契約書の完全ガイド!構成や注意点から専門家が作成する際の費用相場まで行政書士が徹底解説

はじめに

契約書は、ビジネスから日常生活に至るまで、あらゆる取引の信頼を支える重要な書類です。売買、賃貸、委託、雇用など、私たちは意識しないうちに数多くの「契約」に関わっています。

この記事では、契約書の基礎や知っておきたいポイント、専門家に作成を依頼する場合の費用相場などを、行政書士の視点から丁寧に解説していきます。

 

「契約」とは

「契約」とは、当事者同士が一定の目的をもって意思表示を交わし、法律上の権利義務関係を発生させる行為をいいます。民法第522条では、「契約は、当事者の一方の申し込みと、他方の承諾によって成立する」と定められています。つまり、売買契約であれば「売りたい」「買いたい」という意思が一致した時点で契約が成立します。契約は口約束でも成立しますが、証拠や合意内容を明確にするためには契約書の作成が欠かせません。

 

契約の方法

契約の方法にはいくつかの形態があり、目的や取引の重要度に応じて適切な手段を選ぶことが大切です。ここでは、4種類の契約の方法をご紹介します。

 

口頭での契約

もっとも簡易な方法が「口頭での契約」です。たとえば、日常的な買い物や軽微な業務委託などは口約束でも成立します。ただし、証拠が残らないため、後のトラブル時に「言った・言わない」の争いになるリスクがあります。そのため、重要な契約ほど書面化が推奨されます。

 

契約書による契約

最も一般的な方法が「契約書」による契約です。双方が署名・押印した書面は、合意内容を客観的に証明できる強力な証拠となります。契約書の内容次第で、権利義務の範囲や責任の所在が明確化され、紛争予防につながります。ビジネスシーンでは、ほとんどの取引がこの方式で行われます。

本記事では、契約書に記載すべき内容や契約書を作成する際に知っておきたい知識などについて後述しますので、参考にしていただければ幸いです。

 

公正証書による契約

「公正証書」とは、公証人が公証役場で作成する公的な契約文書のことです。なかでも「強制執行認諾文言付公正証書」は、例えば債務者が支払いを怠ったような場合に、裁判を経ることなく直ちに強制執行(差押えなど)を行うことができる強力な法的効力を持つため、金銭消費貸借契約や離婚に伴う養育費の取り決めなど、確実な履行を担保したい契約で利用されます。

契約書を公正証書で作成するためには、まず、当事者が契約内容の原案を作成し、公証役場に相談・予約を行います。その後、公証人が内容を確認し、法令違反や不備がないか審査します。必要に応じて修正を経たうえで、公証人が正式な公正証書を作成し、当事者が署名・押印して完成します。作成費用は契約の内容により異なりますが、数千円から数万円程度が一般的です。

このように、公正証書は「裁判をせずに権利を行使できる契約文書」として非常に信頼性が高く、主に金銭関係の契約で有効な手段です。

 

電子契約

近年急速に普及しているのが「電子契約」です。クラウド型の電子署名サービスを使うことで、印紙税が不要で、コストや書類の受け渡しの手間を大幅に削減できるというメリットがあります。電子署名法に基づき、適法な電子署名が施された契約は、紙の契約書と同等の法的効力を持ちます。企業間取引のデジタル化が進む中で、電子契約は今後さらに主流となるでしょう。

一方で、電子契約にもいくつかのデメリットがあります。たとえば、取引先が電子契約サービスを導入していない場合に契約手続きが進まない、あるいは電子署名の有効性や本人確認手続きに関する知識が不足していると、法的効力に疑義が生じる可能性があります。また、電子データである以上、情報セキュリティの確保やクラウドサービスの運用停止リスクにも注意が必要です。これらの点を踏まえ、電子契約を導入する際には、信頼できるサービスを選ぶことが重要です。

 

契約書の役割

契約書の最大の役割は、「合意内容を明確にし、法的効力を付与すること」にあります。

 

合意内容の明確化

契約書を作成することで、契約当事者が何に合意したのかが明確になります。取引条件や支払い方法、納期、責任分担などを具体的に記載することで、誤解やトラブルを未然に防ぐことができます。

 

法的効力の付与

契約書には、双方の署名または押印があることで、法的効力が生じます。契約不履行があった場合、契約書をもとに損害賠償請求や訴訟を行うことが可能になります。つまり、契約書は「万一の際に自分を守る法的な盾」ともいえる存在です。

