在留資格とは?全29種類の在留資格や手続きの流れを解説

「在留資格」とは

日本で暮らす外国人にとって欠かせないのが「在留資格」です。これは、外国人が日本国内に滞在する目的と期間に応じて与えられる法的な地位のことで、日本での就労、留学、家族との同居などを行うための根拠となるものです。

 

日本で暮らす外国人の現状

法務省の統計によると、2024年末時点における在留外国人数は376万8,977人となり、前年末に比べて35万7,985人(10.5%)増加しています。国籍別では中国、ベトナム、韓国、フィリピン、ネパールなどのアジア諸国の出身者が多く、上位10か国中、ブラジルとアメリカ以外は全てアジアの国となっています。

在留資格別で見ると、最も多いのは「永住者」の918,116人で、全体の約24%を占めています。次いで「技能実習」が456,595人(約12%)と2番目に多く、以降は「技術・人文知識・国際業務」が418,706人(約11%)、「留学」が402,134人(約10%)、「家族滞在」が305,598人(約8%)と続きます。

このように、日本では多様な在留資格を持つ外国人が、働き、学び、生活を送っています。近年では「特定技能」や「高度専門職」など、労働力確保を目的とした在留資格も増加しており、日本社会における外国人の存在感は年々高まっていると言えるでしょう。

 

「ビザ」との違い

「在留資格」とよく混同される言葉に「ビザ(査証)」があります。日常的に「『留学』の在留資格」=「留学ビザ」のような表現が使われますが、厳密にはこれは正しくありません。

「ビザ」は日本に入国するための許可証(チケットのようなもの)で、外国人が日本の空港で入国審査を受ける際に必要です。一方、「在留資格」は入国後の滞在目的と活動内容を定める法的ステータスです。

たとえば、外国に住む日本人の配偶者が日本に渡航するには、日本の在外公館で「ビザ」を取得し、日本に入国した後は「日本人の配偶者等」の在留資格で滞在します。つまり、ビザは入国のため、在留資格は滞在のために必要と覚えておくとわかりやすいでしょう。

 

申請先

在留資格の申請先は、住所地を管轄する地方出入国在留管理局またはその出張所で、略して「入管」と呼ばれることもあります。なお、全国の地方出入国管理局の所在地や連絡先は、出入国在留管理庁のホームページで確認することができます。

在留資格に関する手続きは、原則として申請者本人が窓口に出頭する必要がありますが、「申請取次制度」を利用すれば本人以外の資格者などが手続きを代行することも可能です。具体的には、出入国在留管理庁から認定を受けた「申請取次者」(行政書士や弁護士、一部の教育機関・企業の担当者など)が、本人に代わって書類の提出や審査のやりとりを行うことができます。この制度は、申請者本人が平日に時間を確保できない場合や、日本語での対応に不安がある外国人にとって大きな助けとなります。

 

全29種類の在留資格とそれらの概要

日本で合法的に滞在・活動するための在留資格は、大きく分けて「就労系資格」「非就労系資格」「居住資格」の3分類に分かれ、それぞれに該当する活動内容が定められています。

以下では、現在日本で定められている全29種類の在留資格を分類ごとに紹介します。

 

