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日本で働くために必要な「就労ビザ」。その取得手続きは種類によって異なり、準備も複雑です。本記事では、ケース別の申請方法や必要書類、代行依頼のポイントまでを丁寧に解説します。
就労ビザとは
就労ビザとは、外国人が日本で働くために必要な在留資格の総称です。実際には複数の在留資格があり、従事する仕事の内容に応じて該当する資格が異なります。
出入国在留管理庁の公表によると、令和6年末現在、日本に在留する外国人数は※約377万人となっています。在留資格は多岐にわたりますが、就労に関係する在留資格で在留している外国人も多く、日本の雇用現場において就労ビザの重要性は年々高まっています。
日本では外国人の就労ビザは厳格に分類されており、「どのような仕事をするのか」「どの業種・職種で働くのか」によって許可される在留資格の種類が異なります。ここでは、就労ビザの種類や有効期限について説明します。
※在留外国人数に関する数値は、出入国在留管理庁の公表資料をもとにしています。
就労ビザの種類
日本で働くための在留資格にはさまざまな種類がありますが、一般企業への就職で多く利用されるものと、制度目的や対象者が異なるものとを分けて理解すると分かりやすくなります。たとえば、会社員として採用されるケースでは、「技術・人文知識・国際業務」「企業内転勤」「高度専門職」などが中心です。一方で、「外交」「公用」などは一般的な就職とは前提が異なるため、区別して確認することが大切です。
なお、一般に「就労ビザ」と一括りにされることが多いものの、実際には在留資格ごとに認められる活動内容が異なります。まずは、一般企業への就職でよく使われる代表的な在留資格を押さえておくと、全体像をつかみやすくなります。
| 代表的な在留資格 | 主なケース |
| 技術・人文知識・国際業務 | ITエンジニア、営業、マーケティング、通訳、経理、企画など、一般企業への就職で多いケース |
| 企業内転勤 | 海外の本社・支社から日本法人へ転勤するケース |
| 高度専門職 | 学歴・職歴・年収などの要件を満たす高度人材 |
| 経営・管理 | 日本で会社を設立して経営する場合や役員として活動するケース |
| 特定技能 | 介護、建設、農業、宿泊など、制度上定められた分野で働くケース |
一般企業での採用では、「技術・人文知識・国際業務」が中心となります。そのほか、外資系企業などで海外の本社から日本法人へ異動する場合は「企業内転勤」、一定の要件を満たす高度人材については「高度専門職」が検討されます。実際にどの在留資格が適切かは、学歴・職歴・職務内容・雇用先の事業内容などを踏まえて判断することが重要です。
就労ビザの在留期間
就労ビザの在留期間は、在留資格の種類によって異なります。たとえば、「技術・人文知識・国際業務」や「企業内転勤」では5年・3年・1年・3月が定められている一方、「経営・管理」では6月や4月が設けられており、「特定技能」も別の運用となっています。そのため、すべての就労ビザに同じ在留期間が適用されるわけではありません。
在留期間の満了前に更新手続きをしなければ、不法滞在となるおそれがあります。更新の際は、引き続き安定した雇用関係にあることや、在留資格に応じた業務に従事していることが確認されます。
就労ビザの取得手続きとは
外国人が日本で働くためには、適切な在留資格(就労ビザ)を取得する必要があります。就労ビザの取得にはいくつかのパターンがあり、申請者の現在の居住地や在留資格の有無によって必要な準備や対応が異なります。以下では、代表的な3つのケースについて概要を紹介します。
就労ビザを申請する3つのパターン
| ケース | 必要な手続き | 主な注意点 |
| 外国に住む方が日本の企業に採用され、新たにビザを取得する場合 | 在留資格認定証明書交付申請 | 本人が海外にいるため、企業側が中心となって書類を準備します。証明書交付後は、本人が在外公館でビザを取得して入国します。 |
| 日本に住む留学生が就職する場合 | 在留資格変更許可申請 | 「留学」から就労可能な在留資格へ変更します。専攻内容と職務内容との関連性が重視されるため、仕事内容を具体的に整理しておくことが大切です。 |
| すでに就労ビザを持つ外国人が在留資格を変更せずに転職する場合 | 所属機関等に関する届出 | 転職後14日以内の届出が必要です。仕事内容が現在の在留資格の範囲内か確認し、不安がある場合は就労資格証明書の取得を検討します。 |
就労ビザの取得に必要な書類の例
就労ビザの申請に必要な書類は、申請者の居住地(海外・日本国内)や在留資格の種類、受入企業の規模などによって異なりますが、一般的には次のような書類が求められます。
- 在留資格認定証明書交付申請書または在留資格変更許可申請書
- 写真(縦4cm×横3cm、6か月以内に撮影されたもの)
- 在留カード(日本国内に住んでいる場合)
- パスポートの写し
- 履歴書・職務経歴書
- 最終学歴の卒業証明書
- 雇用契約書(労働条件が明記されたもの)
- 会社案内(パンフレットやホームページ資料など)
- 登記事項証明書(法人登記簿謄本)
- 決算書類(直近の損益計算書や貸借対照表など)
