飲食店営業許可だけでは足りない?居酒屋開業に必要な手続きを徹底解説!

居酒屋をスムーズに開業するには、飲食店営業許可の取得に加え、消防や税務、労務関連の届出が欠かせません。本記事では、開業前に押さえておくべき手続きや費用、スケジュールを詳しく解説。安心して開業できるよう準備を整えましょう!

 

居酒屋の開業に必要な許可や資格とは?

居酒屋を開業するには、単に物件を借りて料理を提供するだけでは営業できません。法律で定められた許可や資格、そして各種届出が必要になります飲食業界は衛生や安全に関わる分野でもあるため、開業前にきちんと準備しておくことが重要です。

必須・任意 許可名(届出) 簡単な説明
必須 飲食店営業許可 保健所の許可を受けて飲食物を提供するための手続き(食品衛生法)。
必須 食品衛生責任者の設置 店舗ごとに1名の選任が必要。資格者または講習受講で取得可能。
必須(該当する場合) 防火管理者の選任 収容人員30人以上など一定規模で必要。講習修了者を選任し消防署へ届出。
必須(該当する場合) 防火対象物使用開始届出書 建物を新たに使用開始する際の消防署への届出(期限は自治体により異なる場合あり)。
必須(該当する場合) 深夜における酒類提供飲食店営業の届出 深夜0時以降に主として酒類を提供し、接待を伴わない場合に警察署へ提出(営業開始前)。
必須(該当する場合) 風俗営業許可 接待行為を伴う営業形態の場合に必要(深夜届出では代替できない)。
必須(個人の場合) 個人事業の開業・廃業等届出書(開業届) 個人で開業する際に税務署へ提出する届出。
任意(推奨) 青色申告承認申請書 青色申告を行うための申請。節税や帳簿上のメリットがある。
必須(雇用する場合) 労働保険(労災保険・雇用保険) 従業員を雇用する場合に必要となる加入手続き。
必須(該当する場合) 社会保険(健康保険・厚生年金) 法人や一定要件に該当する場合に加入が必要。
必須(雇用する場合) 給与支払事務所等の開設届出書 給与支払いを開始する際に税務署へ提出する届出。
任意(必要に応じて) 融資申込み(日本政策金融公庫など) 創業融資を利用する場合の手続き。事業計画書や見積書等が必要。

ここでは、居酒屋を始めるうえで必須となる手続きを項目ごとに解説します。

飲食店営業許可

飲食店を営業するには、まず「飲食店営業許可」が必要です。これは、食品衛生法に基づき、店舗の衛生や設備が適切であるかどうかを保健所が審査する制度です。許可を取得しなければ、飲食物を提供する営業は行えません。

 

必要な要件

飲食店営業許可を取得するには、次のような要件を満たす必要があります。

  • 施設基準を満たしていること:厨房のシンクの数、床や壁の材質、手洗い場の設置など、衛生面で細かく規定があります。
  • 食品衛生責任者を1名以上配置すること:資格を持つ人を配置するか、講習を受講して取得する必要があります。
  • 建物の用途が営業可能な用途であること:住宅専用地域などでは飲食店営業が制限される場合があります。

届け出の流れ

飲食店営業許可を取得する基本的な流れは以下の通りです。

  1. 事前相談(任意):店舗の図面や設備計画を持参し、保健所に相談することをおすすめします。
  2. 申請書類の提出:保健所に必要書類を提出します。
  3. 施設検査:保健所職員による現地調査が行われ、基準に適合しているか確認されます。
  4. 営業許可証の交付:検査に合格すれば、数日〜1週間程度で許可証が発行されます。

必要書類

地域によって若干異なる場合がありますが、一般的には以下の書類が必要です。

  • 飲食店営業許可申請書
  • 営業施設の平面図
  • 水質検査成績書(井戸水を使用する場合)
  • 食品衛生責任者の資格証または講習修了証
  • 使用承諾書(賃貸物件の場合)
  • 法人の場合は登記事項証明書や定款の写し

提出書類の不備があると許可が遅れるため、事前に保健所で確認しておくと安心です。申請から許可までの期間は地域によって異なりますが、おおむね1週間〜2週間程度が目安とされることが多いです。申請費用も地域によって異なりますが、1〜2万円程度が一般的です。

 

開業届

個人で居酒屋を始める場合は、税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書(開業届)」を提出する必要があります。これを提出することで、正式に個人事業主として認められます。青色申告を希望する場合は、同時に「青色申告承認申請書」も提出しておくと節税効果も期待できます

 

