外国人のビザ申請は行政書士に依頼すべき?費用・メリット・依頼の流れを徹底解説

初めてのビザ申請はとても不安な作業です。行政書士に依頼することで、正確な書類作成とスムーズな手続きが行えます。この記事で、依頼のメリットと手続きの流れを詳しくご紹介します!

 

行政書士とは

行政書士は、官公庁に提出する書類の作成や手続きの代理を行うことが法律で認められている国家資格者です。日本行政書士会連合会によると、2024年現在、全国で約52,000人の行政書士が登録されており、その活動分野は年々拡大しています。

行政書士の主な業務は、「官公署に提出する書類」や「権利義務に関する書類」、「事実証明に関する書類」の作成、そしてそれらの提出手続きの代理です。これには、外国人の在留資格(いわゆる”ビザ”)申請、会社設立、許認可申請、遺言書や相続関係書類の作成など、多岐にわたる手続きが含まれます。

外国人のビザ申請は、行政書士の業務の中で比較的大きなウェイトを占める分野です。日本の出入国在留管理庁への申請手続きは複雑かつ厳格であり、書類の不備や内容の不正確さが原因で不許可となるケースも少なくありません。行政書士は、こうしたリスクを最小限に抑え、正確で効果的な申請をサポートすることができます。

行政書士には守秘義務が課せられているため、相談内容が外部に漏れることはありません。さらに、最近では英語・中国語・ベトナム語など多言語対応の事務所も増えており、外国人にとってアクセスしやすい環境が整ってきています。

このように、行政書士は「法律・制度に関する書類作成の専門家」として、外国人を含む多くの人々の行政手続きを支える存在です。資格取得には、行政書士試験に合格する必要があり、試験の合格率は毎年10%前後と、決して簡単ではない水準です。このことからも、行政書士が高い専門性と信頼性を備えていることがわかります。

 

外国人が日本で暮らすために必要な「在留資格」とは

まず最初に整理しておきたいのが、「ビザ」と「在留資格」の違いです。これらは混同して使われることが多いですが、厳密には異なる意味を持っています。ビザ(査証)は日本に入国する際に海外の日本大使館や領事館で発行されるもので、日本に入るための“許可証”です。一方、在留資格は日本に入国後、どのような活動をするのか、どのくらいの期間滞在できるのかを法的に定めた“滞在のルール”となります。

本記事では、世の中で広く使われているように「就労の在留資格」=「就労ビザ」のような表現を用いて解説を行っていきます。

外国人の方が日本に中長期的に滞在するためには、在留資格が不可欠です。日本での活動内容(例:就労、留学、結婚、家族滞在など)に応じてさまざまな種類があり、それぞれに異なる要件が定められています。

例えば、外国人が日本企業に就職する場合には「就労」ビザが該当しますし、日本人と結婚して日本で暮らす場合は「日本人の配偶者等」ビザが必要になります。また、大学に通うためには「留学」ビザなど、目的によって在留資格が変わる点が非常に重要です。

現在、日本における在留資格は約30種類以上に分類されており、出入国在留管理庁(旧・入国管理局)の定める要件をクリアする必要があります。これらの要件は頻繁に改正されるため、最新の情報に基づいた準備と正確な書類提出が欠かせません。

外国人の方が日本で安心して生活するためには、正しい在留資格を取得し、必要な条件を満たした上で継続的に更新していくことが大切です。更新申請や資格変更、在留期限の管理など、1回限りの手続きではないことも多いため、制度の理解が不十分だとトラブルに発展することもあります。

このような背景から、在留資格の申請・更新においては、専門的な知識と経験を持つ行政書士のサポートが大変有効です。

 

行政書士によるビザ申請の代行とは

行政書士は、法律に基づき役所に提出する書類の作成と手続きを代行できる国家資格者であり、在留資格の申請に関する業務もそのひとつです。具体的には、「在留資格認定証明書交付申請」「在留資格変更許可申請」「在留期間更新許可申請」など、入管業務に関連する幅広い書類作成と手続きを支援することができます。

