり、申立てを代理したりすることは基本的にできません。申立書類の作成を依頼したい場合は司法書士、家庭裁判所での手続き対応や親族間の対立を含めて相談したい場合は弁護士への依頼を検討することになります。
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特定行政書士として、幅広い業界における法務支援やビジネスサポートに従事するとともに、業務指導者としても精力的に活動。企業法務や許認可手続きに関する専門知識を有し、ビジネスの実務面での支援を中心に展開しています。(登録番号:03312913)