国際結婚の完全ガイド!手続きの流れや戸籍、ビザ等について徹底解説

国際結婚の現状

国際結婚とは、日本人と外国籍の方が婚姻関係を結ぶことを指します。国籍や文化の異なる二人が法的に夫婦として認められるためのものですが、日本人同士の結婚に比べて、手続きが少々複雑になる点が特徴です。

近年、日本人の国際結婚の総数は減少傾向にあります。法務省や厚生労働省の統計によると、2023年の婚姻数474,741件のうち、夫婦の一方が外国籍である数は18,475件で、全体の3.9%を占めています。この10年ほどの間、結婚する夫婦の数自体は年々減少を続けている一方で、結婚する夫婦に占める国際結婚の割合は3%代中ごろから後半で推移しています。また、2023年に日本人が国際結婚した相手の国籍は、中国が4,247件と最も多く、次いでフィリピン(2,986件)、韓国・朝鮮(2,804件)、アメリカ(1,407件)、タイ(823件)、ブラジル(551件)と続きます。

国際結婚をする夫婦の割合が横ばいで推移している背景には、留学や就労などを通じて外国人が日本で生活する機会が一定数あることや、SNSやマッチングアプリの普及によって国境を越えた出会いが可能になっていることが挙げられます。さらに、海外赴任や海外留学の経験を持つ日本人が現地でパートナーと出会い、結婚に至るケースも存在しています。グローバル化の影響で、今後も国際結婚の数は一定の割合で推移していくことが予想されます。

 

国際結婚の手続きの流れと必要書類

国際結婚を成立させるためには、日本と相手国の両方で婚姻が有効と認められる必要があります。そのため、どちらの国で先に婚姻手続きを行うかによって必要書類や流れが大きく異なる点に注意が必要です。

ここでは、日本で先に婚姻届を出す場合と、相手国で先に結婚手続きを行う場合の2つの方法について解説します。

 

日本で先に婚姻届を出す場合

外国人の配偶者がすでに何らかの在留資格を持って日本に居住している場合は、こちらの方法を取るのが一般的です。

1.必要書類の準備

まず、日本の婚姻届を入手し、記入します。婚姻届は、市区町村役場の戸籍課や自治体ホームページでのダウンロードなどで手に入れることができます。

次に、外国人配偶者の国籍国の在日本大使館・領事館で、婚姻届けの提出に必要な「婚姻要件具備証明書」などの書類を取り付けます。婚姻要件具備証明書とは、外国人配偶者の国籍国の法律において、その方が婚姻の成立要件を満たしていることを証明するための書類です。ただし、国によっては「婚姻要件具備証明書」というものがなく、「宣誓書」などの形で婚姻可能であることを証明する場合もあります。

なお、外国語の書類には全て日本語の翻訳を添付する必要があります。翻訳文書には翻訳者の名前を記載する必要はありますが、外国人本人や日本人の配偶者が作成したものでも認められます。

以下の表に、国際結婚の数が多い相手国上位6か国について、日本で婚姻届けを提出するために準備する書類をまとめました。なお、婚姻届けを提出する市区町村役場によっては、これ以外の書類を求められる場合もありますので、準備を始める前にまずは役場に電話して確認することをおすすめします。

外国人配偶者の国籍国 外国人側の必要書類
中国
  • 無配偶声明書(婚姻要件具備証明書)
  • その他の書類:届出を行う役場によっては、パスポートのコピーなどが求められる場合あり
フィリピン
  • 婚姻要件具備証明書
  • 出生証明書:PSA発行のもの
  • その他の書類:届出を行う役場によっては、パスポートのコピーなどが求められる場合あり
韓国
  • 家族関係証明書
  • 基本証明書
  • 婚姻関係証明書
  • その他の書類:届出を行う役場によっては、パスポートのコピーなどが求められる場合あり
アメリカ
  • 婚姻要件具備証明書
  • その他の書類:届出を行う役場によっては、パスポートのコピーなどが求められる場合あり
タイ
  • 独身証明書
  • 居住証明書:タイ国外務省の認証が付されたもの
  • 申述書:本国法律上の婚姻要件を具備している旨などを本人が宣誓するもの
  • その他の書類:届出を行う役場によっては、パスポートのコピー・出生証明書・タイ国民IDカードなどが求められる場合あり
ブラジル
  • 婚姻要件具備証明書
  • その他の書類:届出を行う役場によっては、パスポートのコピーなどが求められる場合あり

