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海外で日本の公的文書を使用する際に必要な「アポスティーユ認証」。自分で翻訳した書類でも認証を受けられるのか、取得の流れや注意点を詳しく解説します。スムーズな手続きを進めるためのポイントを押さえ、適切な方法で認証を取得しましょう!
アポスティーユとは?
海外で日本の公的文書を使用する際に、その真正性を証明するための制度が「アポスティーユ(Apostille)」です。これは、ハーグ条約(外国公文書の認証を不要とする条約)に基づき、特定の国々で認められている国際的な認証手続きの一つです。アポスティーユを取得することで、従来必要だった「領事認証」などの手続きを省略でき、スムーズに書類を海外で使用できるようになります。
アポスティーユの対象となる文書の例
一般的に、以下のような書類が対象となります。
- 戸籍関連書類(戸籍謄本・抄本、婚姻届受理証明書、出生証明書)
- 教育関連書類(卒業証明書、成績証明書、在学証明書)
- 会社・法人関連書類(登記事項証明書、会社定款、納税証明書)
- 法律・公証関連書類(公正証書、委任状、契約書)
- その他の公的文書(運転免許証の翻訳証明、無犯罪証明書、医療関連証明書)
領事認証との違い
アポスティーユと領事認証は、どちらも公的文書を海外で使用する際に必要となる手続きですが、対象国や手続きの方法に違いがあります。
- アポスティーユ:ハーグ条約加盟国で利用できる簡略化された認証手続き。外務省の認証のみで完了する。
- 領事認証:ハーグ条約未加盟国向けの認証手続き。外務省での認証に加え、相手国の在日大使館・領事館での追加認証が必要。
例えば、中国やベトナムなどはハーグ条約に加盟していないため、アポスティーユではなく領事認証が求められます。一方で、アメリカやフランスなどの加盟国で文書を使用する場合は、アポスティーユのみで手続きが完了します。
このように、提出先の国によって必要な手続きが異なるため、事前に確認することが重要です。
※ハーグ条約加盟国は外務省HPから確認することが可能です。
アポスティーユ認証の種類
アポスティーユ認証には、公的機関が発行する「公文書」と、個人や法人が作成した「私文書(翻訳文書を含む)」の2種類があります。
公文書
政府機関や地方自治体などが発行する正式な文書を指します。具体例としては、戸籍謄本や卒業証明書(公立の小中高校が発行したもの)、登記簿謄本、納税証明書などが含まれます。これらの文書は、発行元の機関で取得した後、外務省でアポスティーユを取得することでその真正性が証明されます。
私文書(翻訳文書含む)
企業や個人が作成した書類で、公証役場で認証を受けた後にアポスティーユを取得できるものです。例えば、契約書や委任状、卒業証明書(国公立大学法人、私立大学法人等の発行したもの)、翻訳文書などがこれに該当します。
先述の通り戸籍謄本や登記簿謄本などは公文書にあたりますが、これらを翻訳したものは私文書に該当します。そのため、戸籍謄本などを日本語の原文のまま認証する場合は公文書の認証手続き、翻訳したものの認証が必要な場合は私文書の認証手続きを経る必要があります。
自分で翻訳した文書で認証を受けることはできる?
結論から言うと自分で翻訳した文章でも認証を受けることはできますが、提出先によっては申請者自身の翻訳では受け付けてもらえない場合があります。
翻訳に関する条件は提出先の国や機関によって様々ですが、指定された翻訳者や翻訳会社による翻訳を求める場合、翻訳に対しての公証人の認証や外務省の認証を求める場合などもあります。せっかく認証を受けた文書が無効とならないよう、提出先の求める要件を事前に確認しておくことが重要です。
自分で翻訳した文書にアポスティーユを取得する際の流れ
- 翻訳文書の作成:対象となる文書を正確に翻訳します。
- 公証役場での認証:自分で翻訳した文書は「翻訳者の宣誓認証」を受ける必要があります。これは「この翻訳が正確である」と宣言する手続きです。
- 外務省でのアポスティーユ申請:公証役場で認証を受けた翻訳文書に対して、外務省でアポスティーユを取得します。
注意点とポイント
翻訳の正確性が求められる:誤訳や不明瞭な表現があると、認証を受けられない可能性があります。
公証役場での認証が必須:公的機関が発行した文書とは異なり、翻訳文書は公証役場での認証がなければアポスティーユを取得できません。
自分で翻訳を行うことで費用を抑えられるメリットはありますが、手続きが正確に行われているか確認することが重要です。
認証申請の流れと必要書類
アポスティーユや領事認証を取得するには、書類の種類ごとに異なる手続きが必要です。
アポスティーユ
公文書の場合
1.翻訳や文書の作成:翻訳文書や契約書などの私文書を準備します。
2.公証役場での認証:公証役場で「翻訳者の宣誓認証」や「私文書の公証」を受けます。 (公証役場一覧)
3.必要書類の準備:
- 申請書(外務省の指定フォーマット)
- 本人確認書類(運転免許証、パスポートなど)
- 公証役場で認証を受けた文書の原本
