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そもそも「在留資格取得許可申請」とは?
在留資格取得許可申請とは、日本国内で外国籍の方が正式に「在留資格」を得るための手続きです。ここでいう在留資格は、日本で生活や仕事、学業などの活動を行うための法的な資格をいいます。似た言葉で「ビザ(査証)」がありますが、ビザは日本への入国を許可するものであり、在留資格は入国後に日本で滞在・活動する根拠となる点が異なります。
- 在留資格:日本国内で生活・仕事・学業などの活動を行うための法的資格(入国後の滞在根拠)
- ビザ(査証):外国籍の方が日本へ入国することを許可するもの(入国のための許可証)
この申請が必要になるのは、たとえば日本で外国籍のお子さんが生まれた場合や、日本国籍を離脱した後も日本で暮らし続けたい場合などです。申請を行わずに滞在を続けると、法律上「不法滞在」とみなされるおそれがあり、将来の生活に大きな影響が出る可能性があります。
主な対象者は以下の通りです。
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- 日本で出生した外国籍のお子さん
- 日本国籍を離脱後も日本で生活を希望する方
- その他、特別な事情により在留資格取得が必要な方
申請期限にも注意が必要です。出生や国籍喪失の日から60日間は在留資格がなくても滞在できますが、引き続き滞在する場合は、その事由が発生した日から30日以内に申請が必要です。期限を過ぎると不許可や追加手続きのリスクが高まるため、早めの準備を心がけましょう。
在留資格取得許可申請の流れ
ここでは、在留資格取得許可申請の一般的な手順を、初めての方でも理解しやすいように順を追ってご説明します。
① 必要書類をそろえる
まずは申請に必要な書類を準備します。必要書類は申請人の状況や取得する在留資格の種類によって異なりますが、共通して求められる主なものは以下の通りです。
- 在留資格取得許可申請書
- 戸籍謄本または出生証明書
- 身元保証書
さらに、親子関係を証明する書類や国籍離脱証明書、世帯全員の住民票、身元保証人の住民票・課税証明書などが必要になる場合もあります。申請前に必ず、最新の提出資料一覧を確認して漏れがないようにしましょう。
② 申請書を記入する
書類がそろったら、在留資格取得許可申請書に必要事項を記入します。申請書は法務省のホームページからダウンロードでき、必ず最新版の様式を使用してください。記載内容は、氏名・生年月日・国籍・住所・申請理由などの基本情報に加え、希望する在留資格や滞在目的の詳細も含まれます。申請書は黒のボールペンで丁寧に記入し、読みやすい文字を心がけましょう。最新版の様式を使用し、各欄に漏れなく記入してください。
③ 入管窓口へ提出する
申請書と添付書類がそろったら、管轄の地方出入国在留管理局に提出します。郵送はできず、原則として申請人本人または代理人(委任状が必要)が直接持参します。提出前には必ず内容を再確認し、書類の不足や押印漏れがないよう注意してください。
④ 審査結果を待つ
提出後は入管による審査が行われ、許可または不許可が決まります。審査期間は通常1か月程度ですが、混雑時期や資料確認の必要がある場合は、さらに時間がかかることがあります。
⑤ 許可後の手続き
許可が下りると「在留資格取得許可通知書」が発行されます。通知書を持参して市区町村役場で住民登録を行い、その後在留カードの発行手続きを進めます。これらの手続きが完了してはじめて、日本での正式な在留が可能になります。
申請書の書き方とポイント
在留資格取得許可申請では、必要書類をそろえるだけでなく、申請書の正確な記入も非常に重要です。記載ミスや記入漏れがあると受理されず、差戻等により結果として許可が遅れる原因になります。ここでは、初めて申請書を作成する方でも迷わないよう、押さえておくべきポイントを順にご説明します。
基本情報欄(氏名・生年月日など)の書き方
氏名(アルファベット・カタカナ)、生年月日、性別、国籍、現住所などは、パスポートや戸籍謄本の記載と完全に一致させることが大切です。スペルの違い、略記、別表記などの不一致は追加確認の対象となり、審査の遅れにつながります。特にカタカナ表記は、外国人住民基本台帳の記載と合わせておくと安心です。
出生地・国籍欄の書き方
出生地は「国名+都市名(州名)」の形式で記入します。国籍欄はパスポートに記載された国籍をそのまま書きますが、無国籍の場合は「無国籍」と明記する必要があります。ここでの誤記や空欄は、身元確認ができず申請が保留になる大きな原因ですので、特に注意してください。
希望する在留資格の選び方
申請する在留資格は、日本での今後の活動内容によって変わります。出生による場合は「日本人の配偶者等」や「定住者」が多く、その他のケースでは「留学」や「家族滞在」などが考えられます。資格の選択を誤ると不許可のリスクが高まるため、迷った場合は入管や行政書士に相談してから記入しましょう。
保証人・代理人欄の記入方法
未成年者などの場合は、身元保証人の氏名、住所、電話番号、保証内容(生活費・帰国費用など)を正確に記入し、捺印も忘れずに行います。代理人による申請を行う場合は、申請人本人と代理人の情報を正しく記載し、委任状を添付します。保証人・代理人欄は審査で重要視されるため、少しの不備でも不受理となる可能性があります。必ず提出前に確認しましょう。
在留資格取得許可申請時に注意すべき3つのポイント
在留資格取得許可申請を滞りなく進めるためには、提出時のちょっとした不備や期限超過を防ぐことが重要です。せっかく準備を整えても、期限を過ぎたり書類が足りなかったりすると、審査が遅れたり不許可になる可能性があります。ここでは、申請時に特に注意すべき3つのポイントをご紹介します。
申請期限(原則30日以内)を守る
在留資格取得許可申請は、原則として該当事由が発生してから30日以内に行う必要があります。申請は期限内に行うことが非常に重要です。日程に余裕を持ち、必要書類を整えてから提出しましょう。
書類の不備や不足を防ぐ
記載漏れや添付書類の不足、押印忘れはよくあるミスです。戸籍謄本やパスポートと内容が一致しているかを確認し、提出前にコピーを取り、第三者や専門家にチェックしてもらうと安心です。
追加資料の提出依頼への対応
審査の途中で入管から追加資料を求められることがあります。これは不許可の前触れではなく、審査を進めるための通常の手続きです。依頼があった場合は、期限内に正確な資料を提出しましょう。提出時には簡潔な説明書(カバーレター)を添えると、審査官が内容を理解しやすくなり、手続きがスムーズに進むことがあります。
まとめ
在留資格取得許可申請を成功させるためには、まず申請期限をしっかり守り、必要書類を正確にそろえることが重要です。記載ミスや添付漏れといった小さな不備でも、審査が長引いたり不許可につながることがあります。申請後に追加資料を求められた場合も、期限内に正確に対応することがスムーズな許可取得への近道です。準備や記入方法に不安がある場合は、行政書士など専門家に相談しましょう!

特定行政書士として、幅広い業界における法務支援やビジネスサポートに従事するとともに、業務指導者としても精力的に活動。企業法務や許認可手続きに関する専門知識を有し、ビジネスの実務面での支援を中心に展開しています。(登録番号:03312913)