 

2.日本の市区町村役場への婚姻届提出

上記の書類を持参し、市区町村役場に婚姻届を提出します。なお、届出の際には本人確認書類(運転免許証、パスポート、在留カードなど)の提示が必要です。婚姻届が受理されると、1週間~10日程度で戸籍に反映されます。

 

3.相手国への届出

相手国が求める手続きに従い、日本で婚姻が成立したことを届け出ます(報告的婚姻届)
この手続きについて、国際結婚の数が多い相手国上位6か国の届出先と必要書類を以下の表にまとめました。ただし、状況によってはこれら以外の書類が必要になったり、書類への領事認証が求められる場合もあります。事前に届出先の大使館・領事館や役場等で確認しましょう。

なお、アメリカは外国で成立した結婚について、原則として自国への報告的婚姻届は不要としています。その代わり、アメリカ政府は他国で成立した婚姻について、夫婦の婚姻を証明する書類(結婚証明書など)の発行を行うことはありませんので、日本で発行される「婚姻届受理証明書」が最も強力な証明となります。

外国人配偶者の国籍国 必要書類 届出先
中国
  • 婚姻届受理証明書:日本の外務省と在日中国大使館での認証を受けたもの
  • その他の書類:届出を行う役場によっては、日本人配偶者のパスポートのコピーなどが求められる場合あり
中国人配偶者の戸籍所在地の役場
フィリピン
  • 結婚報告書(ROM):フィリピン大使館のホームページからダウンロード可
  • 婚姻の事実が記載された戸籍謄本
  • 婚姻届の記載事項証明書
  • 夫婦のパスポートのコピー
  • その他の書類:証明写真、レターパックなど
在日フィリピン大使館
韓国
  • 婚姻申告書:大使館のホームページからダウンロード可
  • 婚姻の事実が記載された戸籍謄本
  • 韓国人の家族関係証明書と婚姻関係証明書
  • 日本人配偶者のパスポートのコピー
在日韓国大使館・領事館
アメリカ なし(報告的婚姻届は不要)
タイ
  • 婚姻証明書:在タイ日本国大使館発行のもの
  • その他の書類:届出を行う役場によっては、日本人配偶者のパスポートのコピーなどが求められる場合あり
タイ人配偶者の住民登録がある市区町村役場
ブラジル
  • 婚姻登録申請書(Formulário de Registro de Casamento ):領事館のホームページからダウンロード可
  • 婚姻の事実が記載された戸籍謄本
  • 婚姻受理証明書
  • 婚姻届の記載事項証明書
  • 夫婦のパスポートのコピー
  • その他の書類:「ブラジル国籍保有者との婚姻登録歴皆無の宣誓書」など
在日ブラジル総領事館

 

相手国で先に結婚の手続きを行う場合

一方、日本人が相手国に住んでいる場合は、こちらの方法で結婚の手続きをされる方が多いです。

1.必要書類の準備

外国で婚姻手続きを行う場合、まずは日本人側の婚姻要件具備証明書が必要になります。婚姻要件具備証明書は日本の在外公館(大使館・領事館)で入手できますが、その際に日本の戸籍謄本や外国人配偶者の出生証明書などが必要になるため、事前に大使館のホームページ等で確認をしておくと良いでしょう。

 

2.相手国での婚姻手続き

相手国の役所や宗教機関などで、法的に定められた方法で婚姻手続きを行い、婚姻証明書を取得します。国によってはセレモニーが必要であったり、証人を求められる場合もあります。各国の結婚制度の特徴については後述します。

 

3.日本への届出

相手国での婚姻が成立したら、3ヶ月以内に日本の市区町村役場もしくは日本の在外公館(大使館・領事館)へ結婚の報告を行わなければいけません(報告的婚姻届)。この場合、日本の戸籍には相手国で婚姻が成立した日が婚姻日として記載されるのが一般的です。なお、在外公館で手続きを行った場合は、戸籍に記載されるまで1〜2ヶ月程度の時間を要しますので、急ぎの場合は日本の市区町村役場にて手続きを行うのが良いでしょう。