 

代表的な契約書の例

契約書は、取引の内容や目的に応じて作成するものであるため、その種類は無数に存在します。以下の表では、社会やビジネスの場面で頻繁に使用される代表的な契約書を30種類ご紹介します。

これらの契約書は、取引内容や目的によって作成方法や注意点が異なります。重要な契約の場合は、事前に行政書士や弁護士など専門家の確認を受けることで、法的なリスクを最小限に抑えることができるでしょう。

契約書の種類 利用場面・目的 解説
1. 売買契約書 不動産売買・動産売買・企業間取引 売主と買主が物品や不動産の売買を行う際に使用。代金・引渡時期・所有権移転の条件などを定める最も一般的な契約書の一つ。
2. 賃貸借契約書 不動産賃貸・動産リース 建物や土地、設備を貸し借りする際に使用。賃料・期間・原状回復義務等の条件を記載する。
3. 請負契約書 工事・製造・業務委託 請負人が成果物を完成させる義務を負い、注文者が報酬を支払うための契約。建設業などで多く用いられる。
4. 委任契約書/準委任契約書 訴訟代理(弁護士)・税務代理(税理士)・コンサルティング契約等 法的・事務的な行為を依頼する際の契約。結果物ではなく「業務遂行の過程」に責任を負う点が特徴。「委任契約」は法律行為に関するもの、「準委任契約」は法律行為以外に関するもの。
5. 雇用契約書 正社員・パート・アルバイトの雇用 労働条件や就業規則、賃金、勤務時間等を定め、労働契約法に基づき締結。
6. 業務委託契約書 フリーランス業務等 「請負契約」「委任契約」「準委任契約」の総称として用いられることが多い。雇用関係を伴わず、成果や業務の遂行を委託する契約全般を指す。個人事業主との取引に多い。
7. 共同開発契約書 技術・製品開発 複数企業が共同で製品や技術を開発する際の契約。知的財産権や成果物の帰属を明確にする。
8. 研究開発契約書 研究機関・企業等の共同研究 研究成果の利用権や秘密保持の範囲等を定める契約。大学等の研究機関と企業間で多く見られる。
9. 秘密保持契約書(NDA) 業務提携・共同研究等の取引開始前 ビジネス上の機密情報を第三者に漏らさないための契約。交渉段階でも重要。
10. 代理店契約書/販売代理契約書 製品販売や取次業務 販売代理店の権限範囲や報酬、契約期間を明確にする。メーカーと販売業者間で締結されることが多い。
11. フランチャイズ契約書 チェーン店の展開 本部(フランチャイザー)と加盟店(フランチャイジー)の権利義務、ロイヤリティ条件を定める契約。
12. 使用貸借契約書 物品・不動産等の無償貸与 金銭の授受を伴わず物を貸す契約。無償で使用させるため、トラブル防止のために条件を明記することが重要。
13. 金銭消費貸借契約書 金銭の借入・貸付 金銭を貸し借りする契約で、返済期日・利息・返済方法を明記。公正証書(強制執行認諾文言付)にすれば、債務不履行時に裁判を経ず差押え可能。
14. 和解契約書 紛争解決 裁判外でのトラブル解決に使用。互いの譲歩内容を明文化し、再度争いが起きないようにする。
15. 事業譲渡契約書 会社の一部事業の譲渡 営業権・取引先・資産・従業員などの引継条件を定める。M&Aで重要な契約。
16. 株式譲渡契約書 株主間取引・M&A 株式の売買条件や譲渡価格、譲渡制限の有無などを定める。
17. 合併契約書/会社分割契約書 企業再編 会社法に基づき、合併や分割の方法・効力発生日などを明記。登記の根拠となる重要書類。
18. 投資契約書/出資契約書 ベンチャー投資・共同事業 出資額・持分比率・配当条件などを定め、投資家と企業の関係を明確化。
19. リース契約書 機器・車両等のリース 所有権をリース会社に残したまま、一定期間使用する契約。賃貸借契約に類似するが、主に動産の長期利用に用いられる。中途解約違約金などの条件が設定されるのが通例。
20. ソフトウェアライセンス契約書 IT・ソフトウェア使用 ソフトウェアやシステムの使用範囲、禁止事項、サポート内容などを定める契約。
21. ウェブ制作委託契約書/システム開発委託契約書 Webサイト・システム開発 仕様・納期・著作権の帰属・瑕疵対応を明確にする契約。IT業界では必須。
22. 出版契約書 書籍・雑誌出版 著者と出版社の間で出版権や印税率、発行条件を取り決める。
23. 著作権譲渡契約書 著作物の売買 著作権の全部または一部を譲渡する契約。音楽・イラスト等のクリエイティブ業界で多用される。
24. 使用許諾契約書 著作権・特許の使用 知的財産を一定の範囲で利用する権利を与える契約。ライセンス契約とも呼ばれる。
25. パートナーシップ契約書/業務提携契約書 共同事業・協業 企業同士が対等な立場で協力関係を築くための契約。成果物や責任範囲を定義。
26. 売掛債権譲渡契約書/債権譲渡契約書 資金調達・債権整理等 債権を他者に譲渡する際に使用。資金繰り改善(ファクタリング)や債権整理、回収困難な債権の現金化等で利用される。
27. 離婚協議書/養育費合意書 離婚時の取り決め 財産分与や養育費、親権、面会交流などを明確化。公正証書(強制執行認諾文言付)にすれば、支払いが滞った場合に裁判を経ず差押え可能。
28. 遺産分割協議書 遺産相続 相続人全員の合意内容を記録する文書。相続登記や銀行手続きに必要。相続人が1人の場合等、作成不要のケースあり。
29. 死後事務委任契約書 死後の事務処理の委任 葬儀・納骨・行政手続きなどを第三者に委任する契約。終活の一環として注目されている。
30. 任意後見契約書 任意後見人の選任 将来の判断能力低下に備え、本人が元気なうちに信頼できる人を後見人に選任する契約。公正証書での作成が必須。

