深夜酒類提供飲食店の営業届は必要?風営法との違いと法律・届出の流れをご紹介

深夜酒類提供飲食店とは?

「深夜酒類提供飲食店」とは、夜0時以降もお酒を出して営業するお店のことをいいます。対象となるのは、深夜まで営業する居酒屋やバー、スナック、ラウンジなどです。風営法(第33条)で「深夜0時から朝6時までの時間帯に酒類を提供して営業する飲食店」と定められており、この条件に当てはまる場合には届出が必要です。

ただし、接待行為を伴うキャバクラやホストクラブ、ダンススペースのあるクラブなどは、別途「風営法の許可」が必要になります。単に深夜までお酒を提供する営業と、接待や遊興を伴う営業は区別されているため、どちらに該当するかを正しく理解しておくことが大切です。

深夜にお酒を提供する営業は、地域の治安や生活環境に影響が及ぶ可能性があるため「届出制」が導入されています。以前は罰則が比較的軽めでしたが、2025年6月以降は無届営業に対して厳格な処分が科されるようになりました。個人には懲役や罰金が、法人には最大3億円の罰金が科される可能性もあるため、必ず事前に届出を行うことが求められます。

 

深夜酒類提供飲食店営業開始届とは?

このような深夜酒類提供飲食店を営業する場合には、必ず『深夜酒類提供飲食店営業開始届』を提出する必要があります。提出先は店舗所在地を管轄する警察署(生活安全課)で、営業を始める10日前までに提出することが法律で決められています。

東京都では警視庁が管轄しており、書類に問題がなければその日のうちに受理され、すぐに営業を始められることもあります。ただし地域によっては確認に時間がかかる場合もあるため、余裕をもって2週間ほど前から準備するのが安心です。

また、届出を出す前には必ず警察署で事前相談を行い、必要な書類や条件を確認しておくことが大切です。無届で営業すると厳しい罰則の対象になるため、必ずルールに沿って手続きを済ませてから営業を開始しましょう。

深夜酒類提供飲食店営業開始届が必要な業態とは

深夜酒類提供飲食店営業開始届の要否に関して主に以下のような形となります。ただし、同じ業態でも、実際の営業内容によって届出の要否が変わることがあります。深夜にアルコール提供を主とする場合は、ラーメン店などでも届出が必要になる可能性があります。判断に迷うときは、所轄の警察署に確認してください。

必要な業態

業態の例 ポイント
居酒屋、焼き鳥屋、焼きとん屋、立ち飲み屋、ダイニングバーなど お酒の提供を主な目的とする飲食店。
深夜0時〜午前6時に営業しない場合は不要

不要な業態

業態の例 ポイント
ラーメン店、うどん店、そば店、お好み焼き店、もんじゃ焼き店、ピザ屋、牛丼屋、弁当屋、定食屋、レストラン、中華料理店など 主食を中心に提供する飲食店。
アルコール主体に変更する場合は届出が必要

 

 

深夜酒類提供飲食店営業開始届の要件とは

深夜にお酒を提供する飲食店を始めるには、単に届出を提出すれば良いわけではありません。営業開始前に守らなければならない法律上のルールがあり、それを理解していないと届出が受理されなかったり、開業後に行政指導を受ける恐れがあります。特に重要なのは「場所的要件」「営業所(店舗)の設備要件」「風営法許可との区別」の3つです。これらをしっかり準備しておきましょう。

場所的要件(用途地域の制限)

まず確認すべきは「用途地域」です。都市計画法に基づき、地域ごとに建物や営業の可否が定められています。深夜酒類提供飲食店は、住居専用地域などの一部地域では深夜営業が禁止されています。

主な制限地域の例:

  • 第一種低層住居専用地域
  • 第二種低層住居専用地域
  • 第一種中高層住居専用地域

物件を契約する前に「用途地域証明書」を役所で取得し、営業可能な場所か必ず確認しておくことが重要です。

営業所(店舗)の設備要件

次に必要となるのが店舗の設備に関する基準です。客室の面積や照明の明るさ、音響設備などは都道府県の条例で定められています。基準を満たしていないと届出が受理されず、改修を求められることもあります。

代表的な設備基準:

    • 客室の最低面積(条例で規定)
    • 十分な照明の明るさ
    • 適切な音響設備

営業予定地の警察署や行政窓口に事前確認し、基準を満たした状態で届出を行うことが必要です。

風営法許可との区別

風俗営業許可とは異なり人的要件は不要ですが、特に注意すべきは「接待行為」の有無です。キャバクラやホストクラブのように接待を伴う場合は「風営法許可」が必要になります。一方、接待を伴わず、バーや居酒屋などで深夜にお酒を提供するだけであれば「深夜酒類提供飲食店営業開始届」で足ります。

区別のポイント:

  • 接待を伴う → 風営法許可が必要
  • 接待を伴わない → 深夜酒類提供飲食店営業開始届で足りる

要件を誤解すると営業ができなくなる可能性があるため、不安な場合は行政書士に相談することをおすすめします。

 

深夜酒類提供飲食店営業開始届の必要書類とは

深夜酒類提供飲食店の届出は、単に「届出書」を出すだけでは受理されません。警察署に提出する際には、営業を行うための根拠や実際の営業内容を証明できる複数の書類が必要です。書類に不備があると受付ができず、営業開始が遅れてしまうこともあるため、事前に漏れなく揃えておくことが重要です。ここでは、届出に必要な主な書類を一覧でまとめ、注意点もあわせてご紹介します。