以下の表に、主要6か国で婚姻が成立した後の、日本への報告手続きの際に必要な書類について示します。なお、こちらも外国語の書類には翻訳の添付が必要です。

婚姻が成立した国 必要書類
中国
  • 婚姻届:日本大使館窓口で入手可
  • 結婚公証書
  • 中国人配偶者の国籍公証書
  • 夫婦の身分証明書の原本(パスポートなど)
フィリピン
  • 婚姻届:日本大使館窓口で入手可
  • 婚姻証明書
  • 婚姻許可証のコピー
  • 婚姻許可申請書のコピー
  • 婚姻要件具備証明書のコピー
  • 夫婦の身分証明書の原本とコピー(パスポート、出生証明書など)
韓国
  • 婚姻届:日本大使館窓口で入手可
  • 婚姻関係証明書
  • 家族関係証明書
  • 夫婦の身分証明書の原本(パスポートなど)
アメリカ
  • 婚姻届:日本大使館窓口で入手可
  • 婚姻証明書(Marriage Certificate)
  • 夫婦の身分証明書の原本(パスポート、グリーンカード、出生証明書など)
タイ
  • 婚姻届:日本大使館窓口で入手可
  • 婚姻登録証の原本とコピー
  • 住居登録証の原本とコピー
  • 夫婦の身分証明書の原本(パスポートなど)
ブラジル
  • 婚姻届:日本大使館窓口で入手可
  • 婚姻証明書( Certidão de Casamento )
  • 日本人の戸籍謄本
  • ブラジル人の身分証明書または出生証明書
  • 夫婦の身分証明書の原本(パスポートなど)

 

国際結婚と日本の法制度

国際結婚では、日本独自の法制度が関わるため、戸籍制度や夫婦の氏(姓)の取り扱いについて理解しておくことが重要です。ここでは、日本の戸籍制度の概要と、夫婦の氏(姓)に関する選択肢を解説します。

 

戸籍制度

日本では、結婚や離婚、出生など家族に関する身分事項を記録する「戸籍制度」があります。日本人同士の結婚の場合、氏を名乗る方が筆頭者となって新しい戸籍が編成され、夫婦は同じ戸籍に名前が記載されます。

しかしながら、国際結婚の場合は外国籍配偶者の戸籍が作られることはありません。そのため、婚姻届が受理されると、日本人の方が筆頭者となる新しい戸籍が編製され、外国籍の配偶者は日本人配偶者の戸籍の「身分事項」の欄に結婚相手として氏名、生年月日、国籍などが記載されます。

なお、外国籍の配偶者が日本に帰化した場合は、その時点で新たに戸籍が作成されます。

 

夫婦の氏(姓)

国際結婚では、夫婦の氏(姓)をどのようにするかも重要なポイントです。日本人同士の結婚では、婚姻時に夫婦どちらかの氏を選択する必要がありますが、国際結婚の場合は様々な選択肢が存在します。

 

