帰化申請の流れとは?具体的な流れ・ステップ・ポイントをわかりやすく解説

帰化申請とは

「帰化申請」は、外国籍の方が日本国籍を取得するための手続きです。日本での生活が安定しており、納税や法令遵守を続けている方が、「日本人として暮らしたい」と思ったときに進めるものと考えてください。 帰化が許可されると、日本のパスポートの取得や選挙権・被選挙権が得られ、在留期間の更新も不要になります。一方で、必要書類が多く、取得先も複数にわたるため、段取りよく準備することが大切です。

まず知っておきたい流れ

帰化までの全体像は次のとおりです。

  • 法務局に「国籍(帰化)相談」を予約し、要件と必要書類の案内を受ける
  • 住民票・課税(非課税)証明書・在留カードの写し・本国書類などの必要書類を収集する
  • 帰化申請書・履歴書・帰化理由書・親族関係図などを作成し、法務局へ提出する
  • 面談に臨み、求められた追加資料に対応する
  • 許可後、官報で告示され、日本国籍を取得する

永住許可との違い

「帰化」と「永住」は目的が異なります。

  • 帰化申請:国籍を日本に変える手続き(日本人になる)
  • 永住許可:国籍はそのまま、無期限で日本に在留できる資格

どちらが良いかは状況によって変わります。比較の詳細は別記事でご案内していますが、本記事では帰化の進め方に絞って解説します。

関連コラムはこちら↓

永住権を取得するには?要件や必要書類、他のビザとの違いについて解説

 

帰化申請の流れ【ステップごとに解説】

初めての方は、まず「全体の道筋」を押さえるのがコツです。帰化は大きく6つのステップで進みます。最初に法務局で要件と必要書類を確認し、書類を集めて作成・提出、面談を経て、許可後に官報告示と市区町村での各種手続きへ、という流れです。

STEP1 法務局への相談・予約

管轄の法務局に「国籍(帰化)相談」の予約をします(予約制)。この場で、あなたの状況に合わせた要件の確認と、集めるべき書類のリストを案内してもらえます。不明点はこの段階で確認しておくと、その後の準備がスムーズです。

STEP2 必要書類の準備

案内に沿って書類を集めます。代表例は次のとおりです。

  • 住民票、課税(非課税)証明書、在留カードの写し
  • 本国の出生・婚姻などの証明書(日本語訳を添付)

本国書類の取り寄せや翻訳には時間を要するため、最優先で着手してください。

STEP3 帰化申請書類の作成

帰化申請書、履歴書、帰化理由書、親族関係図などを作成・整備します。記載ミスや抜け漏れは再提出の原因になります。提出前に「日付・数字・氏名表記・添付の有無」をチェックリストで確認しておきましょう。

STEP4 法務局での提出・面談

書類を提出し、面談を受けます。面談では、日本語でのやり取りを通じて次の点が主に確認されます。

  • 帰化を希望する理由
  • 収入や納税などの生計状況
  • 家族構成・住居・日常生活の様子(日本語での生活能力を含む)

特別に身構える必要はありません。事実に基づいて、落ち着いて答えれば大丈夫です。

STEP5 許可・不許可の結果通知

審査には個人差があり、数か月〜1年以上かかることもあります。結果は法務局から本人に通知され、許可の場合は官報で告示されます。(標準処理期間は公表されておらず、実際の期間は案件により異なります。)

STEP6 官報告示と市区町村での手続き

官報で告示された日が帰化日です。帰化届の提出など、各種手続きに進みます。

この6ステップを頭に入れておくと、全体の見通しが立ち、余裕を持って準備を進められます。

 

帰化申請の条件とは(許可要件)

まずは「自分は要件を満たしていそうか」をサッと確認しましょう。帰化の可否は国籍法などに基づき“総合判断”されます。ここで挙げるのは代表的なポイントで、状況により緩和や例外がある場合もあります。迷ったら早めに法務局で相談するのがおすすめです。

継続居住年数(住所要件)

原則、日本に引き続き5年以上住んでいることが目安です。就労や納税が途切れず行われているかも見られます。 日本人の配偶者がいる場合などは、短くなることがあるため個別に確認しましょう。

成人であること(能力要件)

申請時に18歳以上であること、かつ本国法上の行為能力が必要です。未成年の方は、親と一緒に申請する特例が使えるケースがあります。

犯罪歴・素行要件

過去の犯罪歴や違反歴の内容・時期によっては不利になることがあります。日ごろから法令遵守・納税・交通ルールをきちんと守れているかが大切です。軽微な違反でも、その後の改善状況が確認されると思っておきましょう。

安定した収入・納税状況(生計要件)

生活保護に依存せず、日本で自立して暮らせるだけの安定収入が必要です。会社員でも自営業でも構いませんが、課税・所得証明などで実態を確認されます。状況によっては、同居家族の収入や扶養状況が考慮されることもあります。

重国籍防止・憲法尊重・日本語能力

帰化が許可されると、原則として元の国籍を離脱する(重国籍を避ける)ことが求められます。また、日本国憲法を尊重する意思が必要です。さらに、日常会話や簡単な読み書きができる程度の日本語力が求められます(面談は基本的に日本語で行われます)。

これらはあくまで目安で、個別事情を踏まえた総合判断です。「一つ欠けたら即不許可」というものではありません。早い段階で条件を洗い出し、足りない点は書類の整え方や生活実態の説明でカバーできるかを検討していきましょう。

 

帰化申請でよくつまずくポイントは?

