相続手続依頼書とは?目的・入手方法・書き方までわかりやすく解説!

相続手続依頼書とは?

相続手続では、金融資産の名義変更や解約を行う際に、相続人の代表者を定めて手続きを進める必要があります。その際に使用されるのが「相続手続依頼書」です。

相続手続依頼書の目的・役割とは

相続手続依頼書は、その名のとおり「相続手続きを行うために必要な書類」で、金融機関などの相続手続きを進める際に使います。相続手続きでは、故人名義の預貯金や有価証券を相続人の名義へ移す必要がありますが、そのときに「相続人全員が手続きをこの人に任せます」という意思を示すために提出するのが相続手続依頼書です。

実務上は、金融機関が用意するフォーマットに必要事項を記入し、相続人全員が署名押印を行います。これによって相続人全員の合意があったことを金融機関側で確認でき、スムーズに手続きを進めることが可能になります。

つまり、相続手続依頼書は「相続手続きをする代表者を明確にし、金融機関に対して正式な委任の意思表示をする書類」であり、手続きの停滞を防ぐためにも重要な役割を果たしています。

相続手続依頼書が必要となる具体的なケースとは

例えば、以下のようなケースで相続手続依頼書が必要になります。

  • 故人名義の預貯金口座を解約し、相続人へ分配する場合
  • 定期預金を解約する場合
  • 証券口座の名義変更や解約をする場合

金融機関によって書式や手順に若干の違いはありますが、相続人の代表者を定めて、相続手続依頼書を使って一括で手続きを進めるのが一般的な流れです。

 

相続手続依頼書の入手方法とは

相続手続依頼書は、相続財産の名義変更や解約を進めるうえで必要になる書類ですが、入手方法は金融機関によって異なりますここでは、郵送で取り寄せる方法と、店舗で直接受け取る方法の2パターンに分けてご紹介します。

金融機関から郵送で取り寄せる

相続手続依頼書は郵送で取り寄せる方法も可能です。大手銀行・地方銀行・信用金庫・ゆうちょ銀行などの多く金融機関が郵送対応を行っており、電話やウェブサイトから申込みが可能な場合もあります。

郵送での手続方法と注意点

取り寄せ方法としては、まず故人の口座がある金融機関のコールセンターまたは店舗へ連絡し、相続手続きの開始を伝えます。その際に「相続手続依頼書を郵送で取り寄せたい」と伝えるとスムーズです。

注意点としては、郵送で届く相続手続依頼書のセットには、遺産分割協議書や相続関係説明図のひな形、必要書類一覧の案内などが同封されている場合が多いですが、提出書類に不備があると手続きが止まってしまう点です。また、金融機関によっては「事前に戸籍謄本のコピーを送付が必要な場合」や「電話で詳細なヒアリングが必要な場合」もありますので、依頼前に確認しておくと安心です。

郵送は便利ですが、書類の記入漏れ・不備があると再送の手間が発生するため送付前にしっかり確認しましょう。

 

金融機関の店舗で直接受け取る

お時間が取れる場合や早く手続きを進めたい場合には、金融機関の店舗で直接相続手続依頼書を受け取る方法がおすすめです。窓口で直接相談しながら受け取れるため、書き方や必要書類についてその場で確認できるのが大きなメリットです。

窓口での手続方法と確認事項

窓口で相続手続依頼書を受け取る場合、まずは故人の口座情報を伝え、相続手続開始の申出を行います。その際、本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカードなど)と故人の死亡がわかる戸籍(除籍)謄本などを求められる場合があります。

その場で書類の説明を受けられることに加え、必要書類や流れについて細かく質問できる点はメリットですが、ただし金融機関によっては来店予約が必要な場合もあるため、事前に連絡し、必要書類と持参物、予約の要否を確認しましょう。

 

相続手続依頼書の書き方と記入例

相続手続依頼書を入手したあと「これ、どうやって書いたらいいんだろう…」と悩む方は多いです。金融機関から届く書類の中でも記入漏れや誤記が多く、結果的に手続きが遅れてしまう原因にもなりやすいのがこの相続手続依頼書です。ここでは、相続手続依頼書の書き方と記入時の注意点をわかりやすく解説しますので、手続きをスムーズに進めるための参考にしてください。

 