- 返信用封筒(郵送申請の場合)※代理人申請の場合委任状
- 本人確認書類の写し
- 代理人の本人確認書類
4.外務省へ申請:外務省の「領事サービス室」または郵送でアポスティーユの申請を行います。
- 申請先住所:〒100-8919 東京都千代田区霞が関2-2-1 外務省 領事局 領事サービス室
- 申請が受理される期間:通常、即日~5営業日(郵送の場合は追加の時間がかかる)
5.アポスティーユ取得:外務省が書類の真正性を確認し、アポスティーユを付与します。
私文書の場合
1.翻訳や文書の作成:翻訳文書や契約書などの私文書を準備します。
2.公証役場での認証:公証役場で「翻訳者の宣誓認証」や「私文書の公証」を受けます。(公証役場一覧)
3.必要書類の準備:
- 申請書(外務省の指定フォーマット)
- 本人確認書類(運転免許証、パスポートなど)
- 公証役場で認証を受けた文書の原本
- 返信用封筒(郵送申請の場合)
※代理人申請の場合(追加の必要書類)
- 委任状
- 本人確認書類の写し
- 代理人の本人確認書類
4.外務省へ申請:外務省の「領事サービス室」または郵送でアポスティーユの申請を行います。
- 申請先住所:〒100-8919 東京都千代田区霞が関2-2-1 外務省 領事局 領事サービス室
- 申請が受理される期間:通常、即日~5営業日(郵送の場合は追加の時間がかかる)
5.アポスティーユ取得:外務省が書類の真正性を確認し、アポスティーユを付与します。
領事認証
公文書の場合
1.書類の取得:役所や教育機関などから対象の公文書を取得します。
2.外務省での認証:外務省で公文書の認証を取得します。
3.必要書類の準備:
- 申請書(大使館の指定フォーマット)
- 本人確認書類(運転免許証、パスポートなど)
- 外務省で認証を受けた公文書の原本
- 返信用封筒(郵送申請の場合)
※代理人申請の場合(追加の必要書類)
- 委任状
- 本人確認書類の写し
- 代理人の本人確認書類
4.大使館・領事館での認証:提出先の国の大使館や領事館で追加の認証を受けます。
- 申請が受理される期間:各大使館・領事館による(通常1週間~2週間程度)
私文書の場合
1.翻訳や文書の作成:翻訳文書や契約書などの私文書を準備します。
2.公証役場での認証:私文書の公証を受けます。
3.外務省での認証:外務省で書類の認証を受けます。
4.必要書類の準備:
- 申請書(大使館の指定フォーマット)
- 本人確認書類(運転免許証、パスポートなど)
- 外務省で認証を受けた私文書の原本
- 返信用封筒(郵送申請の場合)
※代理人申請の場合
- 委任状
- 本人確認書類の写し
- 代理人の本人確認書類
5.大使館・領事館での認証:提出国の在日大使館・領事館で最終認証を取得します。
- 申請が受理される期間:各大使館・領事館による(通常1週間~2週間程度)
※補足①:郵送申請の場合は、レターパック(ライト・プラス)や簡易書留など追跡可能な封筒を使い、宛名・住所は正確に記入しましょう。
※補足②:代理人申請の場合でも、同一世帯の家族や法人内申請など条件により委任状が不要となることもあります。詳細は外務省や大使館に事前確認を。
申請手続きにかかる費用
アポスティーユや領事認証の取得にかかる費用は、申請方法や書類の種類によって異なります。
アポスティーユ
外務省での認証:無料
私文書を公証役場で認証する場合:翻訳文書や契約書を自分で作成した場合、公証役場での認証が必要です。一般的な認証手数料は、1件あたり11,000円(税込)程度が目安です(内容により前後します)。
書類の取得費用:戸籍謄本や登記簿謄本など、各種証明書の発行には1通あたり数百円〜1,000円程度かかります。
郵送にかかる費用:郵送で申請する場合、返信用封筒(レターパックや簡易書留など)と送料が必要です。
領事認証
領事認証は、外務省での認証後に各国の大使館・領事館での追加認証が必要です。これには明確な手数料が設定されており、国ごとに異なります。
外務省での認証:無料
大使館・領事館での認証:国によって異なりますが、数千円〜1万円程度の手数料が発生することが一般的です。
その他にかかる可能性のある費用
行政書士などの専門家に依頼する場合:書類準備や手続き代行を依頼する場合、1〜3万円以上の報酬がかかります。
まとめ
アポスティーユ認証の取得は、海外での公的文書の使用をスムーズにする重要な手続きです。申請をスムーズに進めるために、提出先の国の要件を事前に確認し、必要書類を整えたうえで申請しましょう。また、翻訳文書は正確性が求められるため、専門家に依頼することも検討しましょう。アポスティーユの取得はやや複雑な手続きですが、正しい情報をもとに準備を進めればスムーズに進行できます。本記事を参考に、余裕をもって申請を進めましょう。

特定行政書士として、幅広い業界における法務支援やビジネスサポートに従事するとともに、業務指導者としても精力的に活動。企業法務や許認可手続きに関する専門知識を有し、ビジネスの実務面での支援を中心に展開しています。(登録番号:03312913)