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内容証明郵便とは
「内容証明郵便」という言葉は耳にしたことがあっても、実際にどんなときに使うのか分からない方も多いでしょう。内容証明郵便は、「誰が・誰に・どんな内容の文章を・いつ送ったか」を郵便局が公的に証明するサービスで、郵便局が謄本を保管し、送付した文章の存在を第三者として証明してくれます。この制度により、重要な通知を送る際に「言った・言わない」のトラブルを防ぐための証拠を残すことができます。
例えば、債権回収、契約解除、クーリングオフ、家賃滞納通知など、通知内容を形として残す必要がある場面で力を発揮します。
内容証明郵便でできること
内容証明郵便は、「正式に通知した」という事実を証明できます。ただし、送っただけで相手に履行義務が発生するわけではありません。例えば貸金返還請求では、「○月○日までに返済してください」と催告することで、請求日や通知内容を証拠化でき、裁判でも「催告を行った事実」として立証できます。さらに、時効の完成を一定期間猶予する効果もあります。
主な利用例
以下が主に内容証明郵便で利用されます。
- 貸金返還請求
- 家賃滞納者への催告
- 契約解除・更新拒絶通知
- 離婚協議での意思表示
- クーリングオフ通知
- 損害賠償請求
配達証明郵便とは
配達証明郵便は、郵便物が相手にいつ届いたのかを郵便局が公的に証明するサービスです。郵便局が配達日を記録・証明するため、後から「受け取っていない」という主張を防ぎ、通知書類の配達事実を証拠として残せます。
通知書や請求書など、送付日や受領日が法的に重要な意味を持つ場合に特に有効で、内容証明郵便や一般書留と組み合わせて利用されることもあります。
配達証明郵便でできること
配達証明郵便を利用すると、郵便局から「いつ配達されたか」を証明する書面が発行されます。これにより、「○月○日に通知を送った」という主張を裏付けられ、相手が「受け取っていない」と否定した場合でも、公的に受領事実を立証できます。契約解除や支払請求など、後で「言った・言わない」の争いが起きやすい場面で特に有効です。
主な利用例
以下が主に配達証明郵便で利用されます。
- 家賃滞納者への催告通知
- 契約更新拒絶通知
- 契約解除通知
- 貸金返還請求通知
- クーリングオフ通知
特に、契約関係の書類や支払催告書は「届いた日」が起算日となるケースが多く、その日付を確実に残すことが重要です。
行政書士の実務経験からも、配達証明は「証拠化」だけでなく、相手に心理的なプレッシャーを与え誠実な対応を促す効果が期待できます。実際に、クライアント様へ「重要な通知なら配達証明を付けておくと安心です」とご提案することも多くあります。
内容証明郵便と配達証明郵便の違いとは
「内容証明郵便」と「配達証明郵便」は名前が似ていますが、証明できる内容と目的が異なる別のサービスです。どちらもトラブル予防や証拠保全に有効ですが、使い方を誤ると本来の効果が得られないことがあります。行政書士としても、依頼内容や状況に応じて適切に使い分けることを強くおすすめしています。
証明できる内容の違い
- 内容証明郵便:送った文書の内容そのものを郵便局が証明します。
- 配達証明郵便:配達日を郵便局が証明します。
つまり、内容証明だけでは配達日が分からず、配達証明だけでは文書の内容が証明できません。目的に合わせて選ぶことが大切です。
併用するメリット
両方を組み合わせることで、送った内容と配達日をセットで証明できます。家賃滞納者への催告通知、契約解除通知、クーリングオフなど、通知日が法的効力の起算日になるケースでは特に有効です。実務でも、併用によってトラブルを回避できた事例は多く、相手に心理的プレッシャーを与える効果も期待できます。
費用と手続きの違い
【費用】
– 内容証明郵便:基本料金+内容証明加算(1枚目480円、2枚目以降290円)+一般書留加算480円
– 配達証明郵便:加算350円(差出時)/480円(差出後請求時)+一般書留加算480円
※2025年8月時点の料金です。
【手続き】
– 内容証明郵便:差出人・受取人・郵便局保管分の計3通を作成し、郵便局で内容確認を受け付け。
– 配達証明郵便:一般書留にオプションとして付加。差出後1年以内なら受領証提示で後日請求も可能。
使い分けのポイント
「送った内容を証明したい」なら内容証明郵便、「届いた日を証明したい」なら配達証明郵便、両方必要なら併用を選びましょう。目的と状況に合わせた選択が、確実な証拠保全につながります。
まとめ
内容証明郵便は「送った内容」を、配達証明郵便は「届いた日」を証明します。目的に応じて単独で使うか、併用するかを判断することが重要です。本記事で紹介した特徴・使い方・費用を踏まえ、状況に応じた最適な方法を選びましょう。

特定行政書士として、幅広い業界における法務支援やビジネスサポートに従事するとともに、業務指導者としても精力的に活動。企業法務や許認可手続きに関する専門知識を有し、ビジネスの実務面での支援を中心に展開しています。(登録番号:03312913)