相続手続依頼書とは?目的・入手方法・書き方・注意点をわかりやすく解説

相続手続依頼書とは?

銀行や証券会社では、口座名義人が亡くなると、預貯金口座や証券口座の名義変更・解約などの相続手続が必要になります。その際に、相続人全員の意思を確認し、代表者を通じて手続きを進めるために提出するのが「相続手続依頼書」です。

相続手続依頼書は、金融機関所定の書式に、被相続人の情報、相続人の情報、代表者の情報、払戻しや名義変更の内容などを記入し、必要に応じて相続人全員が署名・押印して提出します。

相続手続依頼書は、金融機関に対して「誰が、どのような内容で相続手続を進めるのか」を正式に伝えるための書類であり、預貯金や有価証券の相続手続では重要な役割を持ちます。

 

金融機関によって異なる名称に注意

相続手続依頼書は金融機関や証券会社ごとに名称が異なる場合があります。事前に確認しておくことが大切です。

【参考】

金融機関 書類名
三菱UFJ銀行 相続届
三井住友銀行 相続に関する依頼書
みずほ銀行 相続関係届書
りそな銀行 相続手続依頼書
横浜銀行 相続手続依頼書
ゆうちょ銀行 貯金等相続手続請求書
三菱UFJ信託銀行 相続手続依頼書(兼同意書)
野村證券 相続手続依頼書

いずれの金融機関・証券会社でも、所定の書式を用いて手続きを行う必要があります。中には、法定相続人全員の署名・押印や印鑑証明書の提出を求められるケースもあるため、あらかじめ必要書類を確認して準備しておくとスムーズに進められるでしょう。

 

相続手続依頼書が必要となる主なケースは

相続手続依頼書は、主に金融機関や証券会社での相続手続きにおいて必要になります。代表的なケースをカテゴリごとに整理すると次のとおりです。

分類 主なケース
預貯金口座 ・普通預金・当座預金の解約や払い戻し
・定期預金の解約や満期金の受取
・外貨預金の解約・換金
証券・投資関連 ・証券口座(株式・投資信託など)の名義変更
・証券口座の解約・資産の払い戻し
・国債や社債など有価証券の換金・名義変更
その他金融サービス ・貸金庫の開扉や解約
・ローン残高やカード債務の精算
・年金・保険関連口座の清算

金融機関ごとに書式や手順は異なりますが、所定の依頼書を提出して代表者が手続きを進める流れは共通しています。

 

相続手続きの流れと相続手続依頼書を使うタイミング

相続手続依頼書を使うのは、主に金融機関や証券会社で預貯金・有価証券の名義変更や解約を行う場面です。まずは、相続手続全体の流れの中で、どの段階で必要になるのかを見てみましょう。

相続手続全体の流れ

① 死亡の届出・相続開始
② 遺言書の有無確認
③ 相続人・相続財産の調査
④ 遺産分割協議
⑤ 金融機関での相続手続
(ここで相続手続依頼書を提出)

相続手続依頼書は、相続手続の初期段階で使う書類ではなく、遺言書の有無確認や相続人・相続財産の調査、遺産分割協議などを経たうえで、金融機関へ払戻しや名義変更を依頼する段階で提出する書類です。そのため、依頼書だけを先に用意すれば足りるわけではなく、戸籍謄本や印鑑証明書、必要に応じて遺言書や遺産分割協議書なども併せて準備することが重要です。

 

預金の相続手続きの流れ(相続手続依頼書の提出を含む)

預金の相続手続きは、金融機関によって細部が異なるものの、基本的な流れは共通しています。ここでは相続手続依頼書の提出を含めた一般的なステップをまとめます。

STEP1:相続発生の連絡

口座名義人(被相続人)が亡くなられた場合、まず取引金融機関に連絡します。その時点で被相続人名義の口座は凍結され、入出金はできなくなります。以後の手続きに関する案内とともに相続手続依頼書が交付されます。なお、相続手続完了前に無断で預貯金を引き出すと、後の遺産分割でトラブルになる可能性があるため注意が必要です。