分類 在留資格 主な対象職業・活動内容・身分など
就労系 外交 大使、公使、総領事、大使館勤務の外交官など
公用 外国政府職員(非外交官)、国際機関の職員など
教授 大学の教授、准教授、講師
芸術 作曲家、画家、彫刻家、著述家など
宗教 宣教師、僧侶、牧師など
報道 新聞記者、報道カメラマンなど
高度専門職 高度な学歴・年収・実務経験などを持つ高度人材
経営・管理 企業の経営者、会社役員など
法律・会計業務 弁護士、公認会計士、司法書士など(日本の資格の保持者)
医療 医師、歯科医師、看護師、薬剤師など(日本の資格の保持者)
研究 政府・民間研究機関の研究者
教育 小学校・中学校・高校などの語学教師
技術・人文知識・国際業務 企業の事務職、マーケティング、通訳、翻訳、ITエンジニアなど
企業内転勤 外国本社から日本支社へ転勤する社員
介護 介護福祉士(日本の資格の保持者)
興行 歌手、俳優、ダンサー、スポーツ選手など
技能 外国料理の調理師、建築職人、自動車整備士など
特定技能 介護、建設、農業、宿泊など14分野で即戦力が求められる人材
技能実習 技術習得を目的とした研修・実習生(技能実習制度に基づく)
非就労系 文化活動 学術・芸術活動(収入を伴わないもの)を行う人、日本文化の研究者、日本文化を専門家の指導を受けて習得しようとする人など
短期滞在 観光、保養、スポーツ、親族の訪問、見学、講習又は会合への参加、業務連絡などのための短期間の滞在
留学 大学、短期大学、高等専門学校、高等学校、中学校、小学校などの学校に通う学生・生徒
研修 公私の機関により受け入れられて行う技能等の修得をする研修生
家族滞在 在留外国人が扶養する配偶者や子ども
居住資格 永住者 法務大臣から永住の許可を受けた人
日本人の配偶者等 日本人の配偶者や子ども(特別養子含む)
永住者の配偶者等 永住者の配偶者、日本で出生した永住者の子ども
定住者 難民,日系3世,中国残留邦人、外国で出生した永住者の子どもなど、法務大臣が特別な理由を考慮して居住を認めた者
その他 特定活動 外交官等の家事使用人、ワーキング・ホリデー、経済連携協定に基づく外国人看護師・介護福祉士候補者など、法務大臣が特別に指定した活動を行う人

 

在留資格申請の流れ

外国人が日本で在留資格を取得するための手続きは、本人の現在の居住地(日本国内か海外か)によって流れが異なります。以下では、「海外から呼び寄せる場合」と「すでに日本にいる場合」の2パターンに分けて、申請の流れを解説します。

 

本人が海外にいる場合(呼び寄せ)

海外にいる外国人を日本に呼び寄せるためには、日本の受入れ機関や家族などが代理人となって、出入国在留管理局で「在留資格認定証明書(COE)交付申請」を行う必要があります。

  1. 申請書類の準備と提出
    日本側の申請代理人(会社、学校、家族など)が必要書類を揃えて出入国在留管理局に提出します。なお、必要書類の例については後述します。
  2. 在留資格認定証明書(COE)の交付
    審査を経て問題がなければ「在留資格認定証明書(COE)」が交付され、日本の申請代理人がこれを受け取ります。
  3. ビザ(査証)申請
    「在留資格認定証明書(COE)」を外国にいる本人へ郵送し、本人が海外の日本大使館または総領事館でビザの申請を行います。
  4. 入国と在留カードの交付
    ビザ(査証)を持って日本に上陸した後、空港で在留カードが交付され、日本での生活が始まります。

 

本人がすでに日本にいる場合

すでに何らかの在留資格を持って日本に滞在中の外国人が在留資格を変更する場合には、「在留資格変更許可申請」を行います。例えば、「留学」から「日本人の配偶者等」に変更する場合などが該当します。

  1. 申請書類の準備と提出
    本人または所属機関が必要書類を準備し、管轄の出入国在留管理局に提出します。
  2. 審査と結果通知
    書類審査後、許可・不許可の結果が通知されます。追加資料の提出を求められることもあります。
  3. 許可の場合の在留カード更新
    許可された場合、出入国在留管理局に出頭し、新しい在留カードが交付されます。

 

在留資格申請の際の必要書類

在留資格の申請に際しては、在留資格の種類ごとに異なる書類が必要となります。ここでは、在留資格認定件数の上位3つである「永住者」「技能実習」「技術・人文知識・国際業務」について、それぞれの必要書類の例を紹介します。

なお、本人の状況によってはこれら以外の書類の提出を求められる場合もありますので、出入国在留管理庁のホームページ等で事前に確認することをおすすめします。

 

永住者

「永住者」の資格申請においては、以下のような書類が求められます。なお、永住許可を得るためには、「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」やその他就労系の資格などで日本に居住している実績が求められます。