必要な書類の一覧とポイント

深夜酒類提供飲食店の営業開始届で一般的に求められる書類は次のとおりです。

  • 営業開始届出書・飲食店営業許可証の写し

営業開始届出書は、警察署(生活安全課)に提出する中心となる書類です。また、保健所から発行される「飲食店営業許可証の写し」も必ず添付が必要です。飲食店の営業許可がない場合は深夜営業の届出はできませんので注意しましょう。

  • 住民票(個人)・登記事項証明書(法人)

個人事業の場合は住民票、法人の場合は登記事項証明書が必要です。どちらも発行日から一定期間内のものが有効となるため、事前に余裕を持って準備しましょう。

  • 店舗図面・賃貸借契約書・用途地域証明書・メニュー表

店舗のレイアウトを示す「店舗図面」は必須です。賃貸物件で営業する場合は「賃貸借契約書の写し」、その場所で深夜営業が可能かどうかを証明する「用途地域証明書」も添付が必要です。さらに、実際に提供する内容が分かる「メニュー表」も求められます。特にアルコール提供の時間帯が深夜に及ぶことを確認できる記載が必要になるため、事前にチェックしておくと安心です。

このほか、誓約書や身分証明書、略歴書、使用承諾書、営業所周辺の略図など、警察署ごとに追加で求められることもあるため、事前に管轄警察署へ確認しておくことが確実です。

 

深夜酒類提供飲食店営業開始届の流れとは

深夜にお酒を提供する営業を始めるには、単に書類を出すだけではなく、計画的な準備が必要です。特に届出は“事前相談”から始まるため、いきなり書類を提出しても、相談が済んでいなければ受理されない場合があります。ここでは、営業開始までの流れを4つのステップに分けて解説します。順を追って進めれば、初めての方でも安心して手続きを完了できます。

ステップ1:事前相談と準備

最初に警察署(生活安全課)へ相談に行きます。店舗の場所、営業時間、営業内容を説明し、必要書類や基準について確認しましょう。この時点で店内設備や立地条件に問題がないかをチェックしておくと、後で修正するリスクを減らせます。賃貸物件の場合は、契約時点で「深夜営業が可能かどうか」を確認しておくことも重要です。

ステップ2:書類の作成と収集

次に必要書類を準備します。営業開始届出書、住民票や登記事項証明書、用途地域証明書、店舗図面、メニュー表など、多くの書類を揃える必要があります。特に図面の作成は専門的な知識が求められることもあり、行政書士に依頼するケースも少なくありません。すべてが整ってから提出できるよう、早めの収集を心がけましょう。

ステップ3:警察署への届出と確認

書類が揃ったら、管轄の警察署へ提出します。担当者が書類を確認し、不備がなければその場で受理されます。不備があると追加提出や修正が必要になり、営業開始が遅れる場合があります。また、提出時に担当官から営業ルールや注意点について説明を受けることもあるので、しっかり確認しましょう。

ステップ4:届出が受理されたら営業開始

届出が受理されれば、その日から深夜酒類提供飲食店として営業できます。審査や許可を待つ必要はなく、届出制のため受理された時点で営業が可能になります。ただし「営業開始の10日前までに届出を行うこと」が法律で義務付けられているため、逆算して余裕をもったスケジュールで進めることが大切です。届出後もルールを守り、適正な営業を続けることが安心経営につながります。

深夜酒類提供飲食店営業に関する届出と注意点

深夜酒類提供飲食店営業を始めるにあたっては、単に営業開始届を提出すれば良いわけではありません。法律で定められたルールを理解し、正しく手続きを行わないと、届出が受理されなかったり、営業停止や行政指導の対象となる恐れがあります。ここでは、営業開始から運営中、そして営業終了に至るまでに必要となる注意点を整理します。

深夜酒類提供飲食店営業と風俗営業許可の違い

深夜酒類提供飲食店営業は「お酒と食事の提供」を中心とする営業であり、接待行為を伴わないのが原則です。もし接待や遊興行為を行う場合は、風俗営業の許可が必要になります。両者の区別を誤ると無許可営業となり、重い処分を受ける可能性があるため注意が必要です。

深夜酒類提供飲食店営業で禁止されている行為

  • 未成年者に酒類を提供すること
  • 午前0時以降に18歳未満を店内に滞在させること
  • 風俗営業に該当する接待行為を行うこと
  • 賭博など他の法令に違反する行為
  • 届出内容と異なる方法で営業すること

違反すると、営業停止命令や罰則の対象となる場合があります。

深夜酒類提供飲食店営業変更届を提出する場合

営業所の所在地変更や、営業者の氏名・住所の変更があった場合は「変更届」を提出する必要があります。変更届を怠ると、行政手続き上の不備として指摘を受ける可能性がありますので、変更が生じたときは速やかに届け出ましょう。

深夜酒類提供飲食店営業廃止届を提出する場合

営業をやめる場合には「廃止届」を提出しなければなりません。廃止届は営業を終了した日から10日以内に提出するのが原則です。届け出を怠ると、不要な行政管理が残ってしまい、後々の手続きに支障をきたすこともあります。

 

まとめ

深夜にお酒を提供するお店を営業するには、事前に「深夜酒類提供飲食店営業開始届」を提出することが法律で義務付けられています。届出を出すだけでなく、営業後も守るべきルールがあり、接待行為の禁止や従業者名簿の作成、営業内容を変更・廃止する際の届出などが求められます。

これらを怠ると営業停止や重い罰則につながる可能性があるため、開業前の準備から営業後の運営まで、常に法律を意識した対応が大切です。しっかりとルールを守ることで、安心して長く営業を続けることができます。

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