日本人配偶者が戸籍上の氏を変更しない場合

日本人が戸籍上の氏を変更しないケースでは、以下のような選択肢が考えられます。

  1. 夫婦別姓:国際結婚の場合は外国籍配偶者が戸籍を持たないため、夫婦どちらかの氏に統一する義務はありません。婚姻届を提出後、何もしなければ日本人の戸籍上の氏は変更されないため、お互いに自分の氏をそのまま使い続けることとなります。外国籍配偶者は、それぞれの国の法律に基づいて結婚前の氏を維持することができます。
  2. 外国人配偶者が通称名として日本人の名字を使用する:外国籍の方が、日本人配偶者の名字を通称名として使用する方法もあります。この場合、市区町村役場にて「通称記載申出書」を提出すれば、住民票に通称名を併記することができます。これにより、マイナンバーカードや運転免許証に通称名を併記することができるようになり、通称名での社会生活を送りやすくなります。ただし、通称はあくまでも日本国内での取り扱いであるため、パスポートなどの出身国の書類は、結婚前の姓が使用されることとなります。
  3. 外国人配偶者の本名を日本人の名字に変更する:先述の「通称使用」とは異なり、外国人配偶者の本名そのものを変更したい場合、まずは本国で姓の変更手続きを行わなければなりません。国によっては婚姻による姓の変更を認めていない場合もあるので、変更の可否や手続きの方法については大使館等で確認しましょう。
    本国で名字の変更が認められたら、日本の名字のパスポートが発行されます。在留カードの更新の際、新しいパスポートを提示することで在留カードの名前も変更されます。また、日本人の戸籍の「身分事項」の欄に記載されている外国人配偶者の氏名は、市区町村役場にて新しいパスポートを提示すると、日本の名字に書き換えてもらうことができます。ただし、この手続きについては自治体によって取り扱いが異なる場合があるため、必要書類などは事前に電話で確認しておきましょう。

 

日本人配偶者が戸籍上の氏を変更する場合

婚姻時に日本人配偶者が外国籍配偶者の姓や複合姓(ダブルネーム)に変更することも可能です。ここでは、それぞれの手続きの詳細を説明します。

  1. 外国人配偶者の名字に変更する:結婚から6ヶ月以内に、本籍または住民票がある地域の役所に「外国人との婚姻による氏の変更届」を提出することで、戸籍上の氏を外国人配偶者のものに変更することができます。結婚から6か月以上過ぎてしまった場合は家庭裁判所に申し立てを行い、改姓を認めてもらう必要があります。
    この場合、日本の戸籍は漢字・ひらがな・カタカナしか使用できない決まりになっているため、外国の名字はカタカナに置き換えて表記する必要があります。「Smith」は「スミス」、「Williams」は「ウィリアムズ」または「ウィリアムス」などのように、できるだけ本来の発音に近いカタカナ表記で申請しましょう。
  2. 複合姓(ダブルネーム)に変更する:日本人が、戸籍上の氏を双方の姓を組み合わせた複合姓(ダブルネーム)をに変更するケースもあります。例えば、「ジェイコブ スミス」という外国人と「鈴木 幸子」という日本人が結婚し、「スミス鈴木 幸子」または「鈴木スミス 幸子」となるような場合です。
    この場合、複合姓を戸籍上の名字にするためには、結婚してから6か月以内であっても家庭裁判所の許可を得る必要があります。外国人配偶者の本国でダブルネームが採用されている場合などは認められやすいようですが、申し立てを行えば必ず改姓が認められるというわけではありませんので、複合姓に改姓したい理由をしっかりと説明できるようにしておきましょう。

 

国際結婚をして日本に暮らすための手続き

国際結婚をした外国人配偶者が日本で生活するためには、在留資格(いわゆる「ビザ」)を取得する必要があります。在留資格には多くの種類がありますが、通称「配偶者ビザ」と呼ばれる「日本人の配偶者等」という資格を取得するのが最も一般的です。「日本人の配偶者等」の資格は就労制限がないため、日本で長期的に安定した生活を送りたい方に適した在留資格です。

 

配偶者ビザの申請方法

配偶者ビザの取得には、在留資格認定証明書交付申請、または在留資格変更許可申請のいずれかを行います。手続きの選択は、外国人配偶者が現在どこに住んでいるか(すでに日本にいるか、海外にいるか)によって異なります。

 

1. 外国人配偶者が海外に住んでいる場合(呼び寄せ)

この場合は、まず日本人配偶者が日本国内の出入国在留管理局にて、在留資格認定証明書交付申請を行います。交付された認定証明書を海外の配偶者に送り、その書類を使って現地の日本大使館または総領事館でビザ申請をします。

この場合、婚姻の信ぴょう性が重要視されるため、交際歴のわかる写真やメッセージの記録などの資料の提出が有効です。偽装結婚の疑いを持たれないよう、事実関係を丁寧に証明する必要があります。

 