外国人が日本での在留資格(いわゆるビザ)を取得するには、出入国在留管理庁への申請が必要になりますが、この手続きは複雑で、必要書類も多く、内容に不備があると申請が受理されなかったり、不許可になってしまったりすることもあります。そんなときに力を発揮するのが、行政書士による「ビザ申請の代行サービス」です。

行政書士は、ビザ申請に必要な書類を一つひとつ正確に整え、内容の整合性や法令との整合を確認しながら、申請書一式を仕上げていきます。特に外国人本人や受け入れ機関(企業・学校など)にとっては、言語や法制度の壁が大きなハードルになりますが、行政書士はこれらの問題をクリアにし、より確実に申請が通るよう支援を行います。

さらに、事前にヒアリングを行いどのビザが最適かを提案したり、更新・変更などの相談にも継続的に対応してくれるのも大きな魅力です。

 

申請取次行政書士とは

ビザ申請業務の中でも特に注目すべきなのが、「申請取次行政書士」という制度です。これは、法務省(出入国在留管理庁)に届出をした行政書士のみが名乗ることができる資格区分で、一定の研修や要件を満たした者に限られます。

申請取次行政書士に依頼すれば、依頼人である外国人本人が出入国在留管理局へ直接出向く必要がなくなります。つまり、行政書士が本人に代わって書類を提出し、申請手続きを一括して行えるのです。これにより、時間的・精神的負担を大きく軽減することができるため、ビザ申請に不安がある方には非常に心強い存在となります。

一方で、「申請取次行政書士」の資格を持たない行政書士でも、ビザ申請の書類作成や手続きの相談業務自体は可能です。ただし、この場合はあくまで“書類の作成代行”にとどまり、本人が自ら出入国在留管理局へ出向いて申請する必要があります。したがって、申請の代行提出まですべて任せたい場合には、申請取次の資格がある行政書士を選ぶことがポイントになります。

 

ビザの申請を行政書士に依頼する際にかかる費用

ビザの申請を行政書士に依頼する際の費用は、依頼する手続きの内容や行政書士の事務所ごとに異なりますが、一般的な相場はある程度把握することができます。

以下は主なビザ関連手続きの行政書士報酬と法定費用の目安をまとめた表です。

手続き内容 行政書士報酬の相場 法定費用(収入印紙)
在留資格認定証明書交付申請 8万円〜15万円 不要
在留期間更新許可申請 5万円〜10万円 6,000円
在留資格変更許可申請 5万円〜10万円 6,000円
永住許可申請 10万円〜20万円 10,000円
資格外活動許可申請 2万円〜5万円 不要

※ 上記はあくまで目安であり、事務所や案件の難易度によって異なる場合があります。

 

加えて、以下のような追加費用が発生するケースもあります。

  • 翻訳料金(1通あたり5,000円〜10,000円程度)
  • 郵送代や交通費(実費)
  • 戸籍・住民票等の取得代行費用

 

報酬額は、行政書士の経験や専門性、対応の丁寧さ、サポート範囲によっても差が出ます。例えば、ヒアリングから書類収集、翻訳、書類作成、申請後の入管とのやり取りまでトータルサポートを行う事務所は、費用が高めになる傾向にありますが、その分成功率が高く、手間や時間の負担も大きく軽減されます。

「安いから安心」とも「高いから確実」とも言い切れないのが実情ですが、費用とサービス内容のバランスを見極めることが大切です。複数の行政書士事務所から見積もりを取るのもおすすめですし、口コミや実績なども参考にすると良いでしょう。

最後に、ビザ申請は不許可になった場合でも申請手数料は戻ってこないため、最初から専門家に依頼して確実に準備を進めることが、結果的にコストを抑えることにつながるケースも多くあります。

 