 

契約書に記載すべき内容

契約書は、単に合意を文書化するだけでなく、当事者の権利と義務を明確にし、将来的な紛争を防ぐ重要な役割を果たします。ここでは、契約書を構成する3つの基本要素「表題・前文」「契約条項」「後文」について解説します。

 

表題・前文

表題は契約の種類を示す部分で、たとえば「売買契約書」「業務委託契約書」など、契約の目的を一目でわかるように記載します。

前文には、契約の背景や趣旨、当事者の名称・所在地・代表者名などを記載します。これにより、契約の成立当事者を特定し、契約の目的や範囲を明示することができます。また、契約書で繰り返し使用される当事者名に「甲」「乙」などの略称を使用する場合は、前文で「貸主○○(以下、「甲」とする)」のように定めておくと良いでしょう。

 

契約条項

契約条項は契約書の最も重要な部分で、当事者それぞれの権利と義務を抜け漏れなく記載しなければなりません。契約内容に応じて作成する必要がありますが、以下の表のような内容は「一般条項」と呼ばれ、多くの契約書に共通して盛り込まれています。

一般条項 概要
契約期間 契約の有効期間と開始日・終了日を明示し、更新や終了の条件を定める。
損害賠償 契約違反や不履行によって損害が生じた場合の賠償額等を規定。過失や故意の有無により責任範囲を限定する場合あり。
期限の利益喪失 支払遅延や重大な違反、債務者の破産等があった場合、本来の支払い期限を待たずに一括請求できる旨を定める条項。金銭消費貸借契約の他、売買契約等で使用されることもある。
守秘義務 契約の過程で知り得た情報を第三者に漏らさない義務を定める。取引先や技術情報の保護に不可欠。
契約解除事由 どのような行為・状況が契約解除の対象となるかを明記。たとえば「支払遅延」「信用不安」「法令違反」等の場合は即時に解除できるとするのが一般的。
反社会的勢力の排除(反社条項) 当事者やその関係者が暴力団等の反社会的勢力に関与していないことを確認し、違反時の解除権を規定。近年では、多くの企業契約で必須条項。
権利義務の譲渡禁止 契約上の地位や権利義務を第三者に譲渡・移転できないことを明記。契約の相手方が意図せず変更となることを防止したい場合に規定される。
準拠法・合意管轄 紛争が発生した場合に適用する法律(準拠法)と、訴訟を行う裁判所(合意管轄)を定める。特に国際的な契約では不可欠。
協議条項 契約の解釈や実施に関して疑義が生じた場合、まずは当事者間で誠実に協議することを求める条項。裁判前の紛争防止に有効。

 

後文

後文には、契約締結の最終確認として、契約日・署名または押印・契約書の通数・保管方法などを記載します。例えば「本契約書の原本2通を作成し、甲乙それぞれ記名押印の上、各自その1通を保有する」などの記載が一般的です。電子契約の場合は、署名済みデータを両者で保管し、改ざん防止措置が講じられていることを確認しておくことが重要です。

 

契約書は自分で作成できる?