「書類を出せば終わり」ではないのが帰化申請。準備・管理・面談まで、一つずつ丁寧に進めることが大切です。よくあるつまずきと、今日からできる対策をセットで押さえておきましょう。

書類の多さに驚くかも?

帰化では、本人だけでなく家族分まで幅広い書類が求められます(住民票、課税証明、在留カード写し、戸籍・出生・婚姻関係、収入証明、家計図、帰化理由書など)。取得先も市区町村、税務署、本国機関とバラバラです。

  • 取得先が複数に分かれるため、依頼順と締切日を決めて着手する
  • 本国書類は取り寄せ・翻訳に時間がかかる前提で早めに着手する
  • 氏名・生年月日・住所の「表記ゆれ」を一覧で確認し、不一致は事前に修正

コツ:フォルダを「01_身分関係」「02_所得・税」「03_在留関係」などに分け、通し番号で管理すると再提出にも強くなります。

有効期限が切れやすい書類とは?

多くの法務局では、提出書類に発行からの有効期間が設けられています(「発行後○か月以内」などの目安が案内されます)。特に次の書類は要注意です。

  • 住民票
  • 課税・非課税証明書
  • 納税証明書

対策:面談予約日が固まってから一括取得/有効期限の短い書類は最後に取得/取得日を台帳で管理。更新が必要になっても慌てません。

法務局面談で聞かれやすいこと

面談では、帰化理由、生計(収入・納税)、家族・居住状況、日本語での生活能力などが主に確認されます。ここでは準備と当日の対応のコツだけを簡潔にまとめます。

  • 直近の変更点を整理:勤務先・雇用形態・収入の増減、転居予定、家族の状況などを時系列でメモ化
  • 数字・日付の整合:提出書類(課税・所得証明、在留履歴、住民票)と説明内容の数値・日付を一致させる
  • 説明は事実ベースで簡潔に:結論→根拠書類の順で、用語は平易に。わからない点は「確認後に提出」でOK
  • 日本語運用のポイント:ゆっくり・短文で回答。専門用語は避け、固有名詞と金額ははっきり伝える
  • 持ち物の予備を用意:身分証・提出済み控え・追加提出が想定される資料の写し(PDF/紙)

帰化後に必要な手続きは?

「許可=完了」ではありません。官報に告示されたあと、期限のある手続きを順番に片づけていきましょう。まずは期限が短いものから取り掛かるのがコツです。

1)官報告示後の最初の手続き(1か月以内)

  • 帰化届の提出(官報告示日から1か月以内/住所地の市区町村) 本籍地の指定、氏名の表記などを確認して提出します。受理後、新しい戸籍が編製されます(編製まで数日〜数週間かかることがあります)。
  • 住民票の記載変更(作成) 国籍・氏名などの変更を住民票に反映します。以降の各種名義変更で使用するため、最新の住民票を数通用意しておくと便利です。

2)市区町村・年金・保険などの切替

  • 国民健康保険/職場の健康保険の切替(勤務先経由の手続きが必要な場合あり)
  • 年金の手続き(国民年金/厚生年金の資格情報更新)
  • 印鑑登録(必要な場合)
  • 児童手当・扶養・各種福祉の変更届(該当する方)

3)マイナンバー関連

  • マイナンバーカード(または個人番号通知)の記載変更・再発行手続き 氏名・国籍の変更を反映します(個人番号〈12桁〉自体は通常そのままです)。

4)在留カード・特別永住者証明書の返納(14日以内)

  • 返納先:出入国在留管理庁(最寄りの地方出入国在留管理局へ持参または郵送)
  • 用意するものの例:在留カード/特別永住者証明書、本人確認書類、必要に応じて帰化許可に関する書類など

未返納は義務違反となる可能性があるため、速やかに対応してください。

5)その他の名義・国籍変更(できるだけ早めに)

  • 運転免許証(氏名・本籍の変更)
  • 日本のパスポートの新規申請(旅券窓口)
  • 銀行・証券・クレジットカード・携帯電話・公共料金・賃貸契約・生命/損害保険などの名義・国籍情報更新
  • 勤務先・学校・税務(源泉徴収や扶養情報、各種台帳の更新)

進め方のコツ(チェックリスト)

  • 【期限順】①在留カード等の返納→②帰化届・住民票更新→③健康保険・年金→④マイナンバー→⑤各種名義変更
  • 【書類の束ね方】住民票、戸籍(編製後)、本人確認書類をセットにして持ち歩くと一度で複数窓口を回れます。
  • 【名前表記】ローマ字・漢字・カナの統一を事前に決め、すべての手続きでブレさせないのが時短のコツです。

すべてを一日で行う必要はありません。期限の短いものから順に、チェックリストで進捗を管理してください。

 

まとめ

帰化は、要件確認→書類収集・作成→法務局へ申請・面談→結果通知→官報告示・各種切替という流れで進みます。書類点数が多く有効期限もあるため、最初に全体像を把握し、期限の短い手続きから順に片づけるのがスムーズです。

  • まずは法務局に相談予約を入れて、必要書類と自分の適合状況を確認する
  • 本国書類は早めに着手し、提出前はチェックリストで整合を確認する
  • 許可後は、返納・届出・各種切替を期限順に進める

不安な点があれば、早い段階で行政書士などに相談して段取りを整えましょう。全体の道筋さえ掴めば、初めての方でも一歩ずつ確実に進められます。

無料にてご相談承ります。まずは気軽にお問い合わせください。
インターネットで今すぐカンタンお見積り