職種や在留資格によっては、このほかに実務経験証明書や資格証明書などの提出が必要になる場合もあります。
就労ビザの審査では、内定が出ているだけで足りるわけではなく、本人の学歴や職歴と、実際に担当する職務内容との関連性が重視されます。たとえば、学んできた内容やこれまでの経験と仕事内容に大きなズレがある場合は、追加資料の提出を求められたり、不許可となるリスクが高まったりすることがあります。あわせて、企業側についても、事業内容、採用理由、雇用の安定性などを説明できる資料を整えておくことが重要です。
就労ビザ取得の流れ
就労ビザの申請は、主に「海外から外国人を呼び寄せる場合」と「日本国内で資格変更を行う場合」に分けられます。
- 雇用が決定:受入企業と外国人との間で雇用契約が成立
- 必要書類の準備:外国人本人と企業がそれぞれ必要書類を用意
- 入管へ申請:地方出入国在留管理局にて「在留資格認定証明書交付申請」または「在留資格変更許可申請」を行う
- 審査・許可:審査期間は平均1〜3か月程度。内容によっては追加書類の提出を求められることも
- ビザ発給・入国または在留資格変更:海外在住者は在留資格認定証明書でビザを取得して入国、国内居住者は資格変更後に就労開始
就労ビザの申請代行とは
外国人を雇用する企業や就労を希望する外国人にとって、就労ビザの申請は書類の多さや法的要件の複雑さから負担が大きくなりがちです。そこで活用されているのが、行政書士などの専門家による「申請取次(申請代行)サービス」です。ここでは、その内容や利用の流れ、費用について詳しくご紹介します。
申請代行サービスを利用する方法
申請代行を行えるのは、出入国在留管理庁に申請取次の届出をしている行政書士や弁護士、受入機関の職員など、法令上認められた者に限られます。これらの申請取次者は、依頼者本人に代わって在留資格に関する申請書類を提出できます。ただし、行政書士や弁護士が行えるのは、あくまで申請書類の提出取次であり、許可そのものを代わりに決定できるわけではありません。
申請取次が可能な専門家を探す際は、「日本行政書士会連合会」の公式サイトや、各都道府県の行政書士会の検索機能を利用する方法があります。また、「入管申請取次行政書士」の表示がある事務所や、外国人雇用支援の実績がある専門家を選ぶと安心です。
申請代行サービス利用の流れ
外国に住む方が日本の企業に採用され、新たにビザを取得する場合
- 雇用契約の締結と相談開始
- 行政書士による必要書類の案内と確認
- 「在留資格認定証明書交付申請」を行政書士が提出
- 在留資格認定証明書の交付後、現地の日本大使館・領事館でビザを取得
- ビザを取得して入国し、空港で在留カードを受け取る(後日交付となる場合もあります)
日本に住む留学生が就職する場合
- 相談および本人・企業情報のヒアリング
- 行政書士による必要書類の案内と確認
- 「在留資格変更許可申請」を行政書士が提出
- 審査完了後、結果通知と新たな在留カードの交付
どちらも、相談から許可まで2~3か月程度かかるのが一般的です。
特に留学生の就職では、職務内容が単純作業と見られないか、また、専攻内容や学んできたことと仕事との関連性をどのように説明するかが重要です。内定が出ていても、仕事内容の説明が曖昧だと審査で不利になることがあるため、担当業務はできるだけ具体的に整理しておく必要があります。
すでに就労ビザを持つ外国人が在留資格を変更せずに転職する場合
- 転職内容の確認と、現行の在留資格に適合するかの確認
- 所属機関等に関する届出の提出支援
- 必要に応じて、在留資格変更許可申請や資格外活動許可への対応
転職時に見落とされやすいのは、在留資格の種類が同じでも、実際の仕事内容が変わると問題になることがある点です。たとえば、同じ会社員であっても、専門性を前提とした業務から単純業務中心の仕事へ変わる場合には、在留期間の更新時に適合性が厳しく見られる可能性があります。不安がある場合は、就労資格証明書の取得を検討しておくと安心です。
申請代行サービスの費用
費用は行政書士事務所や申請内容によって異なりますが、一般的な相場は以下の通りです。
| サービス内容 | 費用の目安(税別) |
| 在留資格認定証明書交付申請(COE)代行 | 80,000〜150,000円 |
| 在留資格変更許可申請代行 | 70,000〜150,000円 |
| 所属機関変更・資格外活動届出など | 30,000〜50,000円 |
※報酬額とは別に印紙代や交通費、翻訳費などが別途必要になる場合があります。
まとめ
外国人の就労ビザの申請は、日本で働くうえで欠かせない重要な手続きです。在留資格は複数あり、それぞれ認められる活動内容や要件が異なるため、まずは自分の状況に合った在留資格を正しく見極めることが大切です。
申請にあたっては、在留資格の選定や書類の準備を誤ると、不許可や手続きの長期化につながることがあります。不安がある場合は、申請取次の資格を持つ行政書士などの専門家に相談することで、書類準備や申請手続きをより円滑に進めやすくなります。

特定行政書士として、幅広い業界における法務支援やビジネスサポートに従事するとともに、業務指導者としても精力的に活動。企業法務や許認可手続きに関する専門知識を有し、ビジネスの実務面での支援を中心に展開しています。(登録番号:03312913)