2. 外国人配偶者がすでに日本にいる場合

すでに短期滞在や留学など、別の在留資格で日本に滞在している外国人配偶者が、婚姻後に在留資格を変更して日本に住み続けるには、在留資格変更許可申請を行います。

この場合、現在の在留期限が切れる前に手続きを完了させる必要があります。審査には1か月程度を要する場合もあるため、余裕を持って申請を行いましょう。また、この場合も偽装結婚の疑惑をかけられないよう、同居の実態や交際歴がわかる資料を準備しておくと良いでしょう。

 

世界の多様な結婚の在り方と日本での取り扱い

現代の国際社会では、結婚の形もますます多様化しています。同性婚や一夫多妻制など、日本では法的に認められていない婚姻形態が、他国では合法とされている例も少なくありません。ここでは、そのような結婚が外国で成立した場合に、日本の法律上どのように扱われるかについて解説します。

 

海外で同性婚をした場合

近年、同性婚を認める国は増加しており、例えばアメリカ合衆国、カナダ、ドイツ、オーストラリア、台湾、スペイン、フランスなどでは同性カップルの結婚が合法化されています。これらの国で日本人と外国籍の同性パートナーが現地法に基づいて結婚した場合、現地では法律婚として認められます。

しかしながら、日本の現行法は、婚姻は異性間のみを想定していると解釈されるため、日本国内では同性婚は法律婚として認められません。 そのため、たとえ相手国で法的に結婚が成立していても、日本の戸籍には婚姻の事実を記載することはできません。

そのため、外国人配偶者に対する「日本人の配偶者等」の在留資格も認められません。ただし、人道上の観点から「特定活動」という在留資格を取得できる可能性があります。「特定活動」とは、他のどの在留資格にも該当しないものの、様々な事情を考慮し入管が特別に在留を認めるものです。

なお、同性カップルについて、近年では東京都や大阪市など一部の自治体がパートナーシップ証明制度を導入しており、一定の行政支援や社会的理解が進みつつあるのが現状です。

 

一夫多妻制の国で国際結婚をした場合

サウジアラビア、インドネシア、マレーシア、アラブ首長国連邦、エジプトなどでは、一夫多妻制(ポリガミー)を合法として認めています。一夫多妻とは、イスラム法などの宗教的な規範に基づき、男性が複数の妻を持つことで、このような文化圏で男性が日本人女性を含む複数の女性と婚姻関係を結ぶケースがあります。

しかし、日本では重婚は禁止されており、一夫一妻制が法的原則です。 よって、相手国で有効に成立した一夫多妻婚であっても、日本では2人目以降の婚姻は認められません。また、外国人がすでに複数の配偶者を持っている場合、そのうち1人だけとの関係しか日本では認められず、他の妻(または夫)は法律上の配偶者とは見なされません。

このため、一夫多妻制の国で法的に認められた結婚であっても、日本での婚姻届提出や在留資格の申請時には、日本法に照らして有効な1対1の婚姻関係であることが求められます。 2人目以降の配偶者に関しては、「永住者の配偶者等」などの在留資格は認められません。

 

世界各国の婚姻制度

国際結婚を検討する際には、相手国の婚姻制度や日本との制度の違いについて理解しておくことが重要です。ここでは、国際結婚の件数が多い主要6カ国の婚姻制度の特徴を紹介します。

 

中国

中国では「婚姻法」に基づき、男女双方の自由な意思による合意と、法的な手続きを経て婚姻が成立します。婚姻手続きは、戸籍所在地の民政局で行い、受理されれば夫婦の写真が載ったパスポートのような見た目の「婚姻登記証(結婚証明書)」が発行されます。ただし、日本で先に婚姻を成立させ中国で報告的届出を行った場合、この「婚姻登記証(結婚証明書)」が発行されない点に注意が必要です。

中国では、宗教的儀式は法律上の婚姻成立要件ではなく、あくまで民政局での法的手続きが必要です。婚姻の際には、身分証明書、独身証明書、戸口簿(戸籍に相当)などの提出が求められます。

 

フィリピン

フィリピンでは「家族法」に基づき、婚姻には教会婚または民事婚のいずれかが認められています。一般的には市町村役場で婚姻許可証(Marriage License)を取得し、その後に司祭や判事の立ち会いのもとで式を行い、正式に婚姻が成立します。宗教儀式が重視される文化的背景があり、特にカトリック教徒は教会婚を選択する傾向があります。