結論から言えば、契約書は自分で作成することも可能です。特に、個人間の取引や小規模な業務委託契約などでは、インターネット上の雛形(テンプレート)を参考にして自作するケースも少なくありません。ただし、契約書は単なる「形式的な文書」ではなく、法的効力を持つ当事者間のルールブックであることを理解しておく必要があります。契約の金額が大きい場合や、内容が複雑な取引では、行政書士・司法書士・弁護士などの専門家に確認を依頼するのが安心です。

自分で作成しやすい契約書としては、個人間の売買契約書や賃貸借契約書、金銭消費貸借契約書、簡単な業務委託契約書など、取引内容が明確で条項の数が限られているものが挙げられます。これらは、テンプレートを基に修正を加えることで、一定の法的効力を持つ契約書を作成することができます。

一方で、専門家への依頼がおすすめなのは、事業譲渡契約書、株式譲渡契約書、投資契約書、共同開発契約書、フランチャイズ契約書など、取引の金額が大きくなりがちで、複数の法令や権利関係が関わる契約書です。また、宅地建物取引業法や労働契約法など、法令で記載しなければならない条項が定められている契約書も、専門家に依頼することが望ましい範囲に含まれます。これらの契約書は、法定記載事項を欠くと無効となる条項が生じたり、行政指導・処分等の対象となるおそれがあるため、条項内容の確認や更新も重要です。

 

契約書を作成する際に抑えるべきポイント

契約書を作成する際には、法的な形式を満たすだけでなく、トラブル防止の観点からもいくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。ここでは、特に実務で注意が求められる3つの要素「収入印紙」「契約書が無効になるケース」「割印・契印」について解説します。

 

収入印紙の必要な契約書とは

契約書のうち、印紙税法で「課税文書」に該当するものには収入印紙を貼付する義務があります。代表的な例としては、不動産売買契約書、金銭消費貸借契約書、工事請負契約書などが挙げられます。印紙税額は契約金額に応じて定められており、印紙の貼り忘れや金額の誤りがあると、追徴課税や過怠税が課されるおそれがあります。なお、収入印紙が必要な文書の種類と金額については、国税庁のホームページで確認することができます。

さらに、契約書を原本として複数作成する場合には、作成する原本の数だけ収入印紙を貼付する必要があります。たとえば、甲・乙それぞれが1通ずつ原本を保管する場合は、2通分の収入印紙が必要になります。印紙税額の目安としては、不動産売買契約書の場合、契約金額が100万円超~500万円以下の場合は2,000円、500万円超~1,000万円以下の場合は1万円、1,000万円超~5,000万円以下の場合は2万円など、契約金額に応じて段階的に設定されています。

なお、電子契約の場合は印紙税法上の「紙の課税文書」に該当しないため、収入印紙の貼付は不要です。

 

契約書が無効になるケース

契約書が成立していても、一定の要件を欠く場合や公序良俗に反する内容が含まれる場合は、法的効力を失う可能性があります。たとえば、未成年者が親の同意なく締結した契約、詐欺や強迫による契約、公序良俗に反する契約などは無効または取り消しの対象となります。

ここで、「公序良俗に反する契約」とは、社会の基本的な倫理観や法秩序に反する内容を含む契約のことを指します。具体的には、愛人契約、賄賂や犯罪行為を前提とした契約、売春や人身売買を目的とする契約などが典型例です。また、過度に高金利を設定した貸付契約や、労働者の基本的権利を不当に制限するような契約も、民法第90条に基づき「公の秩序または善良の風俗に反する」として無効とされる場合があります。

また、契約内容が著しく不公平である場合にも、契約が無効または一部無効と判断されることがあります。たとえば、消費者契約法では、事業者と消費者の情報・交渉力の格差を考慮し、消費者に著しく不利益を与える条項(例:事業者の責任を一方的に免除する、違約金を過大に設定するなど)は無効とされています。その他、民法上の「錯誤」や「不当な圧力」によって合理的な合意形成が行われていない場合にも、契約の一部または全部が無効とされることがあります。

