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医薬品販売に必要な許可とは
「医薬品を売るには、どんな許可が必要なの?」と気になる方も多いでしょう。
医薬品を販売する場合は、医薬品医療機器等法(薬機法)に基づき、都道府県知事の許可を受けなければなりません。無許可で販売すると法律違反となり、罰則の対象になるため注意が必要です。
許可にはいくつかの種類があり、販売方法や取引相手によって区分が異なります。それぞれで求められる要件や申請手続きも変わるため、事前に理解しておくことが大切です。
医薬品販売業の3つの種類(許可区分)
ここでは、医薬品販売業の代表的な3つの許可区分をご紹介します。
1. 店舗販売業
ドラッグストアなどで一般用医薬品(市販薬)を対面販売する場合に必要な許可です。
※薬局は別制度(薬局開設許可)であり、店舗販売業とは異なります。対象は風邪薬・胃腸薬・湿布薬などのOTC医薬品です。
2. 配置販売業
「置き薬」に代表される販売形態で、顧客宅に医薬品を置き、使用分だけ代金を回収する方式です。訪問販売で医薬品を提供する場合に必要となります。
3. 卸売販売業
医療機関・薬局・他の事業者に医薬品を販売・供給する場合に必要な許可です。一般消費者に直接販売するのではなく、卸売専用の形態であり、管理基準や要件も他の区分と異なります。
医薬品販売業の許可を取る方法
医薬品販売業の許可を取得するには、都道府県が指定する申請窓口に必要書類を提出し、店舗や倉庫、管理体制が法令や基準に適合しているかの確認(実地検査など)を受ける必要があります。許可の種類によって求められる設備基準・管理体制・提出書類は異なるため、事前の情報収集と準備が欠かせません。
ここからは、代表的な「店舗販売業」「配置販売業」「卸売販売業」の3つについて、取得方法や要件を順に解説します。
1. 店舗販売業(ドラッグストア等の市販薬販売)
店舗販売業では、従来のOTC医薬品の対面販売に加え、2025年改正により要指導医薬品もオンライン服薬指導を経たうえで段階的に販売可能となります。ただし、「特定要指導医薬品」は引き続き対面販売のみです。
店舗販売業の許可要件
- 管理者(薬剤師または登録販売者)の配置
- 店舗が構造設備基準(面積、陳列、照明、換気など)を満たすこと
- 温度・品質管理などの適正管理体制の整備
- 第1類医薬品は薬剤師のみ販売可能で、管理者の常駐が原則
申請に必要な書類(例:東京都)
- 医薬品店舗販売業許可申請書
- 施設の構造設備概要図
- 管理者(薬剤師・登録販売者)の資格証コピー
- 管理者の雇用契約書または業務従事証明書
- 登記事項証明書(法人の場合)
- 使用承諾書(賃貸物件の場合)
※都道府県ごとに書式や手続きが異なるため、必ず事前に管轄保健所・薬務課へ確認しましょう。
医薬品販売に必要な2つの資格
医薬品販売業の許可を取得しても、実際に販売を行うには「薬剤師」または「登録販売者」のいずれかを配置することが法律で義務付けられています。
ここでは、それぞれの資格の役割や業務範囲をわかりやすく解説します。
薬剤師とは
薬剤師は、国家試験に合格し厚生労働大臣から免許を受けた医薬品の専門家です。
主な業務は以下のとおりです。
- 医療用医薬品および一般用医薬品(市販薬)の販売・管理・調剤
- 第1類医薬品(副作用リスクが高い市販薬)の販売と情報提供
- 処方箋医薬品の調剤
ドラッグストアで第1類医薬品を販売する場合は薬剤師の常駐が必須で、不在時は販売できません。また、店舗販売業や卸売販売業では「管理薬剤師」として医薬品管理全般を担い、法令遵守や品質管理体制の中心的役割を果たします。
登録販売者とは
登録販売者は、都道府県の試験に合格し、知事に登録することで取得できる一般用医薬品販売の専門資格です。
主な業務は以下のとおりです。
- 第2類・第3類医薬品(風邪薬・胃腸薬・外用薬など副作用リスクが比較的低いもの)の販売・説明
- 薬剤師が不在の際でも市販薬の販売対応が可能
ただし、第1類医薬品の販売はできないため、扱う医薬品の種類によって薬剤師の配置が必要になる場合があります。また、一定の実務経験や要件を満たせば、店舗販売業や配置販売業の管理者になることも可能です。小規模なドラッグストアや置き薬の事業では、登録販売者資格を持つことで運営が成り立つケースも多く見られます。
まとめ
医薬品販売業を始めるには、業態ごとの許可取得が欠かせません。許可要件や申請手続きは業種ごとに異なります。事前準備を怠ると営業開始が遅れることもあるため、最新の法令や基準を確認しながら計画的に進めることが重要です。
また、申請書類の作成や要件確認に不安がある場合は、行政書士など専門家に相談し、適切なサポートを受けることで、安心して事業をスタートできます。

特定行政書士として、幅広い業界における法務支援やビジネスサポートに従事するとともに、業務指導者としても精力的に活動。企業法務や許認可手続きに関する専門知識を有し、ビジネスの実務面での支援を中心に展開しています。(登録番号:03312913)