特殊車両通行許可申請は、道路交通法に基づいて、通常の道路交通基準を超える大型車両や重車両を特定の道路で通行させる際に必要な許可を取得する手続きです。この手続きを通じて、安全に道路を使用できるようにし、道路や橋梁などのインフラに対する過度な負担を防止します。特殊車両には、車両の全長や全幅、総重量が一定の基準を超える車両が含まれます。
特殊車両通行許可申請の目的
この申請の目的は、道路の安全性とインフラの保全を確保することです。特殊車両は通常の車両よりも大きな負荷を道路に与えるため、許可なしで通行すると道路や橋梁に損傷を与える可能性があります。許可を取得することで、特殊車両が通行できる道路や条件を適切に管理し、道路の損傷や事故のリスクを軽減します。
この申請が必要となる車両の種類
1. 車両の長さが基準を超える車両
- 具体例: 長いトレーラーやコンテナ車両。
- 理由: 一般的な道路で許可されている車両の長さは12メートルまでですが、トレーラーやコンテナ車両はこれを超える場合が多く、特殊車両通行許可が必要です。
2. 車両の幅が基準を超える車両
- 具体例: 重機を運搬するトラックや建設機械を搭載したトレーラー。
- 理由: 車両の幅が2.5メートルを超える場合、道路の車線幅に収まらないため、特殊車両通行許可が必要です。重機などを運搬する際にしばしばこの許可が求められます。
3. 車両の高さが基準を超える車両
- 具体例: 高い建築資材を運搬する車両やクレーン付きのトラック。
- 理由: 高さが3.8メートルを超える場合、信号や高架橋、トンネルなどに干渉する可能性があるため、特殊車両通行許可が必要です。
4. 車両の重量が基準を超える車両
- 具体例: 建設現場への大型クレーンや鉄鋼材を運搬するトラック。
- 理由: 車両総重量が20トンを超える車両は、道路の耐荷重に影響を与える可能性があるため、道路管理者の許可が必要です。特に重機や資材を運ぶ大型車両がこれに該当します。
5. 軸重が基準を超える車両
- 具体例: 建設用ダンプカーやコンクリートミキサー車。
- 理由: 車両の各車軸にかかる荷重(軸重)が10トンを超える場合、道路の舗装を損傷するリスクがあるため、特殊車両通行許可が必要です。これにより、舗装の破損や補修のコストを軽減することが目的です。
6. 輪荷重が基準を超える車両
- 具体例: 工場の機械を運搬する低床トレーラー。
- 理由: タイヤ1つあたりの荷重(輪荷重)が5トンを超える場合、舗装面に過度の負荷がかかり、道路が損傷する恐れがあるため、許可が必要です。
7. 通行経路に制限がある特殊車両
- 具体例: 山間部や狭い道路を通行する大型トラック。
- 理由: 通常の車両が通行できない狭い道や、特別な環境下の道路を通る場合、通行に関しての安全性や道路の構造を確認するために許可が必要です。
申請先
特殊車両通行許可申請は、主に道路を管理する機関に提出します。国道や主要な道路の場合は、国土交通省の地方整備局が担当し、都道府県道や市町村道の場合は、それぞれの自治体が管轄します。また、複数の道路を通行する場合は、経路全体を管理する複数の機関に申請が必要です。
必要書類
特殊車両通行許可申請には、以下の書類が必要です。これらの書類は、車両の仕様や通行計画を詳細に示し、安全に通行できることを証明するために提出します。
- 申請書:
- 特殊車両の基本情報、通行する道路の経路、通行日、目的などを記載した書類です。通行の詳細を正確に記載することが求められます。
- 車両の諸元表:
- 特殊車両の寸法、総重量、軸重などの技術的な仕様を示す書類です。これにより、車両が基準を超えていることが確認され、許可条件が決定されます。
- 経路図:
- 特殊車両が通行する予定の経路を示す地図です。どの道路を使用するのかを詳細に示すことで、適切な経路選定が行われます。
- 荷物に関する書類(必要な場合):
- 特殊車両が輸送する荷物の詳細を示す書類です。荷物の重量や寸法が通行条件に影響する場合に提出が求められます。
- 運行計画書:
- 車両の通行に伴う運行計画を詳細に記載した書類です。通行する時間帯や、安全対策などが含まれます。
- 橋梁の耐荷重評価書(必要な場合):
- 特殊車両が通行する橋梁の耐荷重を評価した書類です。必要に応じて、橋梁の管理者と協議を行い、車両の通行に伴う影響を確認します。
行政書士に依頼するメリット
特殊車両通行許可申請は、詳細な車両データや通行経路の計画を含む複雑な手続きです。行政書士に依頼することで、申請手続きがスムーズに進行し、書類の不備や手続きの遅延を防ぐことができます。また、行政書士は最新の法令や手続きに精通しているため、通行許可を確実に取得し、安全に通行するためのサポートを受けることが可能です。