消防関連の届け出

飲食店では火を扱うケースが多く、消防法に基づく届出も欠かせません。中でも重要な手続きとして、以下の2つが挙げられます。

  • 防火対象物使用開始届出書:建物の一部または全部を新たに使用する場合、使用開始から10日以内に所轄の消防署へ提出が必要とされるのが一般的ですが、提出期限は自治体ごとの条例によって異なる場合があります。これは、消防設備や避難経路の確認、安全対策が整っているかどうかを把握するためのものです。
  • 消防計画の作成:一定規模以上の店舗や、従業員が常駐する施設では、火災予防のための「消防計画」の作成が求められます。避難訓練や消火器の設置・使用方法などを定めた計画書で、事業者自身が作成し、必要に応じて消防署への提出・保管が求められます。

 

食品衛生責任者の設置

営業許可を取得するには、「食品衛生責任者」を店舗ごとに1名配置する必要があります。栄養士や調理師などの有資格者であれば自動的に要件を満たしますが、資格がない場合でも、1日講習を受講すれば誰でも取得可能です開業準備段階で早めに手配しておきましょう。

 

防火管理者の設置

収容人員が30人以上となる店舗では、「防火管理者」の選任が義務付けられます。これは建物の規模や用途によって異なりますが、所定の講習を受講して資格を取得し、所轄の消防署に届け出る必要があります。こちらも事前に確認しておくと安心です。

 

必要に応じて行う手続き

居酒屋の開業にあたっては、営業許可の取得だけでなく、営業形態や店舗規模、営業時間、雇用の有無などに応じて追加の手続きが必要となる場合があります。ここでは、代表的な手続きを整理します。

 

深夜営業を行う場合の手続き

営業時間が深夜0時を超え、主として酒類を提供し、かつ接待行為を伴わない場合は、「深夜における酒類提供飲食店営業の届出」が必要です。営業開始の10日前までに管轄警察署へ提出しなければなりません。

届出には、店舗平面図や照明・音響設備の概要、周辺環境の状況などの資料が求められます。不備があると営業開始に影響するため、余裕を持った準備が重要です。

一方、客の隣に座って接客するなど接待行為を伴う場合は、深夜届出では足りず、「風俗営業許可」が必要となります。

接待該当の判断で迷いやすい例

接待に該当するかどうかは判断が分かれやすい点です。例えば、従業員が長時間同席して会話を継続する、カラオケで積極的にデュエットを行うといった行為は、接待と評価される可能性があります。

営業内容によって必要手続きが異なるため、事前に所轄警察署へ確認しておくことが望ましいでしょう。

 

内装工事を行う場合の手続き

内装工事の内容によっては、「建築基準法」や「消防法」に基づく届出や確認申請が必要となります。防火区画の変更や排煙設備の新設などは、工前に消防署への届出が求められる場合があります

一定規模以上の改修では建築確認が必要となることもあるため、施工業者と早期に打ち合わせを行い、建築指導課や消防署へ事前相談しておくことが重要です。

実務上の注意点

「居抜き物件であれば問題ない」と判断して着工した結果、用途変更や消防設備の追加設置が必要になるケースもあります。特に客席数の増加や間仕切り変更は、避難経路や防火区画に影響する可能性があるため注意が必要です。

物件契約前に用途地域、建物用途、管理規約、賃貸借契約上の制限を確認しておくことで、想定外の追加費用や開業遅延を防ぐことができます。

 

従業員を雇用する場合の手続き

従業員を雇用する場合は、次の手続きが必要です。

  • 労働保険(労災・雇用保険)への加入
  • 社会保険(健康保険・厚生年金)の手続き(法人や一定規模以上の場合)
  • 税務署への給与支払事務所等の開設届出書

複数の行政機関への手続きが必要となるため、スケジュール管理が重要です。

 

金融機関から融資を受けるための手続き

自己資金のみでの開業が難しい場合は、日本政策金融公庫などの融資制度を活用する方法があります。申請には、事業計画書や収支計画、見積書等の準備が必要です。

融資審査には一定期間を要するため、物件契約や営業許可取得の時期と整合させて計画的に進めることが重要です。

 

居酒屋の開業準備でやるべきこと

居酒屋を開業するには、許可や資格の取得に加えて、事前の準備も非常に重要です。ここでは、居酒屋の開業に向けてやるべき準備を、順を追ってご紹介します。

 

1. 事業計画を立てる

まず最初に取り組むべきなのが、事業計画の作成です。どのようなコンセプトで、どの立地で、どのような客層をターゲットにするのかを明確にすることで、内装やメニュー構成、必要な許可や資金計画にも一貫性が生まれます。

特に、金融機関から融資を受ける場合には、明確かつ現実的な事業計画が必要不可欠です。収支予測や資金使途なども盛り込んだ内容にしましょう。

 

