行政書士に顧問契約するメリットは?費用相場と契約時の注意点もご紹介!

法務部門を持たない中小企業や個人事業主にとって、行政書士との顧問契約は強力な味方になります。継続的な支援で経営リスクを軽減する活用方法をご紹介します。

 

行政書士の仕事とは

行政書士は、行政手続きや法的書類に関する専門知識を持ち、日常的な手続きからビジネス上の重要な書類作成まで幅広く支援する法律系の国家資格者です。個人や法人が法律に関わる場面でスムーズに対応できるよう、専門的な立場からアドバイスや実務サポートを行います。

行政書士が対応できる主な業務は、大きく3つに分けられます。

1.許認可申請書類の作成・提出

建設業許可、飲食店営業許可、産業廃棄物収集運搬業許可など、事業を始める上で必要となる各種許可の取得に必要な書類を作成し、官公署への提出まで代行します。

2.権利義務・事実証明に関する書類の作成

遺産分割協議書や内容証明郵便、示談書など、法律的な効力を持つ書類の作成を行います。契約関係やトラブル予防にも役立つ重要な業務です。

3.相談業務

法的な知識を活かして、起業・相続・離婚・外国人の在留資格手続きなどについて相談対応を行います。弁護士のように訴訟を代理することはできませんが、予防法務の立場から適切なアドバイスを提供します。

特に最近では、企業のコンプライアンス意識の高まりや、行政手続きのデジタル化によって、行政書士の業務範囲が広がりつつあります。電子申請やオンライン相談のニーズも増えており、より身近な存在になってきています。

また、行政書士は他士業(弁護士、税理士、司法書士など)と連携しながら業務を進めることも多いため、事業運営において頼れる「法務パートナー」として活用されるケースが増えています。

このように、行政書士は「書類の専門家」であるだけでなく、企業や個人の法務全般を支える心強い存在です。顧問契約などを通じて、継続的なサポートを受けることで、安心して事業や生活を進めることができるようになります。

 

顧問契約とは

顧問契約とは、企業にとって助言や指導を行うにふさわしい専門性・経験を持つ人物と継続的な契約関係を結び、必要なときに随時相談や業務依頼ができる契約のことを指します。

具体的には、以下のような人が顧問として契約されることが一般的です。

  • 士業:弁護士、公認会計士、税理士、社会保険労務士、行政書士、弁理士
  • 企業経営の経験者:元役員・元管理職など、その業界の実務経験が豊富な人
  • 大学教授・研究者・技術者:特定の技術分野や研究分野に精通している人物

中でも、行政書士との顧問契約では、月額報酬を支払うことで法務や行政手続きに関するサポートを日常的に受けられるのが特徴です。

行政書士との顧問契約の内容は事務所によって異なりますが、主に以下のようなサポートが含まれることが一般的です。

  • 許認可関連の相談・申請手続きの代行
  • 各種契約書や社内規程の作成・チェック
  • 法改正情報の提供と対応策の提案
  • 行政指導や調査への対応支援
  • 経営や事業運営に関する法務的なアドバイス

契約プランによっては、対応回数や対応時間に制限があるケースもあるため、自社のニーズに応じた内容で締結することが大切です。

なお、顧問契約を結ぶクライアントには、許認可が必要な業種の中小企業、社内に法務担当者がいない企業や個人事業主、士業や経営コンサルタント、外国人雇用企業などが多く見られます。継続的な法務支援を必要とするケースが多いため、外部の法務パートナーとして行政書士の存在が重宝されています。

 

行政書士と顧問契約を結ぶメリット

行政書士と顧問契約を結ぶことには、さまざまなメリットがあります。ここでは、代表的なポイントを7つに整理してご紹介します。

 

1. 継続的に相談できる安心感

行政書士と顧問契約を結ぶと、日々のちょっとした疑問や法務上の確認事項について、すぐに相談できる環境が整います。問題が大きくなる前に相談できることで、トラブルの未然防止にもつながります。

2. 手続きの迅速化と正確性の向上

許認可の申請や各種届出は、ミスがあると再提出になったり、事業の開始や継続に支障をきたすことがあります。顧問契約があれば、こうした手続きを専門家がスピーディーかつ正確に対応してくれるため、安心して本業に専念できます。

3. 法改正へのスムーズな対応

行政書士は日々の業務の中で最新の法改正情報に触れています。顧問契約を結んでいれば、関係のある法改正について早めに情報提供を受けることができ、必要な対応も迅速に行えます。