フィリピンの婚姻制度において特筆すべき点は、原則として離婚制度が存在しないことです。離婚によって婚姻を解消することができない代わりに、婚姻自体が無効であったことを認定する「無効宣告(annulment)」や「婚姻の取消し」によって解消が図られます。この手続きは法的ハードルが高く、費用も時間もかかるため注意が必要です。

 

韓国

韓国では「民法」に基づき、婚姻の成立には管轄の市・区・郡役所における婚姻届の提出が必要です。宗教的儀式や披露宴を行うこともありますが、日本と同様に法的効力を持つのは行政機関への届出のみです。届け出が受理されると「婚姻関係証明書」が発行されます。なお、韓国では戸籍制度が廃止されており、家族関係登録簿がその代わりとなっています。

 

アメリカ

アメリカでは州ごとに婚姻制度が異なりますが、基本的には婚姻許可証(Marriage License)を役所で取得し、司祭、牧師、判事など公的に認められた人物の立ち会いのもとで結婚式を挙げることで法的に成立します。式の後には婚姻証明書(Marriage Certificate)が発行されます。

 

タイ

タイでは「民商法典」に基づき、婚姻は地方の役場での婚姻登録によって法的に成立します。夫婦そろって役場へ出向き、登記官の面前で質問に答える形で登記を行います。寺院などでの宗教的な結婚式は文化的に重要視されるものの、法律上の効力はなく、必ず役所での手続きが必要です。

結婚の手続きが完了したら、「ティーラック」と呼ばれる婚姻証明書が発行されます。ただし、日本で先に結婚し、タイへ報告的婚姻届を行った場合には、婚姻証明書は発行されません。

 

ブラジル

ブラジルの結婚は、まず市の登記所で結婚の手続きを行った後、重婚を防ぐために約1か月間新聞に結婚の公示が行われます。この間に異議申し立てがなければ挙式を行い、法的な婚姻が成立します。その後、ブラジルの登記簿に結婚の事実が記載され、婚姻証明書が発行されます。

 

国際結婚の手続きにかかる費用

国際結婚の手続きを進める際には、いくつかの費用が発生します。ここでは、日本国内で必要となる法定費用や、行政書士など専門家に依頼する場合の費用について詳しく解説します。

 

法定費用など

国際結婚における法定費用は、主に以下のようなものが挙げられます。

  • 日本への婚姻届の提出手数料:無料(日本国内の場合)
  • 戸籍謄本の取得費用:450円/1通
  • 外国語書類の翻訳・認証・公証にかかる費用:数千円~数万円程度
    相手国で先に婚姻手続きをする場合や、日本の役所に外国語の婚姻証明書などを提出する場合、翻訳文やその公証が求められることがあります。
  • 相手国での婚姻手続きに必要な費用(在外公館での証明発行等):数千円〜
    相手国の制度により異なりますが、婚姻要件具備証明書や翻訳認証などに費用がかかるケースがあります。

 

行政書士に依頼する場合の費用

国際結婚の手続きは、国によって必要書類や手続きの流れが異なるため、専門家に依頼するケースも少なくありません。行政書士に依頼した場合の費用の目安は以下の通りです。

  • 国際結婚に関する書類作成・提出サポート(婚姻要件具備証明書、翻訳、届出サポートなど):5万~10万円程度
  • 翻訳文の作成:1通あたり5,000円~2万円程度
  • ビザ申請のサポート(配偶者ビザ申請などを含む):10万円~20万円程度

 

まとめ

国際結婚は、法律、文化、宗教などの要素が関わる意外にも複雑な手続きです。この記事では、日本および相手国における婚姻の手続きの流れ、日本の法制度における取り扱い、国際結婚後の在留資格の取得、世界の多様な結婚制度などについて幅広く解説しました。

国際結婚を検討している方は、自分たちの状況に合った手続きを正しく理解し、余裕を持って準備を進めることが円滑な婚姻成立とその後の生活への第一歩となります。必要に応じて行政書士などの専門家の力を借りることで、安心して手続きを進めることができるでしょう。

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