記入例と注意すべきポイント

まず、相続手続依頼書には以下のような内容を記入するのが一般的です。

  • 被相続人(亡くなられた方)の氏名・生年月日・死亡日
  • 相続人全員の氏名・住所・連絡先
  • 相続手続の代表者(手続代理人)となる方の氏名・住所・連絡先
  • 相続財産の内容(預貯金口座の情報など)
  • 相続人全員の署名と実印の押印

金融機関によって様式は異なりますが、「相続人全員の署名押印」が必要なのは共通です。代表者だけが記入すればよいと思いがちですが、相続人全員が同意していることを金融機関が確認するため、全員の実印が必要で、印鑑証明書の提出も求められるケースが多い点に注意しましょう。

記入例としては、金融機関から送られてくる「記入見本」を確認しながら進めましょう。

さらに、記入時の注意ポイントとして以下の点を意識しましょう。

  • 住所・氏名は住民票・戸籍の記載どおりに正確に記載する(アパート名・部屋番号、旧字体なども含めて)
  • 口座情報は支店名・口座番号・口座名義を正確に記載する

このような細かな表記ミスがあると手続きが差し戻されることもあります。そのため、住民票や戸籍謄本を参照しながら丁寧に記入することが大切です。

 

相続手続依頼書を使う際の3つの注意点

相続手続依頼書は「書類を提出したら終わり」ではなく、大切な3つの注意点があります。

① 相続人全員の署名・実印の押印が揃っているかを必ず確認しましょう。一人でも漏れがあると、金融機関側で手続きがストップしてしまいます。また、印鑑証明書の添付もほぼ必須ですので、有効期限内のものを揃えておくことが重要です。

② 金融機関によって提出する書類が異なる場合があります。相続手続依頼書以外にも、遺産分割協議書、戸籍謄本、被相続人の住民票除票などが必要になることが多いため、事前に金融機関へ提出書類の確認をしておくことが大切です。

③ 記入する際の住所・氏名は、住民票や戸籍通りに正確に記載することがポイントです。アパート名の省略や漢字の間違いで差し戻しになることもありますので、面倒でも書類を見ながら丁寧に記入することをおすすめします。

このように相続手続依頼書は便利な書類ですが、不備があると手続きが止まるリスクがあるため、注意点を押さえて準備することがスムーズな相続手続きにつながります。

 

相続手続きの流れと相続手続依頼書の使うタイミングとは

相続手続きを進めるうえで「どのタイミングで相続手続依頼書を使うのか」がわかりにくい方も多いはず。

相続手続は

①死亡届の提出→②遺言書の有無確認→③相続人・相続財産の調査→④遺産分割協議→⑤金融機関や証券会社での名義変更や解約

という流れで進みます。

このうち⑤のタイミングで活躍するのが相続手続依頼書です。金融機関では相続手続きの際に、相続人全員の同意を証明するため相続手続依頼書の提出が必要になります。この書類があれば、相続人全員が金融機関へ出向かなくても代表者が手続きをまとめて行えるため、スムーズな手続きが可能になります。

ただし、依頼書の提出には遺産分割協議書の完成、戸籍謄本や印鑑証明の準備などが必要になりますので、手続きの全体像を意識して準備を整えることが大切です。

 

相続手続きで行政書士に依頼するメリットとは

相続手続依頼書を使って金融機関で手続きを進める際、「書類の集め方がわからない」「書き方に自信がない」という方も多いのではないでしょうか。そんなときに頼れる存在が行政書士です。

行政書士に依頼するメリットは、相続人調査・相続関係説明図・遺産分割協議書の作成から金融機関の相続手続依頼書の記入サポートまで、一連の手続きをまとめてサポートできることです。手続きを間違えると差戻しになり、時間も精神的な負担も大きくなりますが、行政書士へ依頼することで書類の不備や記入漏れのリスクを減らせ、相続手続きをスムーズに進められるのが大きなメリットです。

相続手続依頼書を提出するためには印鑑証明書や戸籍謄本の取得も必要になりますが、行政書士はこれらの取得代行も行えますので、ご家族の負担軽減にもつながります。

相続手続は後回しにすると時間的・精神的な負担が増してしまいます。行政書士へ相談することで、必要書類の収集から記載のサポートまでを任せられ、確実で効率的に進められるので、相続手続きでは行政書士を利用するのをおすすめします。

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