クリニックを開業するには、資金調達や物件選び、許認可手続きなど多くの準備が必要です。本記事では、開業までのスケジュールや必要な許可申請、設備準備、集客方法まで詳しく解説。スムーズな開業を実現するためのポイントをわかりやすく紹介します。開業を検討している医師の方は、ぜひ参考にしてください!
クリニックの開業準備でやるべきこと
クリニックの開業は、スムーズに進めるために計画的な準備が不可欠です。必要な許可申請や資金調達、設備の準備など、多くのステップをクリアする必要があります。ここでは、クリニック開業に向けて具体的にやるべきことを解説します。
1. 開業計画の策定
まず、クリニックの開業コンセプトを明確にし、具体的な計画を立てることが重要です。以下のポイントを整理しましょう。
- 診療科目の選定(内科、皮膚科、整形外科など)
- クリニックの立地条件(ターゲット患者層の需要を考慮)
- 開業資金の調達方法(自己資金、融資、補助金の活用)
- スタッフの採用計画(医師、看護師、受付スタッフなど)
- 競合クリニックのリサーチ
2. 物件選びと契約
クリニックの立地は患者の集客に大きく影響するため、慎重に選びましょう。特に以下の点をチェックしてください。
- 駅からのアクセスや駐車場の有無
- 近隣の医療機関の状況
- 人通りや住民の年齢層、人口
- 設備や改装にかかる費用
契約時には、用途地域の制限や契約条件(賃貸契約の期間、退去時の条件など)をしっかり確認することが大切です。
3. 設備・医療機器の準備
クリニックには、診療に必要な設備や医療機器が不可欠です。診療科目ごとに適切な機器を選定し、費用を試算しておきましょう。
- 診察台・診療チェア
- レントゲンや超音波診断装置
- 電子カルテシステム
- 医療用家具(受付カウンター、待合室の椅子)
- 消耗品(手袋、マスク、消毒液など)
また、医療機器はリース契約や中古品の活用も検討し、コストを抑える工夫も重要です。
4. 許認可の準備
クリニックを開業するためには、保健所や厚生局への届出が必要です。代表的なものは以下の2つです。これらの手続きについて、必要書類や注意事項などの詳細は後述します。
- 開設届(保健所に提出)
- 保険医療機関指定申請(厚生局に提出)
5. 広報・集客の準備
クリニックの開業後にスムーズに患者を集めるため、開業前から広報活動を進めることが大切です。
- 公式ホームページの作成
- GoogleマップやSNSの登録・活用
- 地域住民向けのチラシ配布
クリニックの開業準備にかかる期間の目安
クリニックを開業するためには、計画から開業までのスケジュールをしっかりと立てることが重要です。開業準備には通常6カ月~1年程度かかるとされていますが、物件選びや融資の審査状況によっては、それ以上の時間が必要になることもあります。ここでは、開業までの一般的なスケジュールの目安を解説します。
1. 開業1年前~6カ月前:基本計画と資金調達
開業の約1年前から準備を始めるのが理想です。特に、資金調達や開業計画の策定には時間がかかるため、早めに動きましょう。
- 診療科目・診療方針の決定
- 開業資金の準備(自己資金の確保、融資相談)
- 物件探し(立地・賃貸条件の確認)
- 競合クリニックのリサーチ
- スタッフ採用計画の立案
2. 開業6カ月前~3カ月前:各種手続きと設備準備
この時期になると、開業に必要な許可申請や手続きを進める段階になります。
- クリニックの内装設計・工事開始
- 診療機器や電子カルテの選定・購入
- 主要スタッフ(看護師・受付)採用
- 許認可手続きの準備(開設届・保険医療機関指定申請など)
3. 開業3カ月前~1カ月前:集客準備と最終調整
開業直前は、患者を集めるための広報活動やスタッフ研修、設備の最終調整を行う時期です。
- ホームページ・SNSの開設
- 看板やチラシの準備・配布
- 医療機器のテスト・最終チェック
- スタッフ研修・シミュレーション
クリニックの開業に必須の許認可
クリニックを開業するには、医療法や健康保険法などの関連法規に基づいた許認可が必要です。適切な手続きを行わなければ、営業開始が遅れるだけでなく、罰則の対象となる可能性もあるため、事前にしっかり準備しておきましょう。
