外国人の永住権取得方法をお伝えします!条件・手続き・メリットを行政書士が徹底解説

外国人が知っておきたい永住権のキホンとは?

永住権(正式名称は在留資格「永住者」)とは、日本で期限なく安定して暮らせる在留資格のことです。実務では「永住ビザ」と呼ばれることもありますが、意味は同じです。

永住権と帰化の違いは

永住権は、外国籍のまま日本に住み続けられる在留資格です。一方で、帰化は日本国籍を取得する手続きであり、元の国籍を離脱して日本人となります。国籍の有無や選挙権など、権利や義務に大きな違いがあるため、帰化する場合は将来の生活設計や希望に応じて慎重に選択する必要があります。

永住権を申請できる時期

原則として、日本に10年以上継続して在留していることが申請の条件です。ただし特例もあり、日本人・永住者・特別永住者の配偶者であれば、婚姻期間が3年以上かつ日本での在留が1年以上あれば申請が可能です。

また、高度専門職の在留資格を持つ方は、専門性や社会的貢献が評価されると、通常より短い期間で申請できます。具体的には、高度専門職ポイントが70点以上で3年以上、80点以上で1年以上の在留で申請可能です。* 詳しくが行政書士等にご確認ください。

在留中に要件を満たさない期間(無職期間や納税義務の不履行など)があると、その期間は在留年数の通算から除外されることがありますので、申請前に自分の在留履歴や納税状況を確認しておきましょう。

 

外国人が永住権を取得するメリット

永住権を持つことで、日本での生活はぐっと安定し、行動の選択肢も広がります。ここでは、特に多くの方が実感する4つのメリットをわかりやすくご紹介します。

1. 在留期間の更新が不要になる

永住権を取得すると、これまで数年ごとに行っていた在留期間の更新手続きが不要になります。更新忘れや不許可の心配から解放されるため、長期的に安心して日本で暮らすことができます。

2. 職種や働き方の制限がなくなる

通常の在留資格には、働ける職種や活動内容に制限があります。しかし永住者は就労の制限がないため、どの業種にも転職でき、自ら事業を始めることも可能です。

3. 社会的信用が向上する

永住権を持っていると、銀行や金融機関での信用度が高まり、住宅ローンやクレジットカードの審査が通りやすくなることがあります。

4. 家族の在留資格取得が容易になる

永住者の配偶者や子どもは、「永住者の配偶者等」や「定住者」などの在留資格で滞在できる場合があります。これらの資格は他の就労ビザ等と比べ取得要件が緩やかな傾向があります。

 

永住権を取得するための条件とは

永住権は、誰でもすぐに申請できるわけではなく、法務省が定めた一定の条件を満たす必要があります。これらの条件は「日本で安定して暮らし、社会に貢献しているか」を判断する基準です。

ここでは、永住権を取得するための主な条件をご紹介します。

1. 素行が善良であること(交通違反・税金滞納に注意)

「素行が善良」とは、法律や社会のルールを守って生活しているかということです。刑事罰を受けた経歴はもちろん、軽微な交通違反を何度も繰り返している場合や、税金・社会保険料の滞納がある場合も審査で不利になります。

例えば、1回のスピード違反なら大きな問題にならないこともありますが、年間で複数回の違反や過去の罰金刑は慎重に判断されます。市民税の未納・延滞も信用低下につながるため、申請の際は過去5年分の納税状況や素行に注意しておきましょう。

2. 安定した収入や資産があること

永住権は、日本で自立して生活できることが前提です。職業形態にかかわらず、安定した収入が継続しているかが大きな審査ポイントとなります。収入額の明確な基準は公表されていませんが、「公的扶助に頼らず生活できるか」を、世帯構成・年間収入・資産・納税実績など複数の要素から総合的に判断します。

また、貯金や不動産などの資産がある場合はプラス評価となることもあります。生活保護の受給や長期の無職期間があると不許可の可能性が高まるため注意が必要です。

3. 日本にとって有益であること

永住権は、日本社会に継続的に貢献している人に与えられる資格です。そのため、日々の納税や法令遵守に加えて、次のような活動や実績が評価対象となります。

  • 経済的貢献:安定した就労や事業経営を通じて税金・社会保険料を納付していること
  • 雇用創出:会社経営者や自営業者として、日本人や永住者の雇用機会を生み出していること
  • 地域社会への参加:自治会活動、防災訓練、地域ボランティア、学校行事への協力など、地域コミュニティとの良好な関係を築いていること
  • 家族の扶養:配偶者や子ども、場合によっては高齢の親などを適切に扶養し、生活基盤を安定させていること
  • 門性や技能の提供:医療、教育、研究、ITなどの分野で、日本の発展や国際競争力向上に寄与していること

これらはあくまで例ですが、申請時には具体的な活動内容や実績を証明できる資料(勤務証明、納税証明、ボランティア参加証明など)を添えることで、審査上有利になる可能性があります。

 

永住権申請の流れと必要な手続き

永住権の申請は、単に申請書を提出すれば完了するものではありません。現在の在留資格や家族構成、収入状況によって必要な手続きや準備内容が変わります。さらに、法務省による審査は年々厳格化しており、準備不足のまま申請すると不許可となるケースも少なくありません。そのため、事前に条件や必要書類を確認し、計画的に準備を進めることが重要です。

ケース別の永住権申請の流れ

ここでは「在留資格からの変更」と「出生による取得」という2つのケースに分けて、流れや注意点、費用の目安を解説します。

1. 在留資格から永住権へ変更する場合

もっとも多いのが、現在の在留資格から「永住者」に変更するケースです。

まずは、在留期間・素行・収入など、永住申請の要件を満たしているかを確認します。その上で、居住地を管轄する地方出入国在留管理局に「永住許可申請」を行います(これは在留資格変更申請とは別の手続きです)。