行政書士がビザ申請を代行する際の手続きの流れ

ここでは、ビザ申請を行政書士に依頼した場合の手続きのフローをご紹介します。

 

1. 初回相談・ヒアリング

まずは行政書士との初回相談です。依頼者の状況(在留目的、滞在歴、家族構成、勤務先など)について詳細にヒアリングを行い、どの在留資格(ビザ)が最も適切かを判断します。この段階では、必要書類やスケジュール、費用の見積もりも案内されることが一般的です。

 

2. 必要書類の案内・収集サポート

ビザ申請にはさまざまな添付書類が必要です。行政書士は、依頼者側で準備が必要な書類と、行政書士が代理で取得できる書類とを整理し、リスト化して説明してくれます。また、外国語の書類がある場合には、翻訳もサポートしてくれることがあります。

 

3. 書類作成・チェック

行政書士は、収集した情報と書類をもとに申請書を作成します。このとき、入管の審査基準に沿って記載内容に矛盾や不備がないかを細かくチェックすることが重要です。経験豊富な行政書士であれば、審査官の目線を踏まえた説得力のある書類作成が期待できます。

 

4. 申請の提出

「申請取次行政書士」に依頼している場合は、行政書士が出入国在留管理庁へ直接申請書類を提出してくれます。依頼者本人が入管に出向く必要がないため、時間や移動の負担を大きく減らすことができます。

 

5. 審査期間中のフォロー

申請後、入管から追加資料の提出を求められることもあります。このような場合も、行政書士が窓口となって対応してくれるので安心です。必要に応じて内容の補足説明や追加書類の準備もサポートしてくれます。

 

6. 結果通知と在留カードの受け取り

審査結果が出たら、許可通知書が送付されます。本人が入管で在留カードの交付を受ける必要がありますが、この段階でも行政書士が手順や必要書類のアドバイスをしてくれます。

 

ビザの申請を行政書士に依頼するメリット

外国人の方が日本で生活したり働いたりするためには、ビザの申請が必要不可欠です。ここでは、行政書士にビザの申請を依頼するメリットについてご紹介します。

 

1. 正確な書類の作成

行政書士は、入管業務に関する法律や実務に精通しており、申請書類の作成を的確に行うことができます。独学では難しい専門用語や審査基準にも対応できるため、不備や見落としを防ぎ、申請の成功率を高めることができます。

 

2. 手続き全体を効率的に進められる

自分で申請しようとすると、制度の理解や書類の準備、入管とのやり取りに多くの時間と労力がかかります。行政書士に依頼すれば、書類作成から提出、場合によっては追加書類対応まで一括して任せることができ、時間の節約につながります。

 

3. 不許可リスクを減らせる

ビザの申請は一度不許可になると、再申請時に不利になることもあります。行政書士は過去の事例や最新の運用傾向に基づいて戦略的に書類を整えられるため、リスクを最小限に抑えた申請が可能になります。

 

4. 申請取次制度による代理提出

申請取次行政書士に依頼すれば、申請者本人が出入国在留管理庁に出向く必要がありません。時間や交通費の節約、また仕事や学校を休む必要がない点は、依頼者にとって大きなメリットです。

 

5. 多言語対応・柔軟なサポート

最近では英語・中国語・ベトナム語など多言語対応の行政書士事務所も増えており、言語面での不安がある外国人の方でも安心して依頼できます。また、在留資格の更新や家族の呼び寄せなど、将来的なサポートも見据えて継続的に相談できるのも魅力です。

 

まとめ

外国人の方が日本で生活したり働いたりするためには、正しい在留資格(ビザ)の取得が必要不可欠です。そしてその申請手続きは、予想以上に複雑かつ慎重さが求められるもの。書類の不備や不明確な記載があれば、審査に時間がかかったり、最悪の場合は不許可となってしまうリスクもあります。

ビザ申請を成功させる第一歩は、適切な準備と正確な手続きから。行政書士は、その一歩を一緒に支えてくれる心強いパートナーになるはずです。

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