開設届
開設届は、診療所で医療行為を行うために必須の届出です。この届出を提出し受理されるまでは、自費診療や予防接種などを含む一切の医療行為を行うことができません。
提出先
開業予定地を管轄する保健所
提出期限
医療法によりクリニック開設後10日以内の届け出が必要ですが、後述する「保険医療機関指定申請」より先に行う必要があるため、内装工事が完了したタイミングで行うのが一般的です。
必要書類
- 診療所開設届(所定の様式)
- 施設の平面図
- 登記事項証明書(法人の場合)
- 医師免許証の写し
- 施設賃貸契約書の写し(賃貸物件の場合)
- その他、各自治体によって指示された書類
注意事項
- 申請時には、保健所の職員が現地調査を行い、施設の基準を満たしているか確認します。
- 診療所の名称や所在地を変更する場合にも届出が必要です。
- 開院と同時に保険診療を開始したい場合は、最低でも最低でも開院の1か月前には提出する必要があります。
保険医療機関指定申請
保険医療機関指定申請は、保険診療を行うために必要な申請です。もしこの申請を提出しない場合は、自由診療しか行うことができません。厚生局によっては、毎月10~20日を提出期限と定めている場合があるので、事前にしっかりと確認を行う必要があります。
提出先
クリニック所在地を管轄する厚生局
提出期限
受理されるまで1か月かかるため、開業予定日の1カ月前までには申請を行います。
必要書類
- 保険医療機関指定申請書(所定の様式)
- 開設届の写し
- 診療所の施設概要書
- 医師免許証の写し
- 賃貸契約書の写し(該当する場合)
- その他、各厚生局によって指示された書類
注意事項
- 申請後、厚生局の審査を経て、指定通知が届いた日以降に保険診療を開始できます。
- 書類に不備があると審査が長引くため、早めに準備することが大切です。
- 申請には、先述の「開設届」を提出し受理されていることが必要です。
必要に応じて行うその他の手続き
クリニックの開業には、保健所や厚生局への届出だけでなく、税務署や福祉事務所など、さまざまな機関への手続きが必要になります。ここでは、必要に応じて行うべきその他の手続きを解説します。
税務署への手続き
クリニックを開業する際、開業後1カ月以内に税務署への開業届の提出が必須です。開業届と同時に青色申告の申請も提出しておけば、税制上の優遇が受けられます。
地域の医師会への加入
医師会に加入することで、医療業界の情報を得たり、自治体が主導する検診や予防接種、学校検診などの委託を受けることができます。加入は任意ですが、地域に密着したクリニックを目指している場合には加入を検討しましょう。
福祉事務所への手続き
生活保護を受けている患者に医療を提供するためには、生活保護法指定医療機関の指定申請が必要です。この指定を受けたクリニックでは、生活保護受給者に対する医療費の支払いを自治体が負担することになります。クリニックの患者層を広げるとともに地域の医療支援に貢献できることから、多くのクリニックが指定を受けています。
労働基準監督署への手続き
クリニックが労災指定医療機関として労働災害による診療を行うためには、労災保険指定医療機関指定申請書を提出し、指定を受ける必要があります。この指定を受けることで、労災で受診した患者に対する診療費を労働局へ直接請求できるようになるため、患者の窓口負担がなくなります。
さらに、労災指定医療機関に指定されると厚生労働省のホームページに掲載されるため、集患効果が期待できます。また、労災診療費の点数単価は健康保険より高いため、クリニックの収入増加につながります。
まとめ
クリニック開業にはさまざまな準備と手続きが求められます。許認可手続きには一定の時間がかかるものもあるため、事前にスケジュールを立て、余裕を持って準備を進めましょう。
また、法的な手続きは専門的な知識が必要な場面も多いため、行政書士や税理士などの専門家に相談しながら進めると安心です。

特定行政書士として、幅広い業界における法務支援やビジネスサポートに従事するとともに、業務指導者としても精力的に活動。企業法務や許認可手続きに関する専門知識を有し、ビジネスの実務面での支援を中心に展開しています。(登録番号:03312913)