必要書類は、本人情報のほか収入・納税状況、身元保証人に関する資料など多岐にわたり、申請から許可までの期間は通常4〜8か月程度です。

2. 出生による永住権取得の場合

外国籍の両親のもとで日本国内に生まれた子どもは、出生後に必ず在留資格を取得する必要があります。自動的に永住資格が与えられるわけではありませんが、永住者の子どもであれば「永住者の配偶者等」に該当する場合があります。

出生後30日以内に在留資格取得許可申請を行う必要があり、永住資格の対象外の場合は「家族滞在」など別の在留資格で滞在を開始することもあります。出産予定がある場合は、事前に流れを確認しておきましょう。

2. 申請時期と注意点

永住申請はタイミングが重要です。在留カードの有効期限が残り少ない状態で申請すると、更新と重なって手続きが複雑になったり、審査に不利になることがあります。目安としては、在留期限が6か月以上残っている時期が理想です。また、申請直前の転職や引越しは安定性の判断に影響するため、生活が落ち着いた時期に申請することが望まれます。

3. 申請先と審査期間

申請は、住民登録している住所を管轄する出入国在留管理局(入管)で行います。申請者本人のほか、行政書士などの代理人による申請も可能です。審査期間は通常4〜6か月ですが、追加資料の提出を求められた場合などはさらに長くなることがあります。余裕をもったスケジュールで進めましょう。

なお、永住資格そのものに期限はありませんが、在留カードの有効期間は7年です。更新を忘れるとカードが失効するため注意してください。

4. 申請費用の目安

永住許可の申請手数料は1万円(収入印紙)で、許可が出た際に納付します。行政書士に依頼する場合の報酬はおおむね10万〜20万円が相場です。自分での申請が不安な場合は、初回相談だけ専門家を活用する方法もあります。

 

永住権申請に必要な書類

永住権の申請では、「これまで日本で安定して生活してきた証拠」や「収入・納税状況を示す資料」など、法務省が定める複数の書類を提出します。

書類に不備があると受理されなかったり、審査が大幅に遅れることもあるため、事前にしっかり確認して準備しましょう。ここでは、主な書類をカテゴリごとにまとめます。

区分 書類名
基本書類(全員共通) 永住許可申請書(指定様式)と了解書(必須)
顔写真(縦4cm×横3cm)
パスポートと在留カードのコピー
理由書(自由形式/専門家による添削も推奨)
収入・納税に関する証明 課税(所得)証明書・納税証明書:
就労系・家族滞在・定住者は原則過去5年分、日本人・永住者の配偶者等は過去3年分(管轄や個別事情で追加の指示あり)
在職証明書
源泉徴収票または給与明細
身元保証人に関する書類 保証書(入管指定様式)
住民票(保証人のもの)
印鑑証明書(保証人のもの)
課税証明書(保証人のもの)
その他(居住実態の証明など) 住民票(世帯全員分)
賃貸契約書または不動産登記簿謄本

これらの書類は、申請者の生活基盤や社会的信用を証明するための大切な資料です。提出前に日付や記載内容が最新かを確認し、必要に応じて役所や勤務先から早めに取り寄せましょう。

 

【要注意】永住権が取り消される場合

「永住権=一生有効」と思われがちですが、実は取得後も一定の条件を守らなければ、取り消しになることがあります。

永住権は「日本で安定して暮らせる権利」であると同時に、「社会のルールや義務を果たす責任」が前提です。ここでは、代表的な取り消し理由と、防ぐためのポイントをご紹介します。

永住権が取り消される主な理由

日本の出入国管理及び難民認定法(入管法)では、次のような場合に永住権が取り消される可能性があります。

1. 虚偽の申請をしていた場合

収入や勤務先などの事実を偽って申請すると、後から判明した場合でも、取得から何年経過していても取り消しの対象となります。

2. 日本に継続して居住していない場合

永住者は日本に生活拠点を置くことが前提ですが、再入国許可の有効期間内であれば長期滞在も可能です(特別再入国許可は1年、通常は最長5年)。期間を過ぎると資格を失う可能性があります。

3. 重大な犯罪行為を行った場合

殺人・強盗などの故意による重罪や、再犯性の高い薬物犯罪などを犯した場合は、永住権があっても強制退去や取消しの対象となります。

4. 扶養義務や納税義務を怠っている場合

納税や社会保険料の未納、家族扶養の放棄は社会的義務を果たしていないとみなされます。令和6年11月の法改正により、故意による未納は取消し理由として明確に規定されました。

取り消しを防ぐためのポイント

永住権を守るためには、日常生活の中で次のようなことを意識することが大切です。

  • 税金や社会保険料は期限内に納付する(未納や滞納を避ける)
  • 長期出国の際は住民票や再入国許可の手続きを忘れない
  • 犯罪や度重なる交通違反を避ける
  • 在留履歴や納税記録をきちんと保管しておく

こうした日々の積み重ねが、日本での永住生活を安心して続けるための信頼につながります。

 

まとめ

永住権は、日本で長く安心して暮らすための大きなステップです。取得すれば在留期間の更新が不要になり、働き方や生活の選択肢も広がります。
ただし、申請には法律で定められた条件を満たす必要があり、必要書類の準備やタイミングの見極めなど、丁寧な準備が欠かせません。

さらに、永住権を得た後も、税金や社会保険料の納付、法律や社会ルールの遵守といった義務を果たし続けることが求められます。これらを怠ると、最悪の場合は永住権が取り消される可能性もあります。

もし要件や手続きに不安がある場合は、行政書士などの専門家に相談することで、最新の情報に基づいたアドバイスを受けられ、スムーズかつ確実に申請を進めることができます。

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