2. 物件選びと契約

次に重要なのが、店舗物件の選定と契約です。立地によって集客力が大きく左右されるため、ターゲットとする客層に合ったエリアを慎重に選びましょう。

物件によっては用途地域の制限により飲食業が認められない場合や、内装変更に制限があるケースもあります。また、商業地域であっても建物の管理規約や賃貸借契約で飲食業が制限されていることがあるため、不動産業者や行政へ確認したうえで契約を進めることが重要です。

 

3. 内装・設備の手配

物件が決まったら、内装工事や厨房機器などの設備を手配します。ここでは、消防法や建築基準法に適合した設計が必要となるため、専門業者と連携しながら進めていきましょう。

このタイミングで、保健所や消防署への事前相談も行っておくと、許可取得の流れがスムーズになります。

 

4. 各種申請と届出

準備と並行して、必要な許認可の取得を進めていきます。

    • 飲食店営業許可(保健所)
    • 開業届(税務署)
    • 防火対象物使用開始届出書(消防署)
    • 食品衛生責任者講習の受講・登録
  • 深夜営業をする場合の警察署への届出 など

※営業形態によっては、店外で酒類を販売する場合の酒類販売業免許など、別途手続きが必要となることがあります。

 

5. スタッフの採用と研修

オープン直前には、スタッフの採用と研修も必要です。採用に関する労務手続き(労働保険・社会保険など)も忘れずに行いましょう。サービスの質が店舗の評価につながるため、マニュアルの整備や接客研修にも力を入れるのがおすすめです。

 

居酒屋の開業にかかる費用の目安

居酒屋の開業を検討している方にとって、どのくらいの資金が必要かは非常に気になるポイントですよね。実際にかかる費用は店舗の規模や立地、内装のこだわり度合いなどによって大きく異なりますが、一般的な目安を把握しておくことで、資金計画を立てやすくなります。

ここでは、主な費用項目ごとに、開業に必要となるおおよその金額感をご紹介します。

費用項目 目安金額 補足
物件取得費用 家賃の6~10か月分 保証金・敷金・礼金・仲介手数料などを含む
内装・設備工事費 1坪あたり20万~50万円 スケルトン物件の場合の目安
許認可取得費用 1万~3万円程度 飲食店営業許可が中心
備品・什器購入費 50万~100万円程度 テーブル・椅子・POSなど
人件費 数十万円規模 求人費・研修費を含む
広告宣伝費 10万~30万円程度 WEB・チラシ・看板等
総額目安 500万~1,000万円以上 規模・立地により変動

 

1. 物件取得費用

まずは物件の賃貸契約にかかる費用です。保証金・敷金・礼金・仲介手数料などが含まれ、家賃の6~10か月分程度が相場です。たとえば月額家賃20万円の物件なら、初期費用として120万~200万円前後を見込む必要があります。

 

2. 内装・設備工事費

店舗の規模やデザイン性によっても差がありますが、スケルトン物件を一から内装する場合は1坪あたり20万~50万円程度が相場です。20坪の店舗なら400万~1,000万円程度が必要になります。厨房機器や空調、トイレ設備なども含めて見積もりましょう。

 

3. 許認可取得にかかる費用

飲食店営業許可や消防関連の届出にかかる費用は地域によって異なりますが、概ね1〜3万円程度が目安です。特に飲食店営業許可の申請手数料は、1万5千円〜2万円前後とする自治体が多く見られます。なお、食品衛生責任者や防火管理者の講習を受講する場合は、それぞれ5,000円前後の受講料が必要です。

 

4. 備品・什器購入費

テーブルや椅子、食器、レジ、POSシステム、メニュー表などを揃えるのにもそれなりの費用がかかります。小規模な店舗でも50万円〜100万円程度は想定しておきましょう。

 

5. 人件費(採用・研修費含む)

オープン前後にスタッフを雇用する場合、給与のほかにも求人広告費や制服代、研修費などで数十万円規模の費用がかかることがあります。

 

6. 広告宣伝費・開業準備費

チラシ作成、WEBサイト制作、看板設置、オープンイベントなどの告知費用として、最低でも10万〜30万円程度は確保しておくと安心です。

 

これらを合計すると、小規模な居酒屋であっても500万〜700万円、大規模または都心部では1,000万円以上かかることも珍しくありません自己資金だけでまかなうのが難しい場合は、日本政策金融公庫などの創業融資も視野に入れて資金計画を立てましょう。

 

まとめ

居酒屋の開業には、飲食店営業許可をはじめとするさまざまな届出や資格が必要です。特に飲食業界は衛生・安全面での規制が多く、「許可が取れずに開業できない」なんてことを防ぐためにも、事前準備が何より重要です。

「何から手をつけたら良いかわからない」という方も、ひとつずつ確実に手続きをこなしていけば、必ず道は開けます。不安がある場合は、行政書士などの専門家に相談するのも有効です。実務に精通したプロのサポートを受けながら、スムーズな開業を目指しましょう。

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