STEP2:必要書類の準備

遺言書の有無や相続の状況によって、準備すべき書類は異なります。主なパターンは次のとおりです。

① 遺言書がある場合

  • 遺言書(原本。自筆証書遺言の場合は検認済証明書付)
  • 相続手続依頼書(金融機関所定)
  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍
  • 遺言執行者の選任審判書謄本(必要な場合)
  • 受遺者・遺言執行者の印鑑証明書・実印
  • 被相続人の通帳・キャッシュカード等

② 遺言書がない場合(遺産分割協議書がある場合)

  • 遺産分割協議書(相続人全員の署名・実印)
  • 相続手続依頼書(金融機関所定)
  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍
  • 相続人全員の戸籍
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 被相続人の通帳・キャッシュカード等

金融機関によっては、戸籍や印鑑証明書などの書類に有効期限が設けられている場合があるため、取得時期にも注意が必要です。また、遺言書がある場合でも、金融機関ごとに取扱いが異なり、公正証書遺言がある場合でも、所定の相続手続依頼書や追加書類の提出を求められることがあります。

実務では、遺産分割協議書を用意していても、金融機関所定の相続手続依頼書への署名押印を別途求められることがあります。遺産分割協議書があるから十分と考えず、必要書類は事前に個別確認しておくことが大切です。

STEP3:必要書類の提出

相続手続依頼書に依頼内容を記入し、必要書類とともに金融機関へ提出します。提出先は支店窓口や相続専門部署など、金融機関によって異なります。

STEP4:払い戻し・名義変更手続き

金融機関での審査が完了すると、払戻しや名義変更が実行されます。提出から払い戻し完了までの期間は通常1〜2週間程度で、書類収集を含めると全体で1か月ほどかかる場合もあります。

 

相続手続依頼書の入手方法とは

相続手続依頼書は、相続財産の名義変更や解約を進めるうえで欠かせない書類ですが、入手方法は金融機関によって異なります主に「郵送で取り寄せる方法」と「店舗で直接受け取る方法」の2つがあります。

金融機関から郵送で取り寄せる

相続手続依頼書は郵送で取り寄せることができます。大手銀行や地方銀行、信用金庫、ゆうちょ銀行など多くの金融機関が郵送対応をしており、電話やウェブサイトから申込みができる場合もあります。まずは故人の口座がある金融機関のコールセンターや店舗に連絡し、相続手続を開始する旨を伝えましょう。その際に「相続手続依頼書を郵送で取り寄せたい」と依頼するとスムーズです。

郵送で届く書類のセットには、相続手続依頼書のほか、遺産分割協議書や相続関係説明図のひな形、必要書類一覧などが同封されているのが一般的です。

金融機関によっては「戸籍謄本のコピーを事前に送る必要がある」または「電話で詳細なヒアリングを受ける必要がある」といったケースもありますので、依頼前に確認しておくと安心です。

金融機関の店舗で直接受け取る

時間に余裕がある場合や、早めに手続きを進めたい場合は、金融機関の店舗で直接受け取る方法がおすすめです。窓口で相談しながら受け取れるため、書き方や必要書類についてその場で確認できる点が大きなメリットです。

手続きの際には故人の口座情報を伝えて相続手続の開始を申し出ます。その際、本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカードなど)や故人の死亡を証明できる戸籍(除籍)謄本などの提示を求められることがあります。

その場で書類の説明を受けられるだけでなく、不明点を直接質問できるのは安心材料ですが、金融機関によっては来店予約が必要な場合もあります。事前に連絡を入れ、必要書類や持参物、予約の有無を確認してから来店すると安心です。

 

相続手続依頼書の書き方と記入例

相続手続依頼書を入手したものの、「どのように書けばよいのかわからない」と悩む方は少なくありません。金融機関から届く書類の中でも、記入漏れや誤記があると手続きが止まりやすい書類のひとつです。ここでは、相続手続依頼書の書き方と記入時の注意点をわかりやすく解説します。

記入例と注意すべきポイント

相続手続依頼書の様式は金融機関によって異なりますが、記入する項目はおおむね共通しています。記載内容のイメージは次のとおりです。

記入欄 記入例
被相続人 山田 太郎/昭和20年1月1日生/令和8年2月1日死亡
対象口座 ○○銀行 新宿支店 普通預金 1234567
手続内容 預金の解約および払戻し
代表相続人 山田 花子/東京都○○区○丁目○番○号/090-0000-0000
払戻金受取口座 ○○銀行 渋谷支店 普通預金 7654321
相続人欄 相続人全員が住所・氏名を記入し、実印を押印

