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なぜ看板の設置に許可が必要なの?
看板は、お店や事業を多くの人に知ってもらうために欠かせない存在です。しかし、どんな場所でも自由に設置できるわけではありません。実は看板は街の景観や交通安全に大きく影響するため、国の法律や自治体の条例で細かくルールが定められているのです。
「自分の敷地内だから自由に置けるのでは?」と思う方も多いですが、場所やサイズ、種類によっては必ず行政の許可を受けなければならないケースがあります。
特に重要なのが、国の法律である「屋外広告物法」と、それを具体的に運用する自治体ごとの屋外広告物条例です。違反すると指導や撤去の対象になるため、注意が必要です。
看板の対象は壁面看板だけでなく、のぼり旗・横断幕・屋上広告など多岐にわたります。設置期間が短くても規制の対象となることがあるため、注意が必要です。
一方で、「営業中」プレートや営業時間の掲示など、小規模で簡易な表示物は適用除外とされる場合もあります。ただし、サイズや設置場所によっては除外されないこともあるため、事前の確認が必須です。
どの看板にどんな許可が必要なのか
看板を設置するときに必要な許可は、種類や設置場所、方法によって異なります。主に関わるのは屋外広告物許可・道路占用許可・建築基準法の3つで、それぞれ目的や審査基準が違います。ひとつの許可を取れば十分というものではなく、複数の手続きが必要になることもあるため、事前確認が重要です。
屋外広告物許可が必要なとき
最も一般的なのが「屋外広告物許可」です。街の景観を守り、人の安全を確保する目的で設けられており、基本的に屋外に常設する看板はすべて対象と考えてよいでしょう。
例えば、店舗の壁に取り付ける看板、地面に立てるスタンド看板、ビルの屋上広告などが該当します。自治体ごとに大きさ・色・デザインなどの基準が細かく定められており、景観地区や歴史的建造物の周辺などではそもそも許可が下りない場合もあります。
道路占用許可が必要なとき(歩道やガードレールに設置する場合など)
歩道沿いにのぼり旗を立てたり、ガードレールや電柱に広告を設置する場合には「道路占用許可」が必要です。道路は本来、通行や公共利用のための場所であるため、個人や事業者が一時的に使う際にも道路管理者(多くは市区町村)の許可が求められます。
また、大型の看板や屋上に設置する看板は建築基準法の対象ともなり、構造や安全性を確認する必要があります。強度や設置方法によっては建築士のチェックが必要になる場合もあるため、不安があれば行政書士や専門家に相談するのがおすすめです。
看板を設置するまでの流れとは
看板を出すには「思いついたらすぐ設置!」というわけにはいきません。安全性や景観を守るために、必ず決められた手続きを踏む必要があります。事前に流れを理解しておけば、申請のやり直しや撤去といったトラブルを避けられるでしょう。
設置前にまず確認すべきなのは、設置場所・サイズ・デザインがルールに沿っているかどうかです。不安があれば、早めに行政書士など専門家へ相談するのも安心です。
必要書類をそろえて申請する
最初のステップは、各種許可申請に必要な書類を準備することです。代表的なものには次のような書類があります。
- 看板のデザイン図や寸法図
- 設置場所を示す位置図(地図)
- 設置する建物の所有者の同意書
- 道路を使用する場合の占用計画書
- 大型看板の場合に必要な構造計算書
書類の内容や必要点数は自治体によって異なるため、必ず事前に役所へ確認しましょう。不備があると差し戻しになることも多いので、丁寧な準備が欠かせません。
審査と許可証の交付を受ける
書類を提出すると、役所での審査に入ります。審査期間は地域や看板の種類によって違いますが、一般的には1週間から1か月程度が目安です。審査を通過すれば、許可証が交付されます。このとき、設置可能な期間や守るべき条件も通知されますので、必ず内容を確認しましょう。
また、申請には審査手数料が必要です。費用は看板の面積や用途によって異なりますが、おおむね数千円から数万円とされています。
看板を設置するときに注意すべきポイント
看板の許可を取ったからといって、すぐに安心というわけではありません。実際に設置するときにも、守らなければならないルールがいくつかあります。違反した場合は無許可設置と同様に、行政からの指導や撤去命令、さらには罰金の対象となることもあるため注意が必要です。ここでは、特に重要な3つのポイントをわかりやすく解説します。
1. 設置できない場所や細かいルールがある
まず知っておきたいのは、「そもそも設置してはいけないエリア」があるということです。景観地区や文化財の周辺、公園、道路沿いの一部区域などは条例で禁止区域として指定されている場合が多いです。
また、設置が可能な場所であっても「大きさ」「高さ」「色・明るさ」などに厳しい基準が設けられており、とくに大型看板やLEDの電飾看板は規制が厳しい傾向にあります。設置前には必ず最新の条例を確認し、不安があれば専門家に相談しましょう。
2. 許可には有効期限がある
屋外広告物許可は一度取得すれば永久に使えるものではありません。自治体や広告物の種類によって有効期間が決められており、例えば静岡県では堅ろうな広告物は3年以内、その他は2年以内と定められています。東京都多摩地域では原則2年とされています。
さらに道路占用許可も多くの場合、1年ごとの更新が必要です。更新を忘れてしまうと無許可状態とみなされ、撤去命令や罰則につながるため、期限管理は非常に大切です。
3. 無許可設置は処分や罰金の対象になる
看板を無許可で設置すると、まず行政からの指導や勧告が入り、それに従わない場合は撤去命令が出されます。さらに、郡山市では「無許可設置」に対して30万円以下の罰金が科されることがあるなど、自治体ごとに罰則が定められています。
意図せず無許可状態になってしまうこともあるため、設置前の確認は必須です。判断に迷った場合は、早めに行政書士などの専門家へ相談すると安心です。
まとめ
看板を設置する際には、見た目や集客効果だけでなく、法律や条例に基づいた許可手続きが欠かせません。屋外広告物法や道路占用許可、建築基準法など、看板の種類や設置場所によって必要な手続きは変わります。
無許可で設置すると撤去命令や罰則の対象となることもあるため、事前にしっかり確認しておくことが重要です。また、許可には有効期限があるケースが多いため、定期的な更新手続きも忘れないようにしましょう。
安全に、そして安心して看板を活用するためには、早めの準備と専門家への相談が大きな助けになります。適切な手続きを踏むことで、集客や事業の信頼性向上につなげていきましょう。

特定行政書士として、幅広い業界における法務支援やビジネスサポートに従事するとともに、業務指導者としても精力的に活動。企業法務や許認可手続きに関する専門知識を有し、ビジネスの実務面での支援を中心に展開しています。(登録番号:03312913)