  • 永住許可申請書:出入国在留管理庁のホームページからダウンロード可
  • 写真(縦4cm×横3cm):16歳未満の方は不要
  • 住民票:世帯全員分、マイナンバーが記載されていないもの
  • 配偶者の戸籍謄本:現在「日本人の配偶者等」の在留資格の方のみ
  • 本人または本人を扶養する方の職業を証明する資料:在職証明書、確定申告書の写しなど
  • 住民税の課税証明書および納税証明書:配偶者の在留資格の方は過去3年分、就労系の在留資格の方は過去5年分
  • 年金の納付記録(過去2年分):「ねんきんネット」の画面を印刷したものなど
  • 健康保険証のコピー
  • 国民健康保険料納付証明書(過去2年分):過去2年の間に国民健康保険に加入していた期間のある方のみ
  • 親族一覧表
  • 身元保証書:配偶者などの親族や雇用主が身元保証人となって記載したもの
  • 身元保証人の身分証明書:運転免許証のコピーなど
  • 理由書:永住許可が必要な理由を説明するもの
  • 了解書:出入国在留管理庁のホームページからダウンロード可

 

技能実習(外国にいる本人を呼び寄せる場合)

【日本側の受け入れ機関が準備する書類】

  • 在留資格認定証明書交付申請書:出入国在留管理庁のホームページからダウンロード可
  • 技能実習計画認定通知書の写し
  • 技能実習計画認定申請書の写し

【外国人本人が準備する書類】

  • パスポートの写し
  • 写真(縦4cm×横3cm)

 

技術・人文知識・国際業務(外国にいる本人を呼び寄せる場合)

【日本側の受け入れ機関が準備する書類】

  • 在留資格認定証明書交付申請書:出入国在留管理庁のホームページからダウンロード可
  • 所属企業等がどの区分(カテゴリー)に属すかを証明する資料:四季報の写し、認定証等の写し、前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表の写しなど
  • 労働条件通知書(雇用契約書)等
  • 登記事項証明書
  • 雇用先企業の概要資料(パンフレット等)
  • 直近の年度の決算書類の写し

【外国人本人が準備する書類】

  • 履歴書(職歴や学歴を記載)
  • 学歴や職歴を証明する書類:卒業証明書・在職証明書の写しなど
  • 資格証明書:該当する業務に必要な場合
  • パスポートの写し
  • 写真(縦4cm×横3cm)

 

在留資格申請にかかる費用

在留資格の申請には、法定手数料などの費用に加えて、専門家に依頼する場合の報酬も発生する可能性があります。ここでは、在留資格申請にかかる代表的な費用について解説します。

 

法定費用など

在留資格の申請にかかる費用として、まず考慮すべきなのが法務省に納付する法定手数料です。これは申請の種類によって異なりますが、主に次のような金額が設定されています。なお、これらの費用は1回の申請につき発生し、不許可になった場合でも返金はされません。

  • 在留資格認定証明書(COE)交付申請:無料
  • 永住許可申請:10,000円
  • 在留資格変更許可申請:6,000円

また、必要書類の収集の際にも以下のような手数料がかかります。

  • 戸籍謄本:450円/1通
  • 住民票:200~500円程度/1通(自治体によって異なる)
  • 登記事項証明書:600円/1通
  • 住民税の納税証明書:200~500円程度/1通(自治体によって異なる)
  • 住民税の課税証明書:200~500円程度/1通(自治体によって異なる)

 

行政書士に依頼する場合の費用

在留資格の申請は書類の準備や法的知識を要するため、行政書士に依頼するケースも多くあります。手続きの難易度によって費用は前後しますが、一般的な相場は以下の通りです。

手続き内容 行政書士報酬の相場
在留資格認定証明書(COE)交付申請 約80,000〜150,000円
在留資格変更許可申請 約80,000〜150,000円
永住許可申請 約100,000〜200,000円

※郵送料や交通費などの実費が別途発生する場合もあります。

行政書士に依頼するメリットとしては、書類作成の精度が高まり、不備による不許可リスクを下げられる点が挙げられます。万が一、不許可になってしまった場合には、問題点を分析したうえで再申請に向けたアドバイスを行う場合もあります。

 

まとめ

在留資格は、日本で生活や就労を希望する外国人にとって不可欠な制度であり、その種類や申請手続きは多岐にわたります。この記事では在留資格の種類、申請方法、必要書類、費用などの観点で解説しました。

今後も外国人の在留に関する制度や運用は変化していく可能性があるため、最新の情報を確認しながら、正確かつ適切な手続きを行うことが求められます。

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