※実際の記入欄や必要事項は金融機関ごとに異なるため、必ず所定の記入見本を確認しながら作成しましょう。

主な記載項目は、次のとおりです。

  • 被相続人(亡くなられた方)の氏名・生年月日・死亡日
  • 相続人全員の氏名・住所・連絡先
  • 代表相続人の氏名・住所・連絡先
  • 相続財産の内容(預貯金口座など)
  • 相続人全員の署名・実印による押印

金融機関によっては、相続人全員の署名押印に加え、印鑑証明書の提出を求められることがあります。作成の際は金融機関から送付される記入見本を確認し、住民票や戸籍、通帳などの内容と照らし合わせながら正確に記入することが大切です。

特に注意したいポイントは、次の2つです。

  • 住所・氏名は住民票や戸籍の記載どおりに正確に記入する(アパート名・部屋番号・旧字体を含む)
  • 口座情報は支店名・口座番号・口座名義を正確に記入する

このような表記のずれや記入ミスがあると、差し戻しや再提出になることがあります。手続きをスムーズに進めるためにも、公的書類を確認しながら丁寧に作成しましょう。

 

相続手続依頼書を使う際に4つの注意点

相続手続依頼書は、提出すれば終わりという書類ではありません。不備があると手続きが止まることがあるため、事前に確認しておきたいポイントがあります。

特に、必要書類や提出方法は相続の状況や金融機関によって異なる場合があります。提出前に、次の点を確認しておくと安心です。

注意点 確認しておきたい内容
相続人全員の署名・実印の押印 相続人が複数いる場合は、原則として全員の署名・実印押印が必要です。印鑑証明書の提出を求められることも多いため、あらかじめ揃えておきましょう。遠方の相続人がいる場合は、記入方法を共有して郵送で進めるとスムーズです。
通帳や証書を紛失している場合 紛失していても、すぐに手続きできなくなるわけではありません。依頼書にその旨を記載し、口座番号が不明な場合は金融機関へ照会して確認を進めます。
金融機関ごとに必要書類が異なる 遺産分割協議書、戸籍謄本、住民票除票など、追加書類を求められることがあります。法定相続情報一覧図の写しが使える場合もありますが、取扱いは金融機関ごとに異なるため事前確認が必要です。
住所・氏名の記載は正確に 住所や氏名は、住民票や戸籍の記載どおりに記入する必要があります。省略や漢字の誤りがあると差し戻しになることもあるため、公的書類を見ながら正確に記入しましょう。

このように、相続手続依頼書は相続手続きを進めるうえで重要な書類ですが、不備があると手続きが滞る原因になります。必要書類や記載内容を事前に確認し、金融機関とも相談しながら準備を進めることが大切です。

 

相続手続きで行政書士に依頼するメリットとは

相続手続依頼書を使って金融機関で手続きを進める際、「書類の集め方がわからない」「書き方に自信がない」という方も多いのではないでしょうか。そんなときに頼れる存在が行政書士です。

行政書士に依頼するメリットは、相続人調査・相続関係説明図・遺産分割協議書の作成から金融機関の相続手続依頼書の記入サポートまで、一連の手続きをまとめてサポートできることです。
手続きを間違えると差戻しになり、時間も精神的な負担も大きくなりますが、行政書士へ依頼することで書類の不備や記入漏れのリスクを減らせ、相続手続きをスムーズに進められるのが大きなメリットです。

相続手続依頼書を提出するためには、戸籍謄本や印鑑証明書の収集、相続関係の整理、必要に応じた遺産分割協議書の作成なども必要になります。行政書士に依頼すれば、これらをまとめてサポートできるため、ご家族の負担軽減にもつながります。

 

まとめ

相続手続依頼書は、金融機関での名義変更や解約を進めるために欠かせない重要な書類です。もっとも、書き方や必要書類は金融機関ごとに異なるため、記載内容の誤りや書類不足があると、手続きが止まってしまうことがあります。

行政書士へ相談することで、必要書類の収集から依頼書の記載サポートまで任せられ、安心して確実に手続きを進められます。ご家族の負担を減らし、スムーズに相続を完了させるためにも、不安を感じたらまずは行政書士へ相談してみることをおすすめします。

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