このように、契約書の内容は形式的に署名・押印されていても、社会通念や法令に照らして妥当であることが求められます。したがって、契約締結前には、条項が過度に偏っていないか、法的に問題のない内容かを慎重に確認することが重要です。

 

割印・契印とは

契約書は通常、当事者双方が署名押印した原本や控えをそれぞれが保管します。その際、複数ページにわたる契約書や複数の部数の契約書を用意する場合には、「割印(わりいん)」や「契印(けいいん)」を施すことで文書の一体性と真正性を確保します。これらの割印・契印は契約に関与するすべての当事者のものが必要です。

割印とは、当事者それぞれが保管する複数の契約書(複数の原本や、原本と控え1部ずつ、原本1部と控え2部など)を少しずつずらして重ね、ずらした部分に押印することで各書類に印影の一部を残します。これにより、各契約書が同時に作成された同じ内容のものであることを証明し、一方的な改ざんや複製を防止する効果があります。

一方、契印は、契約書が複数ページにわたる際に各ページのつなぎ目に押印するもので、文書の抜き取りや差し替え防止を目的とします。いずれも法的義務ではありませんが、実務上は信頼性を担保する重要な手続きといえます。

 

契約書の作成を依頼できる専門家と費用相場

契約書の作成は自分で行うことも可能ですが、法的な抜け漏れを防ぎ、トラブルを未然に防止するためには専門家への依頼が有効です。

ここでは、契約書の作成やチェックを依頼できる主な専門家である行政書士・司法書士・弁護士の役割と、費用の目安について解説します。事業関連の契約書や官公庁への提出が前提となる文書は行政書士、登記を伴う契約は司法書士、訴訟リスクを想定する場合は弁護士といった形で依頼先を検討すると良いでしょう。

 

行政書士

行政書士は、契約書をはじめとする権利義務や事実証明に関する書類を作成できる国家資格者です。行政書士が作成する契約書は、法令に基づく形式を満たし、当事者間の合意を的確に反映させることができます。特に、業務委託契約書、売買契約書、請負契約書、離婚協議書、遺産分割協議書などの作成を得意としています。なお、行政書士は書面作成・内容整備が中心で、訴訟代理や相手方との交渉代理は行いません。

費用の目安は、一般的な契約書で2〜5万円程度、複雑な契約内容や特約条項を多く含む場合は10万円を超えるケースもあります。また、契約内容の確認や修正を行う「契約書チェック」のみを依頼することも可能で、その場合は1万円前後が相場です。

 

司法書士

司法書士は、不動産登記や商業登記などの登記関連業務を中心に行う国家資格者です。ただし、契約書の作成自体も行うことができ、特に不動産売買契約書や会社設立時の出資契約書など、登記手続きに密接に関わる契約書の作成を得意としています。また、司法書士は簡易裁判所での訴訟代理権を持つため、契約に関する紛争が発生した際の法的手続きにも対応できるケースがあります。

費用の目安は、契約書作成が3〜8万円程度、登記を含む場合は10万円を超えることもあります。

 

弁護士

弁護士は、契約書の作成から法的紛争の解決までを一貫して対応できる唯一の専門家です。複雑な取引や高額な契約、リスクの大きい契約(例:投資契約書、事業譲渡契約書、M&A関連契約など)では、弁護士の関与が推奨されます。弁護士は契約内容の法的リスクを精査し、将来的なトラブルや訴訟を防ぐ観点から条項を設計します。

費用の目安は、契約書作成が5〜15万円程度、法的助言や交渉を含む場合は20万円を超えることもあります。顧問契約を締結している場合は、月額顧問料の範囲内で契約書チェックや作成を依頼できるケースも多く見られます。

 

まとめ

契約書は、単なる形式的な書面ではなく、当事者間の信頼関係を法的に裏付ける重要な証拠です。内容を十分に確認せずに署名・押印してしまうと、後に思わぬトラブルを招くおそれがあります。特に、契約条項の不備や法令違反、公序良俗に反する内容は契約そのものの無効につながることもあるため、作成段階から慎重に進めることが大切です。

一方で、契約内容が複雑であったり、金額が大きかったり、将来的なリスクを含む場合には、行政書士や司法書士、弁護士などの専門家に依頼するのが安全です。信頼できる専門家と連携しながら、内容の明確化と法的安定性を確保することが、安心してビジネスや生活を進めるための第一歩といえるでしょう。

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