4. コストパフォーマンスが高い

スポットで依頼するよりも、月額の顧問契約にすることで費用を抑えられるケースが多くあります。継続的にサポートが必要な場合には、コスト面でも効率的です。

5. 書類作成の手間を削減できる

各種契約書や議事録、社内規程など、煩雑な書類作成業務を行政書士に任せることで、内部リソースを本来の業務に集中させることができます。

6. リスクマネジメントの強化

万が一の行政指導やトラブルの際にも、事前に対応策を講じておくことでダメージを最小限に抑えることができます。継続的な相談関係があることで、対応の質もスピードも大きく変わってきます。

7. 士業やコンサルタントとの相互連携が可能

他士業やコンサルタントがサポート体制を強化するために、行政書士と顧問契約を結ぶケースもあります。顧客への総合的な支援体制を整えたい場合にも有効です。

 

このように、顧問契約は単なる書類代行ではなく、「いつでも相談できる安心感」と「事業を守る体制づくり」を支える重要な仕組みとなります。特に変化の激しい現代において、継続的な法務支援は経営の安定にも直結すると言えるでしょう。

 

行政書士の顧問契約の費用相場

行政書士との顧問契約を検討する際、気になるのが「費用の相場」です。費用は業務内容や契約条件、事務所の方針によって差がありますが、ここでは一般的な相場感と、その背景にある考え方について解説します。

 

一般的な月額報酬の目安

契約先の規模・業種 月額報酬の目安 特徴
個人事業主 約5,000円〜15,000円 相談業務が中心。書類作成は別料金になることも。
中小企業(法人) 約10,000円〜30,000円 許認可や定期届出のサポートを含むことが多い
専門業種・複数許可あり 約30,000円〜50,000円以上 建設業、産廃業、運送業など。複雑な手続きや頻繁な更新が必要

報酬の金額は、「どのような業務をどこまで対応してもらうか」によって大きく変動します。相談だけで済む場合と、毎月のように申請業務が発生するケースとでは、当然負担も異なります。

 

契約形態による違い

  • 定額型(月額固定):対応範囲と回数に制限があるものの、予算が立てやすくコスト管理がしやすい
  • 従量課金型(都度請求):対応内容に応じて柔軟に支払いたい場合に向いている
  • ハイブリッド型:一定の月額料金+追加業務は都度料金という形態も存在

また、対応手段(メール・電話・訪問)の制限や、月あたりの相談回数などによっても金額が調整されるケースがあります。

こうした費用構造を事前に確認しておくことで、契約後のトラブルや不明瞭な支払いを避けることができます。

行政書士の顧問契約は、金額の安さだけで選ぶものではありません。自社の業務内容や必要な支援レベルに合わせて、信頼できるパートナーを選ぶことが、結果としてコストパフォーマンスの高い契約につながります。

 

顧問契約の注意点

行政書士との顧問契約は、多くのメリットがありますが、契約前に確認すべきポイントや、注意しておきたい点も存在します。

 

契約時に確認すべきポイント

  1. 業務の範囲と対応内容

顧問契約だからといって、すべての業務に無制限で対応してもらえるとは限りません。許認可申請の代行や契約書作成、相談業務など、どの範囲まで対応してもらえるのか、契約書で明文化されているかを確認しましょう。

  1. 対応回数や対応時間の制限

「月○回まで」「○時間以内」といった制限がある場合があります。回数制限を超えた対応には追加料金が発生するケースもあるため、事前に取り決めを確認しておくことが大切です。

  1. 連絡手段とレスポンスのスピード

電話・メール・オンラインなど、どのような手段で連絡を取るのか、また緊急時の対応はどうなるのかについても、あらかじめ確認しておくと安心です。

  1. 他士業との連携体制

行政書士が対応できない業務(税務、登記、労務など)について、他の士業と連携しているかどうかもチェックポイント。必要に応じてスムーズに連携できる体制があるかは、実務上重要です。

  1. 契約期間と解約条件

最低契約期間が設定されている場合や、途中解約の際に違約金が発生するケースもあります。解約時のルールについても事前に確認しておきましょう。

契約をスムーズに進め、満足のいく関係を築くには、「業務範囲の明確化」と「認識の共有」が何より重要です。

 

まとめ

行政書士との顧問契約は、日常的な法務サポートを得られる心強い仕組みです。業務の効率化やリスク管理の面でも大きな効果が期待できます。

この記事では、行政書士の役割から始まり、顧問契約の概要、メリット、費用相場、注意点まで一通りご紹介しました。契約を検討する際は、業務範囲や契約条件をしっかり確認し、自社に合った行政書士を選ぶことが成功のカギです。

「何かあったときに相談できる」だけでなく、「何も起こさないために支えてくれる」存在として、顧問契約をうまく活用してみてください。安心できるビジネス環境